![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/2d/5adf64557ea2ddcca0036de87787cd6a.png)
「次の一手 問14」です。
この問題図は、去る11月5日に行われた女流プロのタイトル戦倉敷藤花三番勝負「甲斐智美-山田久美戦」第1局の終盤の、実際にはその対局に現われなかった筋を研究していて出現した局面です。
ヒント:
先手玉も後手玉も共に詰みなし。
先手玉は後手から(歩や銀など)7七に駒を打たれると危なくなるのでその筋に気をつけること。
8九飛成からの詰み筋にも注意しよう。
答えの発表は、2日後を予定しています。
【倉敷藤花三番勝負「甲斐智美-山田久美戦」第1局から】
甲斐-山田80手
これがその倉敷藤花「甲斐-山田戦」。 図は80手目、後手の挑戦者山田久美女流が5六角と打った場面。
結果的には、この5六角では4二銀が正着で、それなら後手が優勢を保てたと局後、結論された。(しかしここで5六角と打ちたい気持ちは多くのアマチュア棋士も共感するところだろう。)
先手の甲斐智美倉敷藤花は、ここで「5三桂不成」。 これを5三桂成は3四角と桂馬を取られて自信がなかったので、「不成」としたのだった。「不成」なら、次に4一の金も桂馬で取れる。
ここで山田さんは3八角成から攻めていった。ずっとこの攻めを考えていただろうしその気持ちはよくわかる。
しかしここでも3四角と踏みとどまるのが正着、というのが彼女らの局後の感想戦での結論だったようだ。そして3四角なら「千日手が濃厚」ということになったらしい。
実戦の進行は、「5三桂不成、3八角成、同玉、4七金、2八玉、3八飛、1七玉、2八銀、2六玉、3七銀不成、3五玉、4六銀不成、4五玉」。
甲斐-山田93手
ここから、「3五飛成、5四玉、6二歩」と山田さんは追ったが、結局甲斐さんの玉を捕まえることはできなかった。
さて、この図で、「3四飛成、同玉」として、この先手の玉は捕まえられなかったか、というのが筆者の今回の「研究」のテーマである。
研究図1a
「3四飛成、同玉」に、「4二金」でどうだ。(4二金に換えて、3三桂や、5二金も考えたいところ。)
ソフト「激指」はこれで後手優勢とずっと前の局面から判断していた。これが「激指」の読みの“本線”らしい。こういう展開(玉を堅くして小駒だけで攻める)はソフトの得意とするところだ。人間は飛車も角もないこういう細い攻めは不安になるので本能的に避けたがる。とはいっても、本局の場合、居飛車側は、3五飛成では全然駄目だったので、これを選ぶしかなかった。
しかしソフトだって、間違いはたびたびある。 この図、「激指」も初めは「後手優勢 -500」くらいだったが、じっくり数十分考慮させると、そのうちに数値は変わり「互角 +287」となった。
本当のところはどうなのか。
研究図1b
さて、その図面を180度回転して、以下、便宜上先手後手を入れ替えたこの図面からあらためて考える。
ここで後手(実際は先手だったが)はどう指すか。
5九飛が有力だ。(他に8五玉が有力。 なお、4九飛は、5七金で先手が良くなる。)
「5九飛、7七金、8五玉、7六桂」と進む。
研究図2
次に8六金からの“詰めろ”だ。 そこで後手は「9五歩」。端に逃げ道を広げた。
研究図3
9五歩には「9六歩」が正着で、これ以外の手は負けになる。たとえば8六金、9四玉、9六歩とすると、そこで7七歩が必殺の返しワザ。(下、参考図)
参考図
これは8九飛成からの“詰めろ”だし、この歩を7七同銀左と取るのも、8九飛成、同銀、同竜以下詰んでしまう。先手負けだ。
先に9六歩なら、その時に後手は7七歩とはできないから他の手を指さなければならない。
「6八角」と指すとする。これは次に7七角成をねらっている。先手9五歩なら、7七角成で後手が勝つ。
そこで、先手はそのねらいをはずしながら「8六金」と出る。これは“王手”だ。
「研究図3」から、「6八角、8六金、9四玉、9五歩、9三玉、9四歩、8二玉」で、次の図となる。
(8六金に同角成は、同歩、同玉、7七角、7六玉、5九角で先手勝勢になる。)
研究図4(=出題図)
これが今回の「次の一手」の問題図です。 “正解手”を指せば、先手が勝ちになります。
(大山名人杯)倉敷藤花戦の棋譜・ブログはこちらでどうぞ。
この問題図は、去る11月5日に行われた女流プロのタイトル戦倉敷藤花三番勝負「甲斐智美-山田久美戦」第1局の終盤の、実際にはその対局に現われなかった筋を研究していて出現した局面です。
ヒント:
先手玉も後手玉も共に詰みなし。
先手玉は後手から(歩や銀など)7七に駒を打たれると危なくなるのでその筋に気をつけること。
8九飛成からの詰み筋にも注意しよう。
答えの発表は、2日後を予定しています。
【倉敷藤花三番勝負「甲斐智美-山田久美戦」第1局から】
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これがその倉敷藤花「甲斐-山田戦」。 図は80手目、後手の挑戦者山田久美女流が5六角と打った場面。
結果的には、この5六角では4二銀が正着で、それなら後手が優勢を保てたと局後、結論された。(しかしここで5六角と打ちたい気持ちは多くのアマチュア棋士も共感するところだろう。)
先手の甲斐智美倉敷藤花は、ここで「5三桂不成」。 これを5三桂成は3四角と桂馬を取られて自信がなかったので、「不成」としたのだった。「不成」なら、次に4一の金も桂馬で取れる。
ここで山田さんは3八角成から攻めていった。ずっとこの攻めを考えていただろうしその気持ちはよくわかる。
しかしここでも3四角と踏みとどまるのが正着、というのが彼女らの局後の感想戦での結論だったようだ。そして3四角なら「千日手が濃厚」ということになったらしい。
実戦の進行は、「5三桂不成、3八角成、同玉、4七金、2八玉、3八飛、1七玉、2八銀、2六玉、3七銀不成、3五玉、4六銀不成、4五玉」。
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ここから、「3五飛成、5四玉、6二歩」と山田さんは追ったが、結局甲斐さんの玉を捕まえることはできなかった。
さて、この図で、「3四飛成、同玉」として、この先手の玉は捕まえられなかったか、というのが筆者の今回の「研究」のテーマである。
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「3四飛成、同玉」に、「4二金」でどうだ。(4二金に換えて、3三桂や、5二金も考えたいところ。)
ソフト「激指」はこれで後手優勢とずっと前の局面から判断していた。これが「激指」の読みの“本線”らしい。こういう展開(玉を堅くして小駒だけで攻める)はソフトの得意とするところだ。人間は飛車も角もないこういう細い攻めは不安になるので本能的に避けたがる。とはいっても、本局の場合、居飛車側は、3五飛成では全然駄目だったので、これを選ぶしかなかった。
しかしソフトだって、間違いはたびたびある。 この図、「激指」も初めは「後手優勢 -500」くらいだったが、じっくり数十分考慮させると、そのうちに数値は変わり「互角 +287」となった。
本当のところはどうなのか。
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さて、その図面を180度回転して、以下、便宜上先手後手を入れ替えたこの図面からあらためて考える。
ここで後手(実際は先手だったが)はどう指すか。
5九飛が有力だ。(他に8五玉が有力。 なお、4九飛は、5七金で先手が良くなる。)
「5九飛、7七金、8五玉、7六桂」と進む。
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次に8六金からの“詰めろ”だ。 そこで後手は「9五歩」。端に逃げ道を広げた。
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9五歩には「9六歩」が正着で、これ以外の手は負けになる。たとえば8六金、9四玉、9六歩とすると、そこで7七歩が必殺の返しワザ。(下、参考図)
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これは8九飛成からの“詰めろ”だし、この歩を7七同銀左と取るのも、8九飛成、同銀、同竜以下詰んでしまう。先手負けだ。
先に9六歩なら、その時に後手は7七歩とはできないから他の手を指さなければならない。
「6八角」と指すとする。これは次に7七角成をねらっている。先手9五歩なら、7七角成で後手が勝つ。
そこで、先手はそのねらいをはずしながら「8六金」と出る。これは“王手”だ。
「研究図3」から、「6八角、8六金、9四玉、9五歩、9三玉、9四歩、8二玉」で、次の図となる。
(8六金に同角成は、同歩、同玉、7七角、7六玉、5九角で先手勝勢になる。)
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これが今回の「次の一手」の問題図です。 “正解手”を指せば、先手が勝ちになります。
(大山名人杯)倉敷藤花戦の棋譜・ブログはこちらでどうぞ。
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