日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

IOTの覇権争いが始まった

2019-12-19 21:26:49 | ビジネス

ここ最近、あまり聞くことが無かった感のある「IOT」と言う言葉。
今日の日経新聞のWEBサイトを見て、水面下で起きている「覇権争い」のようなモノを感じた。
日経新聞:「つながる家電」広がる選択肢 Amazonなどが通信統一

記事には、詳細な図解があるのでそちらを見ていただければ、と思っているのだが、記事にあるAmazon、Apple、Googleというこれらの企業は、家電メーカーではない。
米国でいうなら、GEなどが大手家電メーカーということになるはずだが、このIOTの分野をけん引しているのは、家電メーカーではなく、通信企業であるという点に注目する必要があると思う。

しばらく前、拙ブログでパナソニックの半導体事業の撤退について、エントリをした。
日々是マーケティング:不採算事業を切り捨てるだけで良いのだろうか?-パナソニックの事業売却ー

この時、半導体事業に興味を示しているのは、AppleやGoogle、Amazonである、という指摘をさせていただいた。
今まさに、それが現実化しようとしているのだ。

なぜ、日本の企業は「採算に合わない」という理由で、事業そのものを切ってしまったのか?と言えば、「IOT」というシステムを「家電と通信を繋げる」という発想だったからではないだろうか?
「家電ありき」の発想であれば、確かに不採算事業からの撤退となるのは当然だ。
しかし「通信で家電を繋げるとどのような生活・暮らしになるのか?」という視点にすると、見えてくる「生活者の姿」まで変わってしまうはずなのだ。

確かに、AmazonやApple、Googleがつくりあげた「IOT通信システム」に乗ってしまえば、簡単だろうし何より新たに開発する費用も時間も必要ではない。
だがその結果として、日本企業が失うモノは「IOT通信システムの世界基準」という、眼に見えないが膨大な利益を生み出す「仕組み」なのだ。
だからこそ、中国の「百度」なども「IOT」という通信システムによって広がる市場に興味があるのだ。

日本の企業の場合「自社開発」にこだわりが強い傾向があり、「良い製品づくり」にばかり目がいきがちのような気がする。
戦後の高度成長期での成功体験を、今だに引きずっているのが「日本のものづくり」のような気がしてならない。
今のように「もの」ではなく「〇〇ができる」という「こと」が中心の社会に変化すると、「ものづくり=ことづくり」という発想に転換しなくてはならない。
にもかかわらず、それができないのは何故だろう?

Amazon、Apple、Googleの通信規格の統一によって、IOTの標準は「米国式」になっていくのではないだろうか?
そこに乗るだけの道しかない日本の企業。
本当の意味での「発想の転換」が、求められているような気がしてならない。