◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

変な日本語、その12、「~たり」。

2007-06-07 09:43:25 | ちゃんとしゃべれ!変な日本語
                行ったり来たりしてにおいつけ
 並べて述べるときは「~たり~たり」、例として挙げるときは「~たり」なのですが、この区別をしない人たちが増えています。並列なのに「○○したり△△した人たち」というおかしな言い方がすっかりまん延し、「寝ている人を起こしたり邪魔しないように」とか、「病気になったりけがをしてしまったとき」とか、「迷子になったり逆走してしまう危険性がある」とか、「捨てたり売却する前に」とか、めちゃくちゃな言い方が毎日聞こえてきます。今、多くの人が基本を完全に忘れてしまっていますが、私はまだ忘れていないので、こういう言い方を聞くと脳みそがむずむずします。
 並列を示す接続助詞「たり」は、「行ったり来たりする」「売ったり買ったりする」「飲んだり食べたりする」のように2回以上繰り返すものですから、「寝ている人を起こしたり邪魔したりしないように」が正しい言い方です。これ以外に考えられるのは、「寝ている人を起こしたりしないように」か、「寝ている人を起こしたりして邪魔することのないように」か、「~たり」は1回で、例を挙げる言い方になります。つまり、「寝ている人を起こしたり邪魔しないように」は、そのどちらでもない中途半端な言い方なのです。
 それでも、言いたいことは分かるからいいじゃないかって? 本当にそうですか、果たしてそれでいいのでしょうか。では、「糸が絡まったり、下糸の調節は要りません」はどうですか。毎週土曜日の朝、このセリフが聞こえてくるのですが、こうなるともう支離滅裂、とても日本人の日本語とは思えません。これは、「糸が絡まったりせず、下糸の調節も要りません」と言わなければならないところで、「~たり」のことを全く分かっていません。基本を無視していつもいいかげんな言い方をしているとこうなるよぉ~という実例です(´д`)。
コメント
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