アエネアスが始めて足を踏み入れる原野であった。歩を進める原野のなかに道がある。といってもそれは道なき道である。原野に住む小獣たちが歩んだ道である。彼らは、そのような道を探し、たどり、歩いていった。
歩き始めて小一時間、ユールスが音を上げた。ユールスの背丈を超える草丈、草とすれて出来た傷が生々しく痛々しかった。目には涙がにじんでいるが泣きはしなかった。
アエネアスは、改めて、父として我が子を眺めた。彼は父として情愛の関所をどこに設けようかと一瞬躊躇した。
『ユールス、どうだ、歩き続けることができそうか』 彼はユールスの目をみた。彼の目は『ノー』を訴えていた。
『皆、どうだ、ここいらで朝めしといこう。小休止だ』 休憩をとることにした。
アエネアスは、従者の中で屈強な若者を選んで、ユールスを背負ってくれるよう頼んだ。一行は用意周到でもあった。従者の中の一人が草つるで編み上げた背負い袋を用意していたことである。この背負い袋は猟をして、獣を入れて担ぐために用意してきていたのである。
朝飯を終えた彼らは、いっときの休憩の後、太陽の位置を仰ぎ見て、時の進み具合を確かめて歩き始めた。彼らは砦の方角を振り返って見た。砦は豆粒のように小さく見とめられた。
歩き始めて小一時間、ユールスが音を上げた。ユールスの背丈を超える草丈、草とすれて出来た傷が生々しく痛々しかった。目には涙がにじんでいるが泣きはしなかった。
アエネアスは、改めて、父として我が子を眺めた。彼は父として情愛の関所をどこに設けようかと一瞬躊躇した。
『ユールス、どうだ、歩き続けることができそうか』 彼はユールスの目をみた。彼の目は『ノー』を訴えていた。
『皆、どうだ、ここいらで朝めしといこう。小休止だ』 休憩をとることにした。
アエネアスは、従者の中で屈強な若者を選んで、ユールスを背負ってくれるよう頼んだ。一行は用意周到でもあった。従者の中の一人が草つるで編み上げた背負い袋を用意していたことである。この背負い袋は猟をして、獣を入れて担ぐために用意してきていたのである。
朝飯を終えた彼らは、いっときの休憩の後、太陽の位置を仰ぎ見て、時の進み具合を確かめて歩き始めた。彼らは砦の方角を振り返って見た。砦は豆粒のように小さく見とめられた。
