日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

獲らぬ狸の皮算用?-タバコ1箱1,000円になったら?-

2008-09-18 21:14:09 | マーケティング
日経新聞のWEBサイトに、たばこ1箱1000円で最大年1.3兆円の税収増 厚労省が推計 という記事が、掲載されていた。
統計学の手法を用いた推計ということだが、果たして厚労省が思ったような数字となるのか?

ただこの数字をみてみると、「タバコの値上がりで、禁煙や節煙を試みる人の内44%程度(1,000円に値上がりした場合)しか減らない」というコトだ。
個人的には、この数字の低さに驚いている。

本当にそうなの?と、いささか疑心暗鬼なのだが・・・。
統計学というのは、マーケティングではデータ分析などで使う手法のひとつなのだが、この統計学というのが、どれほど中てになるのかといえば「・・・」な時も少なくない。
予想屋がマーケターの仕事ではないので、データ分析となるデータをどう読み解くのか?というのが大切なのだが、データばかりに気をとられると、失敗するコトも多いのが現実なのだ。

それがいわゆる「消費マインド」と呼ばれるモノで、「(身近な)○○さんが、禁煙したからタバコをやめる」だとか「××さんが、タバコが原因で病気になった」というコトをキッカケとして、禁煙に取り組むという人が少なからずいる、というコトなのだ。
単に「タバコが1,000円になったから」だけではなく、周囲の身近な人が健康を害してタバコをやめるという理由があるはずなのだ。
その様な点を含んだ数字ではない、という点でやや疑問があるのだ。

もちろん「タバコ1箱1,000円」をキッカケに、禁煙する人は多いだろう。
実は、「タバコ吸っていると、無駄遣いをしているな~、と思うんだよね。だって、栄養になるどころか、自分で自分の体を壊しているんだから・・・」と、言った友人がいる。
この言葉には、タバコをやめる動機を2つ挙げている。
ひとつは「タバコそのものが、栄養にもならず消えてなくなる高価な無駄遣い」という点。
タバコを止める理由とすれば、それは1箱1,000円というコトになる。
もうひとつは「自分で自分の体を壊している」という点だ。
これは上述した「××さんが、病気になった」というコトと同じだ。
タバコのパッケージに表記されている「タバコは、あなたの健康を著しく害します」というのは、この2つ目のコトを言っているのだ。
「それでもよければタバコを吸ってください。総てはあなたの自己責任です」という、意味でもある。

「タバコ1箱1,000円で年最大1兆円余りの税収アップ」というのは、果たしてどうなの?という、疑問を持って、喫煙者の社会行動を見る必要があると思うのだ。
なぜなら、そこには統計学では計り知れないモノがあるからだ。

「星の数」は、何の評価?-京都VSミシュランガイド-

2008-09-18 10:56:12 | アラカルト
昨年の秋話題になった、「ミシュランガイド東京版」。
名古屋に住んでいる私にとっては、関係のない話!と思って、書店で立ち読みをすることもなくおわった。
例え東京に行っても、ミシュランに登場するようなお店で、食事ができると思っていないというコトもあった。
その「ミシュラン・ガイドブック」の京都版が、出版される企画があるようだ。
ところが、京都の老舗料理店が軒並み掲載を拒否していると、今日の朝日新聞のWEBサイトにあった。

京都は、個人的に好きなので、年に1回くらいは出かける。
私がいけるようなお料理屋さんは、ミシュランの候補にも上がらないようなトコロなのだが、それでもネットで探し、口コミレビューでチェックをし、行っている。
そこまですると、ハズレ!というコトはまずない。
私などは、その程度で十分だと思うのだが、世間的にはやはり「ミシュランの星」で、食事を楽しみたいと、思っている方も多いのかもしれない。

そもそも「ミシュラン・ガイド」は、そんな目的で作られたのではない(ハズだ)。
クルマで旅行する人たちのための「安心・安全・快適」のための、ガイドブックだったと記憶している。
それがいつのまにか、レストランなどの「格付けガイドブック」となってしまった。
そしてガイドブックの評価を表す「星の数」で、お店の格付けとなったのだが、その「星の数」って、本当に合っているのだろうか?と、東京版のときに思ったのだ。

「日本人が食べて美味しい」と感じるコトと「欧米人が食べて美味しい」と感じるコトは、微妙に違うような気がするのだ。
「美味しいお店」といっても、下町のもんじゃ焼き屋さんが掲載されているわけでもなく、「いかにも」というつくりのお店が掲載されている。
欧米人が観光で行くお店としては、良いのかもしれないが、だからといって日本人向きか?といえば、「そこんとこ、どうよ!」という気がする。
と言うコトは、欧米向きのお店をピックアップ、掲載しているに過ぎないのでは?

記事中にあるように、京都の老舗料理店だけではなく和菓子屋さんでも「一見さんお断り」というところがある(実は、私の好きなお菓子屋さんは、事前予約が必要だったりする)。
それを「気位が高い」と見るか、紹介者という保証人がつくことで、取り逸れをしない商売のやり方と見るのかは、イロイロだろう。
その代わり、受けるサービスは最上級。
お店の前の打ち水から、庭の手入れ、部屋のしつらえ、床の掛け軸や花など、それこそ「その人の食事ための特別な時間と空間(とお料理)」を用意をしてくれる。
その価値は「星の数」で決められるのか?
というより、ミシュランに掲載されることで、老舗料理店はプラスがあるのか?
個人的にはプラスよりもマイナスの方が、多いような気がするのだ。

「ミシュランガイド」に頼らずとも、美味しいお店は一杯ある。
自分の足と情報収集力で、見つけるほうが楽しいと思うのだが・・・。