◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

役不足、力不足、力に余る。

2008-09-17 21:03:07 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                       手にすっぽり
 「役不足」は、実力のある俳優に通行人は役不足、その人の力量より仕事の内容や役割が軽いということである。「君には役不足だけど頼むよ」というのは、君にとっては簡単な仕事だから張り合いがないだろうけれど頼むよという意味になる。仕事の内容に対して力量が不足しているということを表す言葉としては、「荷が重い」や「荷が勝つ」「力に余る」などがあるが、「役不足」に対して「力不足」という言葉がちゃんとあるのだから、これはきちんと使い分けたい。
 以上、電子書籍『ちゃんとしゃべれ!』-スーパースプレッダーに気をつけて- の中の「役不足」に関する記述の抜粋ですが、「役不足」の意味を「力不足」と同じだと誤解している人は大勢います。いや、大勢いるというより、正しく理解している人は3割ほどしかいないという情けない状況のようです。「情けない」とあえて言うのは、このことが、「役」と「力」を混同してしまうほど日本人の日本語センスが低下しているということを示しているからです。
 誤解しているAさんと正しく理解しているBさんが話していて、互いに何かおかしいなぁと途中で気づくでしょうか? もしも気づかなかったら、Aさんは、Bさんに自分の力量を認めてもらえていないと思い込んでがっかりして終わり、ということになるでしょうね。
 「君には役不足だけど」は、「力のある君にこの役は不足だけど」ということであり、「力不足」の場合、「君は、この役をやるには力が不足しているのだけど」となり、言葉の組み立て方が違ってきます。今、日本語の肝心な部分である助詞を正しく使える人が減り、めちゃくちゃな組み立て方をしています。特に「に」は、本当は「に」なのに別の助詞、本当は「に」ではないのに「に」といった状況で、正しく使われているのをあまり見かけません。ですから、「力不足」と同じ意味の「力に余る」なんて理解できないのではないでしょうか。力が足りているのか、それとも、足りないのか、分かりますか?
 力に余る → 何が? → 役が。「余る」には、自分の力以上になるという意味があり、「手に余る」「身に余る光栄」などが思い浮かびますが、「力に」ですから、力に対して役が余る、役のほうが力より大きい、つまり、力が足りないからその役をうまくこなすことができない、ということになります。こういうふうに順序立てて想像できますか?(^.^)/~~~

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