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不採算事業を切り捨てるだけで良いのだろうか?-パナソニックの事業売却ー

2019-11-29 19:53:40 | ビジネス

昨日、パナソニックが「半導体事業の撤退と売却」を発表した。
NHKNEWS WEB:パナソニック半導体事業から撤退・売却へ

ご存じの方も多いと思うのだが、パナソニックは半導体事業撤退の発表の前に、液晶パネル事業からの撤退も発表している。
ITmedia:パナソニック、液晶パネル事業から撤退 2021年めどに生産終了

相次ぐ事業の撤退の理由は「不採算事業」からの撤退による、利益の確保だ。
企業として、その判断は間違いではないと思う。
思うのだが、それでよいのだろうか?という、疑問もある。
特に半導体事業に関しては、基礎研究となる部分だけでも残す必要があるのでは?と、思っている。
というのも、2年ほど前に、某大学の公開講座で「半導体」についての話を聞くことがあった。
「半導体」の話と言っても、どちらかというと「半導体を取り巻くビジネス環境」という、ニュアンスの講座だった。

その時の話では、半導体ビジネスそのものが大きく変わりつつある、という話があった。
半導体というと、すぐに思い浮かぶのは「Intel社製」だと思う。
多くのPCに使われている半導体は、「Intel社製」だという印象を持っている方も、少なくないと思う。
マイナビニュース:2019年半導体企業ランキング、Intelが首位に返り咲き-成長率トップはソニー

そのIntelを脅かそうとしている企業のいくつかは、GoogleやAppleと言ったIT関連企業ではあるが、半導体とは違う分野の企業である、という話だったのだ。
逆に言えば「半導体」というPCの部品という見方ではなく、AIをより快適に使う為のツールとして「半導体」をとらえている、ということにもなる、という趣旨の話だったのだ。

世界を席巻する「GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)」のうち、GoogleとAppleが既に半導体事業に乗り出している(もしくは乗り出そうとしている)と言われている。
おそらくAmazonなども、IOTを進める為にも半導体事業に興味があるのでは?と、想像している。
これらの企業に共通していることは、「半導体」という物質としての事業ではなく「半導体を使った生活の変革」という視点のような気がするのだ。

とすれば不採算事業だから、と言って撤退・売却をしてしまってよいのか?という、疑問なのだ。
パナソニックがこれから先目指す事業の中にIOTに関連する事業は無いのだろうか?
既に白物家電とIOT化ということが言われるようになってきているのに、IOTを起動させる為の根幹ともいえる「半導体」から撤退することで、事業全体に及ぼす影響はないのだろうか?
などという、疑問があるのだ。
とすれば、現在の生産部門の撤退・売却とし、基礎研究となる部分だけでも残すか産学協同のようなカタチで継続することが、将来的なパナソニックの事業資源となっていくのでは?という、気がするのだ。

不採算部門からの撤退・売却というのは、経営面で見れば十分意味のある決断だと思う。
だが、そこに将来の生活者の姿を見据えたビジョンが無ければ、単なる「赤字改善策」で終わってしまうと思うのだ。





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