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2つの地裁が下した判断

2019-12-18 20:34:49 | 徒然

昨日と今日、2つの興味深い裁判で勝訴の判断が下された。
一つは、森友学園建設に関する情報開示訴訟。
毎日新聞:「森友学園」情報開示訴訟 市議側全面勝訴 値引き根拠を示さぬ国「違法」大阪高裁

もう一つは、伊藤詩織さんの「レイプの有無」に関する民事裁判だ。
毎日新聞:「性行為に合意なし」伊藤詩織さん勝訴 元TBS記者に330万円賠償命令 東京地裁

「森友学園」の問題については、この情報開示がされてこそ、この問題の本質に迫ることができるという訴訟だった。
「情報開示がされない」ことで、問題の本質がウヤムヤになり事件の骨格さえ見えてこなかったはずだ。
しかし、森友学園側からは逮捕者が出たのに、便宜を図ったであろう根拠となるものは、すべてその場しのぎのような国会答弁に終始していた。
このことは、今問題になっている「桜を見る会の私物化問題」と、根っこの部分は同じなのでは?と、感じている有権者も多いのではないだろうか?
だからこそ、大阪高裁が「違法」の判断を下した意味は、とても大きいはずだ。
何故なら、公的文書は「情報開示は、国の責任である」と、大阪高裁が判断をしたからだ。

もっとも、国側というか政府側は「森友学園問題」に懲りたらしく、必要な書類はすべてシュレッダーあるいはデータ削除をし「戻すことができない」とか「保管文書に当たらない」という答弁をすることで「情報開示請求ができない」という、荒業を出している為、同様の訴訟が起きた時は「保管文書であるか否か」ということが、争点になるのだろう。
とはいうものの、IT関係者などは政府答弁に異論していることを考えると、やはり分が悪いのは国ということになるだろう。
場合によっては国側が最高裁まで争う姿勢を見せるかもしれないが、それが逆に有権者の気持ちを現政権から離れさせ、批判の的となるだろう。それだけの覚悟を持って最高裁まで争う気があるのか?

もう一つの伊藤詩織さんの事件の裁判だが、この勝訴は本当に良かったと思っている。
相手の男性は、控訴する!と言っていらっしゃるようだが、元々刑事事件となった時から、どこか怪しげな圧力のようなモノが働き、刑事事件とならなかったのでは?という、印象が強い事件だった。
それは、加害者側が起こした名誉棄損の請求額に関しても「適正とは思えない高額」であった、ということもこの事件の闇のようなものを感じさせるには、十分だったように思う。

このような事件が起きた場合、圧倒的に有利なのは加害者側であり、被害者側はセカンドレイプ場合によってはサードレイプ以上の辛い思いをしなくてはならない。
その根底にあるのは、やはり「性犯罪の被害者に対する意識」の問題があるからだろう。
そのような社会風土の中で、現政権と懇意な関係にあると言われる記者を相手に、顔を出し名前を公表し公の場で闘う姿は、同様の辛い思いをしてきた人たちに勇気を与えただけではなく、今の勝訴で「司法の独立性」に安心をしたのではないだろうか?

これらの意味で、大阪高裁と東京地裁の判断は「司法の独立性」という「三権分立」の精神が守られ、被害者や問題の本質を究明しようとする人達だけではなく、多くの市民を勇気づけるものだったように思う。