≪8八金図≫ ~香車ロケット2号作戦~ 後手「7六と」の変化
終盤探検隊は、来るべき≪亜空間最終一番勝負≫に備え、研究準備をしているところ。
『香車ロケット2号作戦』は、はたして「先手勝ち」につながる作戦なのか?
[世代宇宙船バンガード号]
――<船>、その歴史、その機械と設備、<船>を建造し、初めて動かした人々、それらの人々の<地球>における歴史――地球とは信じられないほどのものだった。その奇妙な場所では、人々は内がわではなく外がわに住んでいる住んでいるというのだ。
ヒョウは、なぜかれらが落ちてしまわないのだろうと、ふしぎに思った。
忘れ去られてしまったほどの昔、ジョーダン財団にやとわれた機械設計技術者たちは、その<旅>が、予定されていた六十年という長さを超えることがあっても、損耗してしまわないような――損耗しようがないような<船>を設計することを求められた。そしてかれらは、求められて以上のことを求められた。主推進エンジンと補助機械を設計するときには、<船>の中で人々が生活していけるようにするため、ほとんどを自動的に動くようにし、(以下略)
こういった仕事(アクション)においては、摩擦はその意味を失い、摩耗と腐食は姿を消した。そのため、反乱がおこって現場技術員がすべて殺されたあとも、<船>はまだ光をともし、空気は新鮮で温度を保ち、エンジンはいつでも動くように待機しながら、宇宙を突進していたのである。
(ロバート・A・ハインライン著『宇宙の孤児』より )
このハインライン著『宇宙の孤児』の初出は1941年で、ハイラインの小説デビュー3年目、34歳である。
現実世界は、まだ日米開戦前の時期で(日米開戦は1941年12月)、まだ「核分裂」のことは物理学者しか知らず、エンリコ・フェルミが中心となって世界初の原子炉シカゴパイル1号(CP-1)の設計・実験の段階であった。
この小説に出てくる<宇宙船バンガード号>(バンガードは先鋒、前衛の意味)は、「恒星間世代宇宙船」である。どういうことかというと、遠い星(恒星)をめざして、宇宙船の中で生活し、出発した時の乗組員は老いて死んでしまっても、その宇宙船の中で生まれ育った二世代目、三世代目の子供たちが、目的の恒星にたどり着くようにという計画で設計された巨大な<宇宙船>なのである。
超空間ジャンプ(ワープ航法)などが発明されない世界でどうしても外宇宙へ行きたいなら、現実的にはこういう発想になるだろう。
おそらく、その全体は円筒形を基本としていて、回転の遠心力によって「重力」をつくり、円筒の外壁の“内側”に人々は住み、そこには「農場」もある。それほどの巨大な“円筒”である。
推進力ははっきりとは記されていないが、<転換炉>によって、「質量」をすべてエネルギーに変えることができるようだ。
<宇宙船バンガード号>が地球を出発したのは、どうやら22世紀のことらしい。この巨大宇宙船は宇宙空間において、60年をかけて、ジョーダン財団によって建造された。
目的地は、「プロキシマ・ケンタウリ」で、これはわれわれの「太陽系」から最も近い距離にある恒星で、その距離は4.25光年。「プロキシマ・ケンタウリ」にある惑星に住めそうだと確信があって、飛び立ったのであろうか。
ところが、計画通りにいかず、途中、宇宙船内で激しい“内乱”が起き、科学者や技術者など重要人物はほとんど死んでしまう。“中の人”はほとんど科学素人ばかりになり、やがて「科学」は宗教のようなものになっていった。「科学者」という職についた男が、物理学の入門書を解説し、ニュートンは愛を説いたのだ、などと言い出す始末である。
時が過ぎ、次世代、三世代目になると、もう“中の人々”は、地球を知らず、それどころか自分の住んでいる世界が<宇宙船>であることも知らず、宇宙(星空)を見たこともない人間ばかりになって―――
それでも<世代宇宙船バンガード号>は「ケンタウリ」をめざして進んでいく。
という設定の物語。
面白いことに、現実の2016年8月、恒星「プロキシマ・ケンタウリ」を公転する、“地球に似ている(かもしれない)惑星”が見つかったと、ヨーロッパ南天天文台によって発表されている。 この惑星は、「プロキシマ・ケンタウリ惑星b」と呼ばれる。
「ケンタウリ座」はどうやら“二重星”であるとわかってきたのが17世紀。これは望遠鏡の発展による。それは「アルファ・ケンタウリ」と呼ばれることになった。
この「アルファ・ケンタウリ」の近くに、もう一つ恒星が発見された。1915年のことで、発見者はイギリス人ロバート・イネス。(その星は少し温度が低い恒星なのでアルファより暗く、そのために発見が遅れた)
ということで、この「プロキシマ・ケンタウリ」も加えて、“三重星”であるとみられている。(“みられている”としたのは、異論もあったからだが、今ではほぼ確定的らしい)
“二重星”の「アルファ・ケンタウリ」から、ずっと離れたところ――太陽と冥王星の距離のおよそ400倍――に、「プロキシマ・ケンタウリ」があって、これが“二重星”の周囲を50万年以上の時をかけてゆっくりとまわっている。そういう状況から、現在では(あと数十万年の間ずっと)、「アルファ・ケンタウリ」(二重星)よりも、「プロキシマ・ケンタウリ」のほうが、地球に近い。よって、地球に最も近い距離にある太陽以外の恒星は、「プロキシマ・ケンタウリ」のほうであり、それを公転する惑星が最近発見されたというこということなのであった。
つまり「プロキシマ・ケンタウリb」は、“最も地球に近い惑星太陽系外の惑星”なのである。
念を押しておくが、こっちは現実の話で、小説の話ではない。そして、「ケンタウリ」は、南半球の星座で、日本では見ることができない。
小説のほう――『宇宙の孤児』の<バンガード号>は、ついに目的地「ケンタウリの惑星」に到着し、“彼ら”はそこに降り立つのであった。
≪7六と図≫
『香車ロケット2号作戦』の3九香に対し、6六と、9七玉、7六と(図)と進んだところ。
前回の報告では、「7七と」を探査し、“先手勝ち”の結論を得た。この結論には我々は自信を持っている。
しかし正直なところ、これから報告する「7六と」以下の展開については、変化が多く、“結論に自信あり”というところまでは、調べきれていない。変化が多いのである。
だがそれでも、「結論」までは出したいと思う。
「7六と」に、9八角、8七桂成、同角、同と、同玉、7五桂、9七玉、7八角、8八金と進む(次の図)
≪8八金図≫
ここまではこれがお互いに最善の応酬と思われ、変化の余地がないところ。
ここでしかし、後手に選択肢がある。次の2つである。
5六角成
6七角成
(4五角成は、6五歩、同銀、5七桂があって後手悪い)
この2つの手の後の展開を、探査していく。
≪5六角成図≫
5六角成(図)。 我々の考えでは、ここでの最善手は5七歩(次の図)である。
(7六桂も有力だが、6五銀とされると、その後の先手のよい指し方がわからず、形勢不明)
≪5七歩図≫
この「5七歩」には、[鷲]4五馬と、[鷹]6七馬とがある。
≪鷲の図≫
[鷲]4五馬。
ここで先手は2六桂。それには“3三玉”がおそらく最善と思われるが、まず「3五銀」(次の図)とした場合について、触れておこう。
鷲図01
3五銀、同香、同馬、4一銀、4二金、5一竜、3三玉、3九飛(次の図)
鷲図02
先手良し。 (以下、4四玉に、5二銀成、同金、同竜とする)
鷲図03
2六桂に、“3三玉”(図)としたところ。
対する先手の次の手が悩ましい。(選択肢が広い。しかしすぐに良くなる手もない)
我々の選択肢した手は、“8二馬”(次の図)である。
鷲図04
以下4四玉に、7三歩成とする。
7六歩、7八歩、6六歩、3七桂、4六馬、3四桂、6七歩成、4五銀(次の図)
鷲図05
4五同馬、同桂、同玉、7二馬(5四桂なら8三と)、4六玉、3七飛(次の図)
鷲図06
次に3五角の一手詰。4四銀引で後手はそれを防ぐが、先手は3六馬、5五玉、4七飛と後手玉を追う。
以下、5四桂と抵抗するも、3七角、6六玉、5九角、5五銀左、4五馬、6五銀、4八角(次の図)
鷲図07
4八角は、次に5六歩、5七銀、同角、同と、7七金打以下の“詰めろ”。 先手勝ちとなった。
この変化は、先手の馬が7二馬から使えたのが勝因となった。
鷲図04(再掲)
先手の“8二馬”まで戻って、ここで7四歩(先手7三歩成を指させない)と手を代えてみる。
以下3四桂、4四玉に、4六歩(次の図)
鷲図08
ここで“4六歩”と打つ。
さて、後手はこれを、銀で取るか、馬で取るか。
まず4六同銀には、先手5六銀がある。以下、馬を逃げても勝ち目がないので、後手は5七銀成とし、4五銀、同玉で、“入玉”をねらう。
先手は3七角(次の図)
鷲図09
5六玉、5九角、4八銀、6四馬、同銀、2六飛(次の図)
鷲図10
図以下は、4六角、6一竜、6三歩、6六金、4七玉、4六飛、5八玉、4八角となって、先手勝ち。
鷲図11
今度は“4六歩”を、同馬(図)の場合。
これには、4二桂成という手がある。同銀なら3四飛、4五玉、5四銀で後手玉詰み。 なので4二同金と取って、3四飛、4五玉、7二馬、5四桂、3一飛成(次の図)となる。
鷲図12
このような、後手玉が“入玉”を計ってきたときに、5七に打った歩が、たいへん有効になっているのがわかるだろう。
さて、この図、後手玉に3四竜までの一手詰がかかっているが、受けが難しい。3三歩は、3四銀、4四玉、4五歩、同馬、同銀、同玉、4二竜で寄ってしまう。3六歩もあるが、3四銀、4四玉、4五歩、3五玉、4三銀成から攻めが続く。
だから後手はここで、“5六銀”と、非常手段で勝負に出る。
以下の想定手順は、5一竜左、5七銀成、3七銀(次の図)
鷲図13
以下2四馬なら、3六竜、5五玉、4二竜で、5六馬には、4二竜左、同銀、3六銀、5五玉、3五竜で、先手勝ち。
[鷲]4五馬は、先手良しとなった。
≪鷹の図≫
「5七歩」に、[鷹]6七馬(図)の場合。
ここは2六桂と打つ。後手は3三玉。
そこで先手は選択肢が広いところだが、3四香と決めて、4四玉に、7三歩成としてみる(次の図)
鷹図01
これには同銀が本筋だが、取らずに7六歩と攻めるとどうなるだろうか。
鷹図02
そこで先手6八歩がある。同馬なら、4八飛で、王手馬取りだ。だからこれは取れない。
後手は6六馬。
以下、3七桂、5四銀、7一馬、6二歩、7八歩、(次の図)
鷹図03
ここで7三銀と手を戻すことになる。 以下、7二馬、6四銀引と進む(6四銀上は4五銀、同銀、同馬、5三玉、5四銀、4二玉、2二飛で後手負けになる。6四銀引なら6六の馬筋が2二まで通って受かる)
さらに、8五歩、同金、9四竜と先手は攻め、8四金、同竜、同歩、4六飛(次の図)
鷹図04
先手勝勢。
鷹図05
よって、7三歩成は、同銀(図)と取る。
そこで先手は、6一竜とし、後手の応手を見る。
6二歩には7二竜で銀取りの先手になる、6二銀右は8二馬があって後手損。
だから、6二銀左引。6筋の歩は攻めに使いたい。
そこで先手は、6八歩(次の図)
鷹図06
ここは後手が悩むところで、ここで<p>6六馬と、<q>5八馬とが有力と見て、その2つを調査することにする。
(他に、<r>7六馬は7七銀で<p>6六馬と同じになる。<s>5七馬は7六歩が打ててで先手良しとみる)
<p>6六馬には、7七銀と打ち、6五馬に、7六歩。
そこで後手が何を指すかだが、4五玉(入玉ねらい)が最善と思われるところだが、それには1五飛(次の図)という好手がある。
鷹図07
この1五飛がなければ、先手は大変だったかもしれない。
この将棋、先手は8四馬や5二竜という大駒を切る手をどこでどの順で出すかがポイントとなる。
この1五飛に、4六玉なら、8四馬、同銀、4八金とする(次の図)
鷹図08
これでだいたい後手玉は捕まったようにみえる。とはいっても、先手は持駒なし。まだわからない。次に5二竜と金を取るつもり。
ここで後手はどうするか。3五角くらいしかないようだ。(4七馬には5二竜、同歩、3七金打)
3五角には、先手は7五歩。 これには7六歩があるが、同銀、同馬、5二竜、同歩、3七桂(次の図)
鷹図09
以下、6六銀に、4五金、3六玉、3五金、2七玉、2九歩で、先手勝ち。
鷹図10
1五飛に、5四玉(図)の場合。
8四馬、同歩、4五金、6四玉、7五歩、2八角、6七桂、7六歩、同銀、同馬、5五金、5三玉、7七銀(次の図)
鷹図11
以下、7七同馬、同金、1九角成、7四歩、6四銀、3五角、4四銀、同角、同歩、5四銀のような展開が予想されるが、後手玉を下段に落とし、先手勝勢である。
鷹図12
6八歩に、<q>5八馬とした場合。この手はちょっとぼんやりした手だが、とりあえず先手の7六歩を打たせない意味がある。
ここで先手7四歩がよい。同銀と同金があるが――
同銀なら、8二馬、6四歩、5六銀(次の図)
鷹図13
先手良し。(7四歩に6四銀上も同じように8二馬で先手が好調)
鷹図14
7四同金には、3七桂(図)と桂馬を使う。
ここで3六馬には、3三香成という好手がある。(同桂なら3四飛の王手馬取りがある)
よってこの図では5三玉くらいだが、以下、8三馬、8七歩、6五銀、6四金、8九金、6八馬、7三馬(次の図)
鷹図15
7三同銀に、5四銀打(これを同金は、同銀、同玉、4五金、5三玉、5四飛以下詰み)、4二玉、2二飛、3二角、同香成、同歩、3四桂、3三玉、5二竜となって、先手勝ち。
どうやら8八金に、4五角成は、先手勝てそうだ。
≪6七角成図≫
8八金に、6七角成とするとどうなるだろうか。実はこれが強敵。
先手は2六桂と打ち、3三玉に、<1>6八歩(次の図)
≪虎の図≫
ここで後手が何を選ぶか。 6八同馬は、3四香、4四玉に、4八飛があって後手まずい。
次の3つの手が有力と見る。
[虎]5六馬、[豹]6六馬、[猿]5七馬
[豹]6六馬は、3六飛と打つ手がぴったりで先手が良くなる。
[猿]5七馬は、3四香、4四玉、7三歩成、同銀、7六歩で、これも先手が良さそう。
[虎]5六馬が最有力(次の図)。
≪虎の図≫
以下、3四香、4四玉、7三歩成、同銀、7六歩(次の図)と進むと次の図。
虎図01
6七歩、6一竜、6二銀左、3七桂(次の図)
虎の図 6七歩の変化
3七桂(図)が好手になる。以下、6八歩成、7五歩、7六歩に、5三歩(次の図)
虎図02
5三同金は7四歩があるので、5三同玉。
そこで4五銀。6五馬に、7二飛と打ち、6四馬に、5四桂がきびしい。
これを後手は同馬と取るしかなく、同銀、同玉、8四馬、同歩、7三飛成(次の図)
虎図03
7三同銀は6五角以下詰み。先手勝ちになった。
ここまでは先手順調だったが―――
虎図04
戻って7三歩成に、素直に同銀がまずかったのではと、後手が反省し、やり直す。
7三歩成に、7六歩(図)。
ここで8三ととしたいのだが、それは8七歩で先手悪い。
だから<E>3七桂とするが、7七歩成が後手の好手で、同金に、6六銀(次の図)
虎図05
以下、予想される手順は、6六同金、同馬、9八銀、5五玉、4五飛、5四玉、6一竜、6三歩だが、そこで先手の攻めが止まる。後手には7七馬(詰めろ)がある。後手良し。
虎図06
7六歩に、<F>8五歩(図)ならどうだ。
8五同金、9四馬、7七歩成、同金、6六銀(次の図)
虎図07
これもどうやら後手ペース。6六同金、同馬に、そこで4七飛という手があるが…
以下、5五玉、8七歩、8八金、9八銀、8四歩(次の図)
虎図08
まだ勝負はこれからだが、形勢は、やや後手良しと思われる。
どうやら7三歩成に、7六歩で、後手良しになるようだ。
これは困った。≪虎の図≫はでは、後手良しなのか?
虎図09
今度は先手が“やり直し”だ。
上では4八歩、5六馬に「3四香」としたが、「3四桂」(図)としてどうか。
これには後手は2九馬と勝負する。以下、4二桂成、同玉、2二飛、3二桂、同香成、同歩、2一飛成(次の図)
虎図10
“雰囲気”としては先手良しなのだが、ここで後手に4四銀上とされて、どうやら先手苦戦である。
4四銀上に、6三銀は、6五馬、5二銀成、同歩で、後手良し。
4四銀上に、7六桂はどうか。以下、
7四馬、8四桂、同歩、9四馬、9五歩(次の図)
虎図11
7四馬~9五歩の攻めが厳しい。後手良し。
9五同馬には、8三桂、9四馬、9五歩があって、受けが利かない。
≪虎の図≫(再掲)
つまりこの図は、“後手良し”という結論になった。
すると、『香車ロケット2号作戦』も駄目ということになってしまう―――。
なんとかならないか。ほんとに≪6七角成図≫は、先手に勝ち筋がないのか。
ということで、我々は考えた。
≪熊の図≫
先手はさらに2手手を戻し、<1>6八歩をやめて、<2>4五歩と代えてみる。それがこの≪熊の図≫である。
このままでは後手は4四玉と出ることができず、それはまずいので、後手は4五同馬と歩を取る。
そこで7三歩成とする。
これを 同銀なら、3四香、4四玉に、7四歩と打つ。
以下、同金、7六歩、6七桂成、8三馬、7七歩、3七桂(次の図)
熊図01
4六馬に、9四竜、8四歩、4八飛(次の図)
熊図02
先手良し。
熊図03
7三歩成を 、素直に 同銀は先手良しになった。そこで今度は、後手は7三歩成に、7七歩(図)とする。
対して7九歩では、7三銀で後手良し。
しかし、3四香、4四玉の後、そこで7六銀という手がうまい(次の図)
熊図04
7三銀なら7五銀がある。
7八歩成には、同金だ。同馬に4八飛(王手馬取り)がある。6八歩を打たないでおくことで、この7八同金の手が生じたのである。
そこで後手は、4六銀として、次に7八歩成を狙う。
先手は7九歩と受け、以下、6七桂成に、8三と、7四金、4八馬(次の図)
熊図05
4八馬として、後手玉の“入玉”を許さない。
5八金、3八馬、6六成桂、8七銀、7五金、8四と、7六成桂、7四と、8七成桂、同金、7六銀、7五と、8七銀成、同玉、7五銀、5六銀(次の図)
熊図06
先手優勢だ。
ついに我々は「解」に辿り着いた。
2つ目の「解」、すなわち「先手の勝ち筋」である。
≪3九香ロケット2号図≫
『香車ロケット2号作戦』、成功である!
『終盤探検隊 part96』につづく
終盤探検隊は、来るべき≪亜空間最終一番勝負≫に備え、研究準備をしているところ。
『香車ロケット2号作戦』は、はたして「先手勝ち」につながる作戦なのか?
[世代宇宙船バンガード号]
――<船>、その歴史、その機械と設備、<船>を建造し、初めて動かした人々、それらの人々の<地球>における歴史――地球とは信じられないほどのものだった。その奇妙な場所では、人々は内がわではなく外がわに住んでいる住んでいるというのだ。
ヒョウは、なぜかれらが落ちてしまわないのだろうと、ふしぎに思った。
忘れ去られてしまったほどの昔、ジョーダン財団にやとわれた機械設計技術者たちは、その<旅>が、予定されていた六十年という長さを超えることがあっても、損耗してしまわないような――損耗しようがないような<船>を設計することを求められた。そしてかれらは、求められて以上のことを求められた。主推進エンジンと補助機械を設計するときには、<船>の中で人々が生活していけるようにするため、ほとんどを自動的に動くようにし、(以下略)
こういった仕事(アクション)においては、摩擦はその意味を失い、摩耗と腐食は姿を消した。そのため、反乱がおこって現場技術員がすべて殺されたあとも、<船>はまだ光をともし、空気は新鮮で温度を保ち、エンジンはいつでも動くように待機しながら、宇宙を突進していたのである。
(ロバート・A・ハインライン著『宇宙の孤児』より )
このハインライン著『宇宙の孤児』の初出は1941年で、ハイラインの小説デビュー3年目、34歳である。
現実世界は、まだ日米開戦前の時期で(日米開戦は1941年12月)、まだ「核分裂」のことは物理学者しか知らず、エンリコ・フェルミが中心となって世界初の原子炉シカゴパイル1号(CP-1)の設計・実験の段階であった。
この小説に出てくる<宇宙船バンガード号>(バンガードは先鋒、前衛の意味)は、「恒星間世代宇宙船」である。どういうことかというと、遠い星(恒星)をめざして、宇宙船の中で生活し、出発した時の乗組員は老いて死んでしまっても、その宇宙船の中で生まれ育った二世代目、三世代目の子供たちが、目的の恒星にたどり着くようにという計画で設計された巨大な<宇宙船>なのである。
超空間ジャンプ(ワープ航法)などが発明されない世界でどうしても外宇宙へ行きたいなら、現実的にはこういう発想になるだろう。
おそらく、その全体は円筒形を基本としていて、回転の遠心力によって「重力」をつくり、円筒の外壁の“内側”に人々は住み、そこには「農場」もある。それほどの巨大な“円筒”である。
推進力ははっきりとは記されていないが、<転換炉>によって、「質量」をすべてエネルギーに変えることができるようだ。
<宇宙船バンガード号>が地球を出発したのは、どうやら22世紀のことらしい。この巨大宇宙船は宇宙空間において、60年をかけて、ジョーダン財団によって建造された。
目的地は、「プロキシマ・ケンタウリ」で、これはわれわれの「太陽系」から最も近い距離にある恒星で、その距離は4.25光年。「プロキシマ・ケンタウリ」にある惑星に住めそうだと確信があって、飛び立ったのであろうか。
ところが、計画通りにいかず、途中、宇宙船内で激しい“内乱”が起き、科学者や技術者など重要人物はほとんど死んでしまう。“中の人”はほとんど科学素人ばかりになり、やがて「科学」は宗教のようなものになっていった。「科学者」という職についた男が、物理学の入門書を解説し、ニュートンは愛を説いたのだ、などと言い出す始末である。
時が過ぎ、次世代、三世代目になると、もう“中の人々”は、地球を知らず、それどころか自分の住んでいる世界が<宇宙船>であることも知らず、宇宙(星空)を見たこともない人間ばかりになって―――
それでも<世代宇宙船バンガード号>は「ケンタウリ」をめざして進んでいく。
という設定の物語。
面白いことに、現実の2016年8月、恒星「プロキシマ・ケンタウリ」を公転する、“地球に似ている(かもしれない)惑星”が見つかったと、ヨーロッパ南天天文台によって発表されている。 この惑星は、「プロキシマ・ケンタウリ惑星b」と呼ばれる。
「ケンタウリ座」はどうやら“二重星”であるとわかってきたのが17世紀。これは望遠鏡の発展による。それは「アルファ・ケンタウリ」と呼ばれることになった。
この「アルファ・ケンタウリ」の近くに、もう一つ恒星が発見された。1915年のことで、発見者はイギリス人ロバート・イネス。(その星は少し温度が低い恒星なのでアルファより暗く、そのために発見が遅れた)
ということで、この「プロキシマ・ケンタウリ」も加えて、“三重星”であるとみられている。(“みられている”としたのは、異論もあったからだが、今ではほぼ確定的らしい)
“二重星”の「アルファ・ケンタウリ」から、ずっと離れたところ――太陽と冥王星の距離のおよそ400倍――に、「プロキシマ・ケンタウリ」があって、これが“二重星”の周囲を50万年以上の時をかけてゆっくりとまわっている。そういう状況から、現在では(あと数十万年の間ずっと)、「アルファ・ケンタウリ」(二重星)よりも、「プロキシマ・ケンタウリ」のほうが、地球に近い。よって、地球に最も近い距離にある太陽以外の恒星は、「プロキシマ・ケンタウリ」のほうであり、それを公転する惑星が最近発見されたというこということなのであった。
つまり「プロキシマ・ケンタウリb」は、“最も地球に近い惑星太陽系外の惑星”なのである。
念を押しておくが、こっちは現実の話で、小説の話ではない。そして、「ケンタウリ」は、南半球の星座で、日本では見ることができない。
小説のほう――『宇宙の孤児』の<バンガード号>は、ついに目的地「ケンタウリの惑星」に到着し、“彼ら”はそこに降り立つのであった。
≪7六と図≫
『香車ロケット2号作戦』の3九香に対し、6六と、9七玉、7六と(図)と進んだところ。
前回の報告では、「7七と」を探査し、“先手勝ち”の結論を得た。この結論には我々は自信を持っている。
しかし正直なところ、これから報告する「7六と」以下の展開については、変化が多く、“結論に自信あり”というところまでは、調べきれていない。変化が多いのである。
だがそれでも、「結論」までは出したいと思う。
「7六と」に、9八角、8七桂成、同角、同と、同玉、7五桂、9七玉、7八角、8八金と進む(次の図)
≪8八金図≫
ここまではこれがお互いに最善の応酬と思われ、変化の余地がないところ。
ここでしかし、後手に選択肢がある。次の2つである。
5六角成
6七角成
(4五角成は、6五歩、同銀、5七桂があって後手悪い)
この2つの手の後の展開を、探査していく。
≪5六角成図≫
5六角成(図)。 我々の考えでは、ここでの最善手は5七歩(次の図)である。
(7六桂も有力だが、6五銀とされると、その後の先手のよい指し方がわからず、形勢不明)
≪5七歩図≫
この「5七歩」には、[鷲]4五馬と、[鷹]6七馬とがある。
≪鷲の図≫
[鷲]4五馬。
ここで先手は2六桂。それには“3三玉”がおそらく最善と思われるが、まず「3五銀」(次の図)とした場合について、触れておこう。
鷲図01
3五銀、同香、同馬、4一銀、4二金、5一竜、3三玉、3九飛(次の図)
鷲図02
先手良し。 (以下、4四玉に、5二銀成、同金、同竜とする)
鷲図03
2六桂に、“3三玉”(図)としたところ。
対する先手の次の手が悩ましい。(選択肢が広い。しかしすぐに良くなる手もない)
我々の選択肢した手は、“8二馬”(次の図)である。
鷲図04
以下4四玉に、7三歩成とする。
7六歩、7八歩、6六歩、3七桂、4六馬、3四桂、6七歩成、4五銀(次の図)
鷲図05
4五同馬、同桂、同玉、7二馬(5四桂なら8三と)、4六玉、3七飛(次の図)
鷲図06
次に3五角の一手詰。4四銀引で後手はそれを防ぐが、先手は3六馬、5五玉、4七飛と後手玉を追う。
以下、5四桂と抵抗するも、3七角、6六玉、5九角、5五銀左、4五馬、6五銀、4八角(次の図)
鷲図07
4八角は、次に5六歩、5七銀、同角、同と、7七金打以下の“詰めろ”。 先手勝ちとなった。
この変化は、先手の馬が7二馬から使えたのが勝因となった。
鷲図04(再掲)
先手の“8二馬”まで戻って、ここで7四歩(先手7三歩成を指させない)と手を代えてみる。
以下3四桂、4四玉に、4六歩(次の図)
鷲図08
ここで“4六歩”と打つ。
さて、後手はこれを、銀で取るか、馬で取るか。
まず4六同銀には、先手5六銀がある。以下、馬を逃げても勝ち目がないので、後手は5七銀成とし、4五銀、同玉で、“入玉”をねらう。
先手は3七角(次の図)
鷲図09
5六玉、5九角、4八銀、6四馬、同銀、2六飛(次の図)
鷲図10
図以下は、4六角、6一竜、6三歩、6六金、4七玉、4六飛、5八玉、4八角となって、先手勝ち。
鷲図11
今度は“4六歩”を、同馬(図)の場合。
これには、4二桂成という手がある。同銀なら3四飛、4五玉、5四銀で後手玉詰み。 なので4二同金と取って、3四飛、4五玉、7二馬、5四桂、3一飛成(次の図)となる。
鷲図12
このような、後手玉が“入玉”を計ってきたときに、5七に打った歩が、たいへん有効になっているのがわかるだろう。
さて、この図、後手玉に3四竜までの一手詰がかかっているが、受けが難しい。3三歩は、3四銀、4四玉、4五歩、同馬、同銀、同玉、4二竜で寄ってしまう。3六歩もあるが、3四銀、4四玉、4五歩、3五玉、4三銀成から攻めが続く。
だから後手はここで、“5六銀”と、非常手段で勝負に出る。
以下の想定手順は、5一竜左、5七銀成、3七銀(次の図)
鷲図13
以下2四馬なら、3六竜、5五玉、4二竜で、5六馬には、4二竜左、同銀、3六銀、5五玉、3五竜で、先手勝ち。
[鷲]4五馬は、先手良しとなった。
≪鷹の図≫
「5七歩」に、[鷹]6七馬(図)の場合。
ここは2六桂と打つ。後手は3三玉。
そこで先手は選択肢が広いところだが、3四香と決めて、4四玉に、7三歩成としてみる(次の図)
鷹図01
これには同銀が本筋だが、取らずに7六歩と攻めるとどうなるだろうか。
鷹図02
そこで先手6八歩がある。同馬なら、4八飛で、王手馬取りだ。だからこれは取れない。
後手は6六馬。
以下、3七桂、5四銀、7一馬、6二歩、7八歩、(次の図)
鷹図03
ここで7三銀と手を戻すことになる。 以下、7二馬、6四銀引と進む(6四銀上は4五銀、同銀、同馬、5三玉、5四銀、4二玉、2二飛で後手負けになる。6四銀引なら6六の馬筋が2二まで通って受かる)
さらに、8五歩、同金、9四竜と先手は攻め、8四金、同竜、同歩、4六飛(次の図)
鷹図04
先手勝勢。
鷹図05
よって、7三歩成は、同銀(図)と取る。
そこで先手は、6一竜とし、後手の応手を見る。
6二歩には7二竜で銀取りの先手になる、6二銀右は8二馬があって後手損。
だから、6二銀左引。6筋の歩は攻めに使いたい。
そこで先手は、6八歩(次の図)
鷹図06
ここは後手が悩むところで、ここで<p>6六馬と、<q>5八馬とが有力と見て、その2つを調査することにする。
(他に、<r>7六馬は7七銀で<p>6六馬と同じになる。<s>5七馬は7六歩が打ててで先手良しとみる)
<p>6六馬には、7七銀と打ち、6五馬に、7六歩。
そこで後手が何を指すかだが、4五玉(入玉ねらい)が最善と思われるところだが、それには1五飛(次の図)という好手がある。
鷹図07
この1五飛がなければ、先手は大変だったかもしれない。
この将棋、先手は8四馬や5二竜という大駒を切る手をどこでどの順で出すかがポイントとなる。
この1五飛に、4六玉なら、8四馬、同銀、4八金とする(次の図)
鷹図08
これでだいたい後手玉は捕まったようにみえる。とはいっても、先手は持駒なし。まだわからない。次に5二竜と金を取るつもり。
ここで後手はどうするか。3五角くらいしかないようだ。(4七馬には5二竜、同歩、3七金打)
3五角には、先手は7五歩。 これには7六歩があるが、同銀、同馬、5二竜、同歩、3七桂(次の図)
鷹図09
以下、6六銀に、4五金、3六玉、3五金、2七玉、2九歩で、先手勝ち。
鷹図10
1五飛に、5四玉(図)の場合。
8四馬、同歩、4五金、6四玉、7五歩、2八角、6七桂、7六歩、同銀、同馬、5五金、5三玉、7七銀(次の図)
鷹図11
以下、7七同馬、同金、1九角成、7四歩、6四銀、3五角、4四銀、同角、同歩、5四銀のような展開が予想されるが、後手玉を下段に落とし、先手勝勢である。
鷹図12
6八歩に、<q>5八馬とした場合。この手はちょっとぼんやりした手だが、とりあえず先手の7六歩を打たせない意味がある。
ここで先手7四歩がよい。同銀と同金があるが――
同銀なら、8二馬、6四歩、5六銀(次の図)
鷹図13
先手良し。(7四歩に6四銀上も同じように8二馬で先手が好調)
鷹図14
7四同金には、3七桂(図)と桂馬を使う。
ここで3六馬には、3三香成という好手がある。(同桂なら3四飛の王手馬取りがある)
よってこの図では5三玉くらいだが、以下、8三馬、8七歩、6五銀、6四金、8九金、6八馬、7三馬(次の図)
鷹図15
7三同銀に、5四銀打(これを同金は、同銀、同玉、4五金、5三玉、5四飛以下詰み)、4二玉、2二飛、3二角、同香成、同歩、3四桂、3三玉、5二竜となって、先手勝ち。
どうやら8八金に、4五角成は、先手勝てそうだ。
≪6七角成図≫
8八金に、6七角成とするとどうなるだろうか。実はこれが強敵。
先手は2六桂と打ち、3三玉に、<1>6八歩(次の図)
≪虎の図≫
ここで後手が何を選ぶか。 6八同馬は、3四香、4四玉に、4八飛があって後手まずい。
次の3つの手が有力と見る。
[虎]5六馬、[豹]6六馬、[猿]5七馬
[豹]6六馬は、3六飛と打つ手がぴったりで先手が良くなる。
[猿]5七馬は、3四香、4四玉、7三歩成、同銀、7六歩で、これも先手が良さそう。
[虎]5六馬が最有力(次の図)。
≪虎の図≫
以下、3四香、4四玉、7三歩成、同銀、7六歩(次の図)と進むと次の図。
虎図01
6七歩、6一竜、6二銀左、3七桂(次の図)
虎の図 6七歩の変化
3七桂(図)が好手になる。以下、6八歩成、7五歩、7六歩に、5三歩(次の図)
虎図02
5三同金は7四歩があるので、5三同玉。
そこで4五銀。6五馬に、7二飛と打ち、6四馬に、5四桂がきびしい。
これを後手は同馬と取るしかなく、同銀、同玉、8四馬、同歩、7三飛成(次の図)
虎図03
7三同銀は6五角以下詰み。先手勝ちになった。
ここまでは先手順調だったが―――
虎図04
戻って7三歩成に、素直に同銀がまずかったのではと、後手が反省し、やり直す。
7三歩成に、7六歩(図)。
ここで8三ととしたいのだが、それは8七歩で先手悪い。
だから<E>3七桂とするが、7七歩成が後手の好手で、同金に、6六銀(次の図)
虎図05
以下、予想される手順は、6六同金、同馬、9八銀、5五玉、4五飛、5四玉、6一竜、6三歩だが、そこで先手の攻めが止まる。後手には7七馬(詰めろ)がある。後手良し。
虎図06
7六歩に、<F>8五歩(図)ならどうだ。
8五同金、9四馬、7七歩成、同金、6六銀(次の図)
虎図07
これもどうやら後手ペース。6六同金、同馬に、そこで4七飛という手があるが…
以下、5五玉、8七歩、8八金、9八銀、8四歩(次の図)
虎図08
まだ勝負はこれからだが、形勢は、やや後手良しと思われる。
どうやら7三歩成に、7六歩で、後手良しになるようだ。
これは困った。≪虎の図≫はでは、後手良しなのか?
虎図09
今度は先手が“やり直し”だ。
上では4八歩、5六馬に「3四香」としたが、「3四桂」(図)としてどうか。
これには後手は2九馬と勝負する。以下、4二桂成、同玉、2二飛、3二桂、同香成、同歩、2一飛成(次の図)
虎図10
“雰囲気”としては先手良しなのだが、ここで後手に4四銀上とされて、どうやら先手苦戦である。
4四銀上に、6三銀は、6五馬、5二銀成、同歩で、後手良し。
4四銀上に、7六桂はどうか。以下、
7四馬、8四桂、同歩、9四馬、9五歩(次の図)
虎図11
7四馬~9五歩の攻めが厳しい。後手良し。
9五同馬には、8三桂、9四馬、9五歩があって、受けが利かない。
≪虎の図≫(再掲)
つまりこの図は、“後手良し”という結論になった。
すると、『香車ロケット2号作戦』も駄目ということになってしまう―――。
なんとかならないか。ほんとに≪6七角成図≫は、先手に勝ち筋がないのか。
ということで、我々は考えた。
≪熊の図≫
先手はさらに2手手を戻し、<1>6八歩をやめて、<2>4五歩と代えてみる。それがこの≪熊の図≫である。
このままでは後手は4四玉と出ることができず、それはまずいので、後手は4五同馬と歩を取る。
そこで7三歩成とする。
これを 同銀なら、3四香、4四玉に、7四歩と打つ。
以下、同金、7六歩、6七桂成、8三馬、7七歩、3七桂(次の図)
熊図01
4六馬に、9四竜、8四歩、4八飛(次の図)
熊図02
先手良し。
熊図03
7三歩成を 、素直に 同銀は先手良しになった。そこで今度は、後手は7三歩成に、7七歩(図)とする。
対して7九歩では、7三銀で後手良し。
しかし、3四香、4四玉の後、そこで7六銀という手がうまい(次の図)
熊図04
7三銀なら7五銀がある。
7八歩成には、同金だ。同馬に4八飛(王手馬取り)がある。6八歩を打たないでおくことで、この7八同金の手が生じたのである。
そこで後手は、4六銀として、次に7八歩成を狙う。
先手は7九歩と受け、以下、6七桂成に、8三と、7四金、4八馬(次の図)
熊図05
4八馬として、後手玉の“入玉”を許さない。
5八金、3八馬、6六成桂、8七銀、7五金、8四と、7六成桂、7四と、8七成桂、同金、7六銀、7五と、8七銀成、同玉、7五銀、5六銀(次の図)
熊図06
先手優勢だ。
ついに我々は「解」に辿り着いた。
2つ目の「解」、すなわち「先手の勝ち筋」である。
≪3九香ロケット2号図≫
『香車ロケット2号作戦』、成功である!
『終盤探検隊 part96』につづく
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