私 「子どもの体験活動のすいさんぎょうプログラムは、5年生の社会科学習なんだ」
研修生の彼 「・・・・・・」 (あたまの中で・・・、そうなんだ。でも家庭科ではないのかな・・・??)
私 「朝のセリに行き、市場に集まっている人は漁師さんなのだろうか?と子どもに問いかける」
彼 「・・・・・」 (食材に魚を使うすいさんなのだな)
私 「すいさんは、漁師さんだけでは業として成り立たないんだ」
彼 「・・・・・」 (すいさん活動は、料理のプロの道へも関心をもってもらうのだな・・・?)
と、暫く話していたのですが、どこか話が噛み合っていないことに気がつきました。 私は、来月予定している水産業の体験学習プログラムのことを話していたのですが、彼は別の学校で予定している「炊爨活動」のことだと思っていたのでした。 私は、野外での料理活動のことを「炊飯活動」と呼んでいますが、昨年まで大学が保有するキャンプ場で野外教育・活動をしていた彼の業界用語は、「炊爨・すいさん」だったのです。 随分と難しい漢字「爨」です。 この漢字の部首構成は、下から、「火」の上に「林」があり、興すという「おなべ」のような字が乗っている、全体が竈のような象形文字的に良くできた字だと思う。
小学5年生の野外活動で薪を使っての調理は、炊飯活動より、この難しい漢字の「炊爨活動」がしっくりゆくかもしれません。 たかが飯炊き、されど飯炊きであります。 かの本日の体験学習も15時50分から始めて終了が19時50分でした。夕暮れが早くなっているので、片付けが終わるともうまっくらです。 飯を炊き料理をし、食事をして片付けるという一連の行為はけっこう難しいものだ。
火起こしは、「富士山ボーボー方式」を今年から採用しています。 これはなかなか優れた方法です。小さな井桁を組んで、見開き一面の新聞紙を四つ折りにして軽く雑巾を絞る程度に絞り井桁の真ん中に「立てます」。その周りに焚付の細い木も「立てます」。 これは見事に一発で着火します。子ども達もほぼ完璧にマスターできる方式です。 その後の飯炊きと定番のカレーづくりは「水の量」さえ間違わなければ、隠し味やいろいろな野菜を取り入れて、まあまあの時間を使って料理はできあがります。 そして、明るい内に楽しく晩餐となります。 しかし、ここからが大変です。
調理と食事までは、班内のトラブルもありますが案外協力して進むのですが、問題は「片付け」。 これが5年生にとってはけっこう難しい作業なのです。 何が難しいかというと、道具や食器がごっちゃになってしまうのです。 食べ終わった食器をどこかに置いてきてしまう、洗い場をひと班ごとに提供できればいいのですが、隣同士の水道を使って洗い物をするので、隣が洗った物が混ざってしまう、そして誰かが持って行ってしまう、しかし、洗い終わった食器の数を数えない、持って行って数が多いと、そのまままたどこかに置いてきてしまう・・・。 こういうことが複数件起こるので「混乱」します。
先生 「こういうことが上手にできるようになるのが、5年生ですよ!」
5年生は生活するために必要な知識や技術、情報がいっぺんに増える時期なのでしょう。 5年生で宿泊体験活動、そして6年生で修学旅行をするは、子どもの発達過程においてしごく妥当な時期なんだなあ・・・と、彼らの様子を見ていて思います。
電気釜での飯炊きなら「炊飯」と簡単に書いてもいいでしょうが、野外活動で薪をつかった「いつもと違う」飯炊きは、やっぱり「炊爨活動(飯盒炊爨活動)」と呼んだ方がいいかもしれないな。
奥が深い!!