◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「貯蓄は底を尽きたが」って?

2023-01-29 10:00:12 | 言葉についてあれこれ
                                  こりゃーっ

 「年収600~800万円、住宅ローン完済組『貯蓄は底を尽きたが生活は楽』『老後のためにもうひと踏ん張り』と意気込む声も」という見出し(2020/8/2 7:00 キャリコネニュース)。「底を突く」で「なくなる」という意味になるわけで、「尽きた」と書くなら「底を」は不要。「貯蓄は底を突いたが」「もう一踏ん張り」でしょ!
 一般の人なんて、ものすごく自由で意味不明ですよ (^^ゞ。「口が酸っぱくなるまで説明しても」って、お疲れさま、本当に酸っぱくなったのかな、いやいや、「口を酸っぱくして」でしょ。「まれにない数値をあげましたね」って、いつも普通に出るのか? いや、「まれに見る」でしょ。
 「DVDが全巻戻ってきたのは不幸の幸いと思って」って、不幸っぽい幸いということか? 違いますね、「不幸中の幸い」でしょ。「教会式とはこんなものなのかと狐につつまれていたような状態です」って、毛皮のコートを想像しちゃったけど( ̄_ ̄)、「狐につままれたような」でしょ。
 テレビマンも自由さでは負けていませんよ ( ̄ー ̄)。「二の舞を踏むなって」は「ワールド極限ミステリー」(2020/9/2 21:00~22:57)で流れたビデオの登場人物のセリフですが、「二の足を踏む」と混ざっちゃった? 「二の舞を演じる」でしょ、本当はどっちなのかな、忘れました (^^ゞ。
 「戊辰戦争の思い出に花を咲かせていたよ」は「先人たちの底力 知恵泉 板垣退助」(2021/1/12)の再現ビデオに登場した大隈重信のセリフですが、もはや“リアル脳内お花畑”ですね。話がにぎやかに弾むという意味ですからね、「思い出話に花を咲かせていたよ」でしょ。
 「羽鳥慎一モーニングショー」(2021/4/1)で「激高して手も付けられないかたが」と言ったのは羽鳥慎一アナ( ̄д ̄)! いらいらして、ちょっとしたことで激怒して暴れるとか、そういう人が増えたような・・・、「手が付けられない」ですよ、そういう慣用句です。それに、そういう人を「かた」なんて言う必要はない!
 「息子の手がつけられなくて…助けてください」(2021/12/28 14:50 ママスタセレクト)は、実話をもとにした漫画の吹き出しに書いてあったセリフなのですが、「息子が暴れて手が付けられなくて」でしょ。ライターが書いたと思われる文は「途端にキレて暴れて手がつけられません」でしたが。
 「いやと言うほど思い知ったはずだ」(2021/5/26 16:05 NEWSポストセブン)って( ̄" ̄)。「いやというほど」という慣用句ですよ、「言う」ではなく「いう」です。日頃、「~と言う」と「~という…」をきっちり区別していない人がこういう中途半端な書き方をするのではないでしょうか。
 「市販薬で症状が治まったとしても、必ず病院で診察を受けることを念頭にいれておきたいですね」(2021/9/2 grape)って( ̄д ̄)! 「念頭に置く」は「考えに入れる」という意味の慣用句です。頭に入れる、考えに入れる、念頭に置く、それっぽい言葉を使うなら、正しい形をちゃんと認識してからにしましょう。
 「血で血を争う、ちょっとしたことで人をあやめてしまう」と言ったのは「知恵泉 保元・平治の乱」(2021/9/21)に登場した大学教授ですが、テロップも同じだったのは本当にいけませんね、「血で血を洗う」でしょ! 「血で血を争う」なんて、一体どういう意味だと思っているのでしょうか、まぁ、考えたくもないですが。
 「ウェークアップ!ぷらす」(2021/12/4)で「明るみになって」と言ったのは金子恵美(タレント、政治評論家)( ̄д ̄)! 「事件が明るみになったのは」(2021/12/27 6:40 静岡朝日テレビ)って( ̄д ̄)! 「明るみになる」だと思い込んでいる人たちは、誰かが「明るみに出る」と言っても聞こえないのでしょうね。
 「アバランチ」(脚本 小寺和久)#7(2021/11/29)で「顔が割れてるから気をつけて行動して」と言った山守美智代(木村佳乃)。顔が割れてるぅぅぅ( °°)って、「面が割れてるから」でしょ。「欧州こそがロシアの脅威を肌身で感じているからだ」(2022/3/18 17:00 夕刊フジ)って、「肌で感じる」でしょ、そういう慣用句です。
 「科捜研の女 21」#16(脚本 真部千晶)で「仕事の合間に、人目を盗んで」と言った古江美智流(三浦涼介)。「目を盗む」という慣用句ですよ、真相を明らかにする手がかりを職員や生徒たちに見付からないように探すということで、「仕事の合間にみんなの目を盗んで」と言わないといけないのです。脚本家も慣用句ぐらい勉強しないと。
 「敷居が高い」は、義理を欠いたり名誉を傷つけたりしたため、その人の家を訪問したり会ったりしにくいという意味。その人の家、だから「敷居」なのです。近頃は「ハードルが高い」だと思っている人のほうが多い? 「ハードルが高い」の意味なら「ハードルが高い」と言えばいいだけでしょ!
 「職員室に文句を言いに来れるほど敷居が低くなった事も」は一般人(教師)のツイートのようです。昔は、教師は生徒を厳しく指導する、時には体罰も、ということで、職員室に入るとき生徒はとても緊張したものですが、今は気軽に入れる? 「敷居が高い」の「高い」すらどこかへ行ってしまい、「低い」って・・・( ̄_ ̄)。
 「子どもやペットがいるご家庭にとって、生活に取り入れる敷居が低いのではないでしょうか」(2022/2/9 くらしのマーケット マガジン)って、もやもや Ψ(`^´)Ψ。低い敷居って、むしろ普通でしょ!? 「敷居が」と言いたいだけですね。変に飾らないで「生活に取り入れやすいのではないでしょうか」と書けばいいのに。
 何年か前ですが、「ギュッ!と石川 ゆうどきLive」(北陸朝日放送)で、「住宅展示場は敷居が高い?」というテーマを掲げ、住宅展示場を訪れると、その後、購入を勧める電話がかかってくるのではないか、そういうのは困ると思っているお客さんがいる、という話をしていたことがあります。
 そうなると、「住宅展示場は敷居が高い?」はどういう意味になるのでしょうか。後々面倒なことになりそうだから躊躇するということですよね、それは「ハードルが高い」とも違います。自由、いや、ずぼらですね、「紐解く」と同じですよ、放送に携わる人間がそんなに言葉選びを怠けていいの?

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