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「個人情報」とアプリ、香港の民主化

2020-08-11 19:37:44 | 徒然

しばらく前から、米国が動画サイト「Tik Tok」の使用を禁止する、というニュースがあった。
このニュースに追従するように、他の国でもTik Tokの使用禁止という動きが出てきている。
Huffpost:TikTok禁止、アメリカ政府が検討。インドはすでに禁止 オーストラリアは検討中の報道

このニュースが報じられるようになって初めてTikTokが、中国の会社が開発したスマホ向けソフトである、ということを知った方も多いのではないだろうか?
もしかしたら、今でもTikTok関連のニュースを見て、「何故?」と疑問に感じられる方もいらっしゃるかもしれない。

既に使用を禁止しているインドと中国の間では、様々な政治的問題があると言われている。
一番の問題は「国境紛争」という問題だろうし、「チベット」という問題も含まれているかもしれない。
「チベット仏教のダライラマ14世」の亡命先はインドであり、中国側にとっては「ダライラマ14世」の存在そのものが疎ましい、ということはよくご存じだろう。
「国境紛争」という問題では、今年の6月に国境付近で両者が投石や殴り合いをし、死者が出ている。
朝日新聞:中国とインド、国境周辺で衝突 殴り合いや投石で死者

米国やオーストラリアなどに関しては、おそらく「情報の漏洩」という懸念が大きいのでは?と、考えている。
そしてこの中国企業による「情報収集」という問題は、TikTokに限ったことではない。
ここ数年、人気になっているHauwie社製のスマートフォンについても、利用者の個人情報が中国に吸い取られているのでは?という、指摘は再三されてきていた。
だからこそ、米国などはHuawei社製のスマートフォンを市場から追い出そうとしているのだ。
もちろん「個人情報」という問題だけではなく、米国と中国の間には「IT産業の覇権争い」という側面がある、ということも十分理解する必要があると思う。

そして昨年から香港で始まった「民主化運動」に対して、中国が強硬手段に出たことで、単なる「産業の覇権争い+情報の漏洩(中国側としては情報の収集ということになるだろう)」という問題ではなくなってきた。
以前から指摘されている、中国最大の検索サイトサイト「百度(「バイドゥ」)では、アクセス者の情報を吸い上げるだけではなく、SNSのサイトでは中国政府に対する批判的内容が即時削除される、ということが言われている。
逆にそれらのコメントを基に、公安部隊?などが監視をするという噂もあるようだ。

そのような中国社会の中で、香港の民主化は是が非でも抑え込み、その指導者の逮捕が必要だったのだ。
何故なら、今現在の体制を保ち、香港経済を手に入れるためには、民主化は邪魔だったからだ。
そのための手段として中国政府が取ったのが、民主化運動の中心人物2人の逮捕だったのだ。

日本政府の鈍い動きを考えると、中国政府に忖度をしているのでは?という印象を持ってしまうのだが、それよりも問題なのは「Tik Tokが流行っているから、皆やっているから」という理由で、気軽に利用している人たちが多いという点だ。
何かにつけ「個人情報」といわれる昨今だが、スマホのアプリをインストールするとき、そのアプリはどのような企業が開発しているのか?という、チェックをしていない人のほうが多いだろ。
そしてそのようなアプリから、いとも簡単に個人情報が抜き取られている、という事実を知る必要があるだろうし、何よりそこまでのリスクを冒してインストールするアプリだろうか?と、立ち止まって考える時代になっている、という意識を持つ必要があると思う。
蛇足ながら、「新型コロナ」で利用者が急増した「Zoom」も創業者は中国系アメリカ人であり、個人的にはあまり利用したくないアプリの一つでもある。