日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「アベノミクス」は、大企業に優しく、中小・個人には厳しく?

2013-06-07 15:43:28 | アラカルト

「アベノミクス」で話題の一つとなった政策として、「働く人の流動化」があった。
その「流動化」をしやすくする為?に、「限定正社員」という「正社員」とは言うものの、契約社員でもないような、それでいて「企業にとって、雇用調整がしやすそうな正社員」が提案された。

その様な提案がされた理由の一つに「企業のグローバル化を推し進める為には、海外では一般的な雇用の流動化によって、柔軟な企業組織を作る」というようなコトが挙げられていた様に思う。
この解釈は、あくまでも私なりの解釈なので、本当のトコロは違うのかも知れないのだが、世間的には「世界では一般的・世界標準」とか「グローバル化」と言われると、何となく「それなら仕方無いな~」という、雰囲気になりやすい。
本当に、海外特に米国ではこの様な「雇用の流動化」のための「限定正社員」が存在しているのか?と言うと、どうやら違うようだ。
Newsweekのコラム&ブログに↓のような内容が、掲載されていた。
プリンストン発新潮流アメリカ: 「限定正社員」構想の議論、欧米では一般的だというのは大ウソ

冷泉彰彦さんのブログを拝読すると、上級管理職や研究職の雇用の流動化は一般的で、決して今回の「アベノミクス」で提案されているような「限定正社員」ではないようなのだ。
そう考えると、この「限定正社員」の制度を強く求めている、経団連などの意向に沿った「限定正社員」という日本独自のモノと言うコトになる。

そして、欧米では「雇用の流動化」の一つの研究職者にとって、「流動し難くなる」ニュースが、今日の朝日新聞に掲載されている。
朝日新聞: 「社員の発明、会社に特許権 知財戦略案に帰属先変更方針」

青色LEDの量産化による特許を巡って、特許権の帰属が問題になったのは、10年近く前だったと思う(「青色LED」の発明は、名古屋大学(研究当時)の赤教授によるもの。この問題となった中村教授と日亜との裁判は「量産化の特許」に関するモノだった)。
この裁判が発端となり、様々な研究者・技術者が自分が勤めている企業に対して、発明の対価の支払いを求める訴訟がいくつも起きた。
企業によっては、億を超す支払いを命じられたケースもあり、企業側としては「特許権の帰属は企業にしたい」と経団連などが強く主張していた。

これが受け入れられると、研究者や技術者は「成果目標」として、特許などの申請件数を企業から強く求められるコトになるのではないだろうか?
しかも「経費節減」の名のもと「研究費」などは抑えられた状態で、成果だけを求められる可能性もある。
研究者の流動化どころか、疲弊し、日本の強みとなる事業分野も弱まってしまうのでは?と、懸念するのだ。

そう考えると、「アベノミクス」は経団連に属する大企業には優しく、中小企業や個人には厳しい政策の様に思えてくる。
安倍さんは、「10年後には年収150万円アップを目標」と言っていたが、本当に150万円アップさせる為には、経団連の希望を叶えるばかりでは無理だと思う。