◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「責任感の重い、愛情あふれる人」って?

2009-06-14 11:14:22 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                        守る責任
 「制服を着ると責任感を感じます」「責任感のある仕事をしていけたらなぁと」、これは、電子書籍『ちゃんとしゃべれ!』-スーパースプレッダーに気をつけて-で例として挙げたものですが、どこがおかしいと思いますか? おかしいと感じますか? 3年ほど前にこういう「責任感」の誤用に気づいたのですが、やはりときどき聞こえてきます。「責任感の重い、愛情あふれる人」もおかしいですね。
 「責任感」とは責任を重んじる気持ちのこと。「彼は責任感の強い真面目な人だ」というように、その人の考え方や人柄について言うときに用いる言葉であり、何かあったから感じるというものではありません。正しくは、「制服を着ると責任を感じます」「責任のある仕事をしていけたらなぁと」「責任感の強い、愛情あふれる人」ですね。
 インタビューで「徐々に責任感が増してきている状態で、これでさらに一つ責任感が増して」と言っていた人が、インタビュアーの安藤キャスターが「責任の重みを」と言った直後、「時間がたつにつれ、重みが増してきますね」と言いました。この人はときどきこうして他の人の誤りをさりげなく正すのですが、後輩アナウンサーに対してはもっとストレートですよ、放送中でもすぐにビシッと指摘するのですから、すごいですねぇ。こういう人がもっと多かったら、放送業界もここまで落ちはしなかったでしょうに。
 残念ながらこの誤った「責任感」もどんどん広がっており、さらに感染者を増やしています。「そろそろ責任感を・・・仕事を任されるという・・・」というふうに迷っている人も見ました。「責任感を」と言ってしまったけれども違和感があって別の言い方を考えたようです。結局中途半端になりはしましたが、この人は気づいただけましです。
 先日、市祭があったのですが、テレビで4時間生中継ですよ、すごいでしょ。パレードの出発前、「今のお気持ちは?」と聞かれた主役の俳優が、「大役ですから非常に責任感・・・責任を感じますね」と辛くも言い直しました。危なかった、ぎりぎりだよぉとホッとしたのも束の間、出発してしばらくたったころに再び「今のお気持ちは?」と聞かれ、「いやぁ~責任感重大だなぁと・・・」って、あ~あ、やっぱり言っちゃった( ̄д ̄)!

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