◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

状況を正確に表現できない日本人。

2007-05-29 10:03:11 | 言葉についてあれこれ
                     走らないのかって?
 健康とレクリエーションのための山歩き、山麓周遊、いわゆるトレッキングですが、あるとき、十数キロずつ3日間にわたって、つまり、2泊3日でゴールを目指して山道を歩くというのを「50キロ走破」と表現しているのを目にしました。「走破」とは長距離を走り通すことで、3日に分けて50キロなら走破とは言わないし、100メートルや200メートルでも走破とは言わないのです。ましてや、山歩きですから、あくまでも歩いて50キロです。ということは、「走破」という言葉は使えません。では、どういう表現が適当でしょうか。「踏破」は、困難な道や長距離を歩き抜くこと。アップダウンのある山道ですから、「3日間で50キロ踏破」というところでしょうか。
 増えすぎた鹿の食害というリポートの中で、歩きながらあちらこちらを指さし、この程度の囲いだと効果がない、網を設けてもだめだ、破られる、そういう話が続き、電気柵とトタン板で二重に囲んだ畑のところへ来たとき、「電気柵とトタン板の間に幅があることが原因」というテロップが出ました。さて、ここで問題です。電気柵とトタン板の間に幅があることにより、プラスの結果になったのでしょうか、マイナスの結果になったのでしょうか。実は、これ、電気柵とトタン板の間に幅があることによって鹿が飛び越えにくくなり、効果があるということで、プラスの話でした。どうですか、想像とは逆の結果だったでしょう?
 このように、状況を正確に表現できない日本人がどんどん増えています。ここのところ、黄砂が偏西風に乗って日本へ流れてきて、向こうに見える山が黄色くかすんでいる、ただの砂だと思ったら大間違い、中国上空を漂うさまざまな有害物質が付着し、砂と一緒に降り注いでいる、だから、何も気にしないで吸っていると呼吸器系の病気を引き起こすこともあるという話を聞きましたが、何だか似たような話ではありませんか。変な日本語を、これも時代の流れ、そういうものだと思って放置し続けたらこの先一体どうなるのでしょうか。放置してはいけない部分、目に見えない危険性というものもやはりあるのではないでしょうか。

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