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本当かな?データ分析に疑問ーOECDの読解力分析ー

2019-12-03 20:15:02 | アラカルト

日経新聞のWEBサイトに、日本の高校生の読解力が低下している、という記事があった。
日経新聞:日本の15歳「読解力」15位に後退 デジタル活用進まず

記事の内容では「ブログなどの書いてある内容を理解する力は安定して高かったが、必要な情報を探し出す問題が苦手だった」という分析の他に、パソコンによる入力解答の為、デジタル操作に慣れていないのでは、という指摘がされている。

まず「読解力」の中には「必要な情報を探し出す」という力も含まれているのでは?という、気がするのだ。
「読む力=文字を読む力」という点では、安定して高いが、文字ではなく文章全体から「何がどのように書かれているのか?」という、把握ができていないとすれば、それは「読解力が無い」ということになるのでは?
まして「国語=日本語」と考えると、このテストを受けた高校生のほとんどは、外国籍の受験者はほとんどいない、と考える必要があるだろう。
ということは「国語の読解力テスト」は、外国籍の受験者が混じることが多い諸外国よりも、遥かに有利な条件で受験しているのが日本の高校生ということになる。
「読む力=読解力」とすれば、残念ながら日本の高校生は、相当残念な状況にある、と考えても良いのではないだろうか?

「データを分析する」場合、比較対象となるべきデータの条件をそろえる必要がある。
単純に「国語=母語」として考えた場合、上述した通り日本はある意味特殊な環境である、と考えるべきなのだ。
そのような特殊な環境にありながら、「読む力は安定的に高いが、必要な情報を探し出すことが苦手」ということ自体、相当ショッキングなことだととらえる必要があると思う。
何故なら、「文章を読んでも、その内容を十分理解し、把握できていない」ということになるからだ。

これらはPCなどのデジタルを活用していないために、成績が良くなかった、という理由にはならない。
何故なら、最初の前提となる条件と関係が無いからだ。
操作に慣れていないから、入力ミスがあったというのであれば、それは過去のデータ分析やアルゴリズムなどから、ある程度の「ミスタッチによる不正解率」がはじき出され、修正ができる範囲だと考えられるからだ。

一番の問題は、諸外国よりも有利な条件の中で「文字は読めても、その文章の内容を十分理解できていない」ということではないだろうか?PCの画面に表示される文章であっても、紙に書かれた文章であっても、その違いによる「読解力」に差が出てくるわけではない。
もし、文科省が「読む力は安定して高いが、情報などを探し解答する力が弱い」などと分析をしているとすれば、相当見当はずれな分析だと思う。

もう一つ気になるのは、今回テストの対象となった科目のグラフだ。
日本の場合、年度によって極端な差が出ていることを考えると、「ゆとり教育」云々ではないような気がする
ここまで年度ごとに大きな違いが出ているとなると、文科省の教育指針の方向性が定まず、子供たちを翻弄しているのでは?という気がするのだ。