日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

WIN-WINの関係を模索するパラスポーツサポート企業

2019-12-24 21:29:21 | スポーツ

新聞各社のチェックをしていたら、F1のクルマのような美しい流線形の車いすに目が留まった。
中日新聞:日本企業の車いす、東京パラでサポート ホンダ、ヤマハ発など

F1のクルマというのは、大げさかもしれないが、トップに掲載されているホンダのマラソン用の車いすのデザインは、これまで私が見てきた車いすマラソンのものとは、印象が随分違っていた。
見るからに速さを競う為につくられた「乗り物」という印象を受けたのだ。

1960年のローマ大会が、パラリンピックの第1回大会だとすれば、60年という時を経てパラスポーツを支える道具も、大きな進化を遂げている、ということなのだろう。
進化を遂げるだけではなく、その時代を印象付けるようなデザインのサポート器具へと変化を遂げている、ということがホンダの車いすマラソン用の競技用車いすを見ると感じることができる。

記事を読むと、このデザインや素材など提供する企業側の本気度が、「障害者用の道具だから」という気持ちではない、ということが良く分かる。
素材にしても、アルミからカーボンへと変化していることを考えると、研究の成果として四輪車や二輪車への応用などがされているのでは?という気がしてくる。
またそれは逆に四輪車や二輪車の技術が、車いすの開発へと繋がっているような気もしてくるのだ。
どちらか一方の技術ではなく、互いに良い影響をしあい、研究・開発の種となっているような「本気度」が、感じられるのだ。

企業側からすれば、パラスポーツの機器開発は、分かりやすい利益を生み出すものではない。
だからこそ、一般技術として商品開発などに組み込まれた時には、他の企業では考えられない「使う人にとっての心地よさや利便性」というものとなるのでは?という気がするのだ。
何故なら、障害を持つ人にとって「心地よく使えるもの・こと」は、健常者にとっても「心地よく使えるもの・こと」だからだ。

もちろん、上述したようなF1のクルマかと見間違うようなデザインが、直接製品に反映されるワケではない。
その「エッセンス」となる発想や思考、アイディアが「直観」として生きてくるのだと思う。
企業にとって、利益採算という視点だけでは、赤字となるような障害者向け製品であっても、利用する障害者からの情報のフィールドバックによって、見落とされがちな問題点を指摘され、それが新たな商品開発や設計に取り込まれているのではないだろうか?

それが企業とパラスポーツ選手、そして社会の三者が「WIN-WIN-WINの関係」となる商品や市場づくりの基盤となっていくのではないだろうか?