日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

発想を変えるコトの大切さ

2013-01-23 12:48:08 | ビジネス
先日、「2年ぶりトヨタ自動車世界販売第一位を奪取」と言うニュースがあった。
今や日本の基幹産業となった自動車産業。
その「顔」とも言えるトヨタの躍進(?)は、日本の経済に明るいニュースとなった様に思う。
思うのだが、手放しで喜べる話なのか?と言うと、チョッと違うのでは?と言う気がしている。
確かに「トヨタ自動車」という企業のクルマの販売台数が世界一位というのは、喜ばしいコトだと思う。
思うのだが、販売された自動車の総てが、日本で生産されている訳では無い。
今や米国や中国で販売されているクルマの多くは、現地生産されたクルマなのでは?
30年ほど前のように、日本の港に輸出されるクルマがズラリと並んで、世界へと運ばれた訳では無い、と言うコトを考える必要があると思う。

ところで、そのトヨタに限らず自動車販売店が、販売を担当している。
そして毎週末の様に「今度の土日は、販売店へ」というテレビCMや、新聞の折り込みチラシなどが入ってくる。
この「今度の土日は、販売店へ」というキャッチフレーズ、おそらく40年以上変わらないフレーズだと思う。
随分長い間使われているキャッチフレーズなのだが、自動車に対する生活者の意識は40年前とは大きく変わってしまっていると思う。

40年以上前と言うのは、私が小学校の高学年の頃でオイルショックなどもあった時期ではあるが、その頃「クルマを買う」というのは、家族の一大騒動だった。
だから「クルマを見に家族で出かける」と言うコトも当たり前のようにあったし、それが週末の家族イベントの一つでもあった。
今、感覚を持って、新車を見にディーラーに足を運んでいる人は、どれほどいるのだろう?

週末のウォーキングを兼ね、5㎞ほど自宅周辺を歩くと多くの販売店のショールームを見るコトになる。
その中には「レクサス」や「ヤナセ」と言った高級車を扱うトコロもあれば、もちろんトヨタや日産、ホンダやマツダ、三菱などの販売店もある。
それらのショールームを見ていると、確かに子ども向けプレールームなどを設置して、「家族で来て下さい」という配慮はされているのだが、そこで遊ぶ子ども達の姿などはほとんど見かけ無い。
あくまでも「クルマを展示し、商談をする場所」と言う印象だ。

一方、自動車メーカーのサイトを見ると「アウトドア」や「ペットと一緒にドライブ」というコンテンツが目立つ様になってきている。
販売店の現場とWEBのコンテンツが、連動していないのだ。
ショールームは「クルマを見せるだけの場所」では無く、「クルマのある生活を提案するコミュニケートスペース」だと考える時代になってきているのでは?
せっかくWEBサイトでは、様々な生活提案をしているのに、ショールームではクルマを見て貰い、商談をするだけの場所になっているコトに、ギャップを感じる。

「今度の土日は販売店へ何をしに来て貰うのか?」という視点を持たないと、40年前と全く変わらないと言うコトになると思う。
別に、アウトドアやペットとドライブという内容でなくても良いと思う。
「クルマと介護」と言うテーマでイベントをしても良いと思うし、そのためのサポート用品を販売するコトだって、クルマを販売する側には大切なコトだと思う。

「今度の土日は、販売店へ」というおきまりのキャッチフレーズの意味を、そろそろ変える時期にきているのでは?
そんなコトを、自動車販売店の前を散歩しながら、考えるのだった。