『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  371

2011-01-06 08:00:13 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 アーモンドの収穫現場の者たちの考えで、アーモンドは、現場で果皮を取り除いて袋に入れ搬送した。そうすることにより、搬送の合理化がはかられていたのである。『仁』を内包した殻付きのアーモンドである。
 アーモンドは、次の日も次の日も運ばれてきた。砦の倉庫には入りきらない大量である。倉庫に収まりきらないアーモンドは、回廊の軒下に山と詰まれた。
 浜頭のトリタス、パリヌルス、オロンテス、ギアス他、現場で指揮監督してきた者たちも順次、砦に帰ってきた。収穫の作業にたずさわった者たちも帰ってきた。静かであった砦がまたにぎやかな日常に変わりつつあった。
 収穫したアーモンドの搬送は予定通り終了した。アエネアスは、この光景を毎日眺めながら、作業にたずさわった者たちの苦労をねぎらった。
 イリオネスは、主だった者たちを集めて打ち合わせをした。
 『お~い、皆、聞け。今日はご苦労であった、ところで明日は、朝から打ち合わせの会議をやる。時間までに広間に集まってくれ。なお、明後日には、浜衆、集落の者たち、砦の者たち、総員参加で収穫慰労の宴をやる。子供らも皆、連れてくるんだ。いいな。これからのことは諸事会議で打ち合わせる。今日は、これにて仕事は終わりだ。皆、充分、身体を休ませてくれ。以上だ』
 イリオネスは、この言葉で打ち合わせを締めくくった。
 今日の日の太陽は、まだ高みにあった。夏の盛りの太陽に比べて陽の沈み方は、いくぶん早く感じられる候となっていた。