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「耕作放棄地」を集約し、農業が変わるのか?

2015-11-30 21:16:18 | アラカルト

TPPの交渉合意以来、農業分野に関して新たなてこ入れ策を、模索しているような印象がある。
特に「農林族」と呼ばれる、国会議員さんたちが多くいる自民党は、新たな補助政策を検討しているようだ。
ただ、今までのような「アメ=補助金」ばかりの政策から、少し違う政策も考えているらしい。

讀賣新聞:耕作放棄地、課税2倍で集約促進

農地は、宅地などに比べるとその課税率は、随分と低い。
それもまた「農家に対する保護政策」だったはずのなのだが、「耕作放棄地」としているのなら課税をこれまでの2倍にする、というのがこの政策らしい。
目的は、記事にある通り「集約的農業」を目指すためのようだが、いくつかの疑問がある。

その一つは、「集約的農業」をするにしても、単に耕作放棄地を集約しても実際に農業をする人がいなくては意味がない。
農家そのものが減っているコトを考えると、「耕作放棄地を集約化」しても、その集約化した農地で農業をする人がいなくては意味がないと思うのだ。
農家が減っている理由は、農業に携わる人たちの高齢化だ。
若い世代の人たちに、農業に携わってもらうような「仕組み」を作らなくては、「集約的農業」をするにしても難しいのではないだろうか?
農業法人化と「集約的農業」をセットにして、若い人たちだけではなく様々な経験を持った人たちも農業をしやすい環境づくりをする、というなどだ。

もう一つは「農家が儲かりやすい仕組みづくり」だと思う。
例えば、いくつかの自治体が取り組んでいる「耕作放棄地での薬草栽培」だ。
ヨミドクター:漢方薬原料、安全な国内産に・・・耕作放棄地で薬草栽培
岐阜市の取り組みを取り上げているが、ネットで検索すると様々な地域の自治体が、取り組んでいるようだ。
薬草栽培などは、「チャイナリスク」という点から考えても、将来性のあるモノだと考えられるし、製薬企業と一緒になって取り組むコトで、安定した収入を得るコトができる。

自民党というか国会議員さんたちは、「農業政策=米」と思い込んでいるような傾向があるように感じるのだが、「農業=米だけ」ではない。野菜もあれば果物や花の栽培なども「農業」のはずだ。
もっと幅広い視点で考えれば、「集約的農業」ばかりを考える前に、農家だけではなく生活者や企業を巻き込んでの「農業政策」のアイディアが生まれてくると思う。
そのような多角的な視点を持った政策が、日本の農家を強くするのではないだろうか。