日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

田舎こそA級グルメを目指すべき!?

2013-05-06 19:01:09 | ビジネス

「ソトコト」という雑誌がある。
私も良く立ち読みをする(近所の本屋さん、ごめんなさい)のだが、いわゆる「LOHAS系雑誌」の代表雑誌だ。
その「ソトコト」をパラパラと見ていたら、これまでとは違う「町おこし」が特集されていた。
ソトコト6月号「特集;野菜を作って未来を変える!」

特集に取り上げられていた一つが、島根県邑智郡にある邑南町だった。
広島県と接する、山奥の小さな村落が集まる郡部。
石見牛などの生産に力を入れているのは知ってはいたのだが、今はもっと進んでいるようだ。
その一つが、地産地消のレストランの経営だろう。
素材香房味蔵-ajikua
おそらく山形県庄内にある、奥田政行シェフの「アル・ケチャーノ」をモデルにしているのでは?と思うのだが、それよりも一歩進んでいるのでは?と思うのは、地域全体で「A級グルメ」を目指している、と言う点だ。

「富士宮やきそば」の大ヒット以来、「B級グルメ」は町おこしの切り札として使われきた。
実際、「富士宮やきそば」の経済効果は、B-1グランプリ優勝から現在まで440億円くらいだと言われている。
「富士宮やきそば」の大ヒット以来、全国各地の自治体では「我が町のB級グルメづくり」に熱心だ。

そんな「B級グルメ」のブームに乗るコトも無く、邑南町は町を挙げて「A級グルメ」を目指している。
確かに石見牛をはじめ邑智郡内で作られる農畜産物は、生産量こそ少ないものの、良質のものが多い。
また水質の良さから、高級食材「キャビア(チョウザメの飼育)」も生産しているようだ。
だからこそ、生産者への敬意と農畜産物に対する自信を持って、「A級グルメ」と呼んでいるようだ。
それだけで終わってしまえば、「A級グルメの農畜産物を作っている」に過ぎないのだが、地域活性化のために、もう一歩踏み込んだ発想で、地産地消ができるシェフ兼農家「耕すシェフ」という制度を作っている。
3年という時間をかけ、シェフとしてだけでは無く農家としての技術や知識を得てもらう、と言う研修制度。
「例え出荷量が多くなくても、邑南町に来て食べてもらう」ことで、地域の活性化を目指していると言うコトだ。

雑誌「ソトコト」には、同様の活動をしている全国の農業団体や自治体が紹介されている。
地方で進む農業をはじめとする第一次産業の高齢化だが、本気で取り組んでいる所と霞ヶ関からのお達しを待っているだけの所とでは、数年経たないうちに地域差が生まれるだろう。
霞ヶ関からのお達しを待っているだけでは、地域は活性化しない、と言う良いモデルケースが邑南町の取り組みのような気がする。