日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ニッポン売りと見るか?それとも・・・

2008-09-28 21:42:19 | ビジネス
日経新聞のWEBサイトに、スティール、日本株売却 08年累計700億円、運用成績が悪化 という記事が掲載されていた。
日本企業の運用実績悪化に伴い、売却を急いでいるようだ。

トコロでこの記事を読まれて、どう思われただろう?
よく言われる「ニッポン売りが始まった」と、見る方もいらっしゃると思う。
「日本企業が魅力がない」と、思われる方もいらっしゃるかもしれない。
私は「ニッポン売りが始まった」というよりも、「本来の株主の姿が求められるようになってきた」と、感じたのだ。
というのも、昨年の株主総会での話題は「スティール一色」という感じで始まった。
スティール側の言い分は「株主に対する利益を多くする事」ばかりだったような感じだった。
ファンド会社なのだから、安い株を買って高値で売り抜ければ、それが利益となる。
そのためには「株主にとって魅力的な会社であれ=高配当」という考えばかりを主張していた印象があるのだ。
確かに「高配当」は、株主にとって魅力的なコトだが、それだけが企業の魅力なのか?といえば、そうではない。
その企業の考える社会貢献や、地域との関わり方、何よりも一番大切なことはお客様を大切にしている、というコトのほうが大きいのではないだろうか?

昨年、話題になった人たちがいた。
それが「デイトレーダー」と呼ばれた、素人さんがネット上で、株を証券会社のトレーダーのように、売買をして儲けていた人たちだ。
今年に入り、「デイトレーダー」と呼ばれる人たちの話を、聞かなくなった。
実際、どれだけの「デイトレーダー」が儲けたのかは知らないが、おそらく多くの方たちは、儲けよりも損の方が多かったのではないだろうか?
そんな人たちにとって、株価は気になっても企業のあり方は関係がなかった。
だからこそ、スティールのような発想の企業に共感していたのかもしれない。

ところが、サブプライム問題など次々とアメリカ発の経済問題が噴出し、スティール自体も大変厳しい状況になってきているのではないだろうか?と、勝手に想像しているのだ。
だからこそ、長期的成長でしか期待できない日本の企業を手放し、短期的に儲けられそうなトコロへと転換しているのではないだろうか?
あくまでも私の想像なのだが・・・。

今のような経済状況だからこそ、社会貢献意識の高く、お客様中心(=生活者中心)の企業への投資ができるような気がしている。
その様な企業の株は短期的利益は出せないかもしれないが、将来に渡ってそれなりの株主利益を提供できるように思うのだ。

ファンド会社の日本企業離れは、「ニッポン売り」のようにも思える。
だが、「短期間で売り買いをし、儲ける」というあり方そのものが、今の企業投資に合わなくなってきている、というだけなのではないだろうか?







俳優とビジネスと社会活動-ポール・ニューマン訃報-

2008-09-28 08:15:18 | ライフスタイル
新聞各紙がポールニューマンの訃報を伝えている(紹介記事は、毎日新聞)。
今の30代の方にとっては、「ハスラー2」の印象が強いかもしれない。
私と同世代以上の方にとっては、「明日に向かって撃て!」か「スティング」もしくは「タワーリング・インフェルノ」か?
いわゆる「二枚目俳優」さんだったのだが、単なる「二枚目俳優」というよりも、幅の広い演技ができる実力派俳優さんだったように思う。

映画ファンの方はよくご存知だろうが、ポール・ニューマンは有能な企業経営者でもあった。
料理上手だったポール・ニューマンが「自家製サラダドレッシング」を製造する会社「ニューマンズ・オウン」を起業し、販売し始めたのは30年近く前の話だ。
当時は、「人気俳優のお遊びビジネス」程度にしか見られていなかったのだが、これが今ではアメリカ家庭の定番となっている程のヒット商品となった。
もちろん、現在はサラダドレッシングだけではなく、パスタソースやサルサソースなども製造・販売をしている。
その意味では、「事業家としても成功した人気俳優」ということになるだろう。

ただ、ポール・ニューマンが単なる「事業家として成功した人気俳優」にならなかったのは、その社会活動が大きい。
その社会活動の幅は広く、息子さんが麻薬中毒死をしてからは麻薬撲滅活動を支援し、不治の病と闘う子供たちを支援する国際的な団体に対して企業収益の一部をチャリティーとして寄付を続けている。
その意味では「人気実力俳優兼企業家+社会慈善家」だとも言える。
「ニューマンズ・オウン」HPに掲載されている、子供たちとの写真の笑顔が素敵な事を見れば、その活動を楽しんでいるということがよく分かる。

そんなポールニューマンの一面を伝える記事があった。
「Wired Vision」のポール・ニューマンのフィランソロピー計画がそれだ。
特に記事中にある
企業は「ただのキャッシュレジスター」ではない
という言葉は、「慈善的な貢献は、社会への投資だと考えている」からこそ出てくるのだろう(この点が、日本の「タレント兼事業家」と大きく違う点でもある)。

ポールニューマンは、実に自分を上手にブランド化し、企業家として成功させただけではなく、社会慈善家としても成功させた稀有な人物だったように思う。
その引退の仕方も、彼らしくとても素敵だった。
ご冥福をお祈りしたい。