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2つの4-6月期営業黒字-「コロナバブル」?-

2020-08-06 20:04:35 | ビジネス

日経新聞のWEBサイトを見ていたら、4-6月期の黒字の記事があった。
多くの企業が、大幅な赤字を出す中での黒字というのは、やはり目を引く。
記事に取り上げられていたのは、C2Cサイトの大手「メルカリ」と「任天堂」だ。

日経新聞:メルカリ、上場後初の営業黒字 4-6月

日経新聞:任天堂、純利益6.4倍 4~6月「あつ森」けん引

メルカリの場合、営業黒字ということなので、任天堂の純利益6.4倍とは比べることはできないが、なんとなくモヤモヤした気分になってしまうのは私だけだろうか?

モヤモヤする理由は、C2Cビジネスとは言え「サイトでマスクや消毒用アルコール」の転売によって、営業黒字になったのでは?という、印象があるからだ。
3月ごろから始まった「マスク騒動」は、マスクだけではなくトイレットペーパーやティッシュペーパー、果ては女性生理用品や紙おむつにまで発展した。
このような商品は、一度パッケージを開けてしまえば商品価値が無くなるモノなので、メルカリなどに出品した人達の目的は「転売」ということになる。
そして「転売価格」が、常識的な価格ではなくても生活に必要なモノであったため、高額であることを重々承知の上で、仕方なく購入した、という人も少なくなかったはずだ。
その後、トイレットペーパーやティッシュペーパー、女性生理用品、紙おむつは1ヵ月半ほどで徐々に正常化したが、この時の混乱ぶりは「オイルショック以来」のような印象があった。

一方、任天堂の「あつ森」のヒットは、元々人気が高いゲームソフトがたまたま「新型コロナ」の感染拡大時期に当たってしまった、という気がしている。
本業である「ゲームソフト」に磨きをかけ、より多くのファンに楽しんでもらおう!という創り手の思いと、ファンの楽しむ気持ちが合致したヒット、という気がしている。
それが、世界的なヒットとなることでマーク・ジェイコブスやヴァレンティノといった海外の有名ファッションデザイナーや、東京消防庁、ピップエレキバン、メトロポリタン美術館のような様々な業種の企業や公共団体、美術館などが「マイデザイン」に参加し、ゲームの面白さの幅を広げ、より多くのファンを獲得することに成功したのでは?と、考えている。
@アルテマ:【あつ森】有名ブランドや企業のマイデザインコラボ一覧

有名ブランドや企業が「あつ森」のマイデザインに参加したのは、知名度や好感度を上げるため、という目的はあるはずだが、ここまで業種を問わずに参加するということは、「あつ森」というゲームが「ゲーム以上の魅力と発信力を持っている」というからだろう。
それがたまたま「コロナ禍」と重なってしまった、ということなのだと思う。

そのように考えると、メルカリと任天堂とでは「黒字」の意味が違うのではないだろうか?
どちらも「コロナバブル」なのかもしれないが、メルカリの場合はそのサービスの魅力で営業黒字になったのではなく、「新型コロナの感染拡大」という、人の不安に付け込んだ転売ヤーが黒字をつくり、任天堂は自社製品の魅力と固定的なファンが新たな情報発信源となり、より多くの人や企業・団体を巻き込むことで黒字をつくった。

企業としての健全さは、どちらなのか?ということは、問う必要もないだろう。