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「ヒト遺伝子」は、特許となるのか?

2013-06-14 13:18:25 | ビジネス

先月、一般誌でも話題となった米国女優・A・ジョリーの「予防的乳房切除」。
現在、日本では臨床試験的な目的で予定している病院が2病院、検討している病院が複数ある様だ。
この「予防的乳房切除」というのは、「家族性乳がん・卵巣がん」の要因の一つとされる遺伝子BRCA1・2のタイプを持つ女性が、将来的に乳がんにならない様健康な状態で、乳房を切除する、と言う手術。

この「予防的乳房切除」の根拠となるのが、「遺伝子検査」。
現在日本では、この「遺伝子検査」を実施している企業は、1社のみ。
A・ジョリーが米国で受けた検査を実施している企業と提携をしている、企業でもある。
実は、この「遺伝子検査」について、米国の最高裁で「遺伝子を特許として認めるか・否か」という司法判断がされた。

朝日新聞: 「遺伝子の特許認めず バイオ産業戦略に影響 米最高裁」

「検査をして貰う遺伝子は、自分の遺伝子なのだから、当然検査をして貰う人に帰属すべきモノ。特許の対象となるのであれば、遺伝子そのものでは無く遺伝子検査の分析器やその技術的だと思われると思う。
しかし今回問題となったのは「個人から採取された遺伝子は。採取された個人のものなので、特許の対象にはならないが、検査の為に分離された遺伝子は特許として認められるべきだ、と言うのがその趣旨。
何とも「玉虫色」の内容なのだが、どうやら医療分野におけるバイオ産業への配慮がされた様だ。

記事としては単純に「バイオ産業」とされているのだが、この場合「ヒト」に限定された「バイオ関連=医薬品」と考えるべきだろう。
特に難病と言われる病気の場合、遺伝子レベルでの研究が盛んに行われており、それらの研究成果を基に医薬品が作られることが多いからだ。
もう一つは「iPS細胞」の様に、自分の皮膚細胞から他の臓器細胞を作るコトができる様になると、遺伝子レベルでの問題も発生してくる可能性があるだろう。

ただ一つ懸念するのは、「自分の遺伝子の管理」というのは、誰がするのか?と言う点だ。
病院や検査施設での取扱いには、検査後の破棄などを求める必要があるだろう。
何故なら「遺伝子」は、その人そのものだからだ。
日本では、まだまだその様な検討すらされていない状態での「遺伝子検査」。
バイオ産業の発展も大事だが、個人についても十分検討される必要があると思う。