はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

円空仏

2008年08月21日 | はなし
 今年は雷が多いですね。夕立で、雨宿りのためにに入った書店で『サライ』という雑誌の仏像特集に魅かれて、その雑誌を買いました。500円で、これだけの仏像写真が拝めるというのは安い、と思って。有名な、あるいは、魅力的な仏像の写真が沢山載っているけど、僕は、「やっぱ、円空さんがいちばんいいなあ」と思いました。

 そういうことで、円空の仏像は以前にも描きましたが(→「十一面千手観音像」)、また描いてみました。これは「両面宿儺(りょうめんすくな)像」というそうです。円空の仏像を僕はまだナマで観たことがないけど、飛騨(岐阜県)に行けば存分に見られるようだ。円空さん(「円空さん」と、そう呼びたくなる)は、関東でも仏像を彫って残しているのだけれど。鉈(なた)でザクザクと彫ってつくったらしい。かっこいいな、円空さん! 円空仏を見ていると、写真であっても、なにか気持ちが楽になる。
 円空の仏像は、寺の中よりも、野に在るほうが良く似合う。実際に、そういう像がたくさんあるのだけれど、そのために痛んでしまいます。円空は、江戸時代、1600年代の人。円空仏は、だから、300年以上の時間を生きぬいてきています。


 この雑誌には次のエピソードが載っていました。

 飛騨の正宗寺には、やはり円空の彫った「薬師如来像」があります。その像は、40cmほどの大きさで、つるつるに磨耗しているのですが、それは「子供たちが、この薬師如来像を川に投げ込んで、浮輪代わりにして遊んでいた」せいだというのです。

 あるとき、その円空仏を川に放り込んで遊んでいる子供たちの姿を見かけた村の老爺が、「仏さんにそんなことしちゃいかん」と叱った。すると、その老爺は病気になって寝込んでしまった。まもなく、老爺の枕元に円空仏が立ってこう言った。
 「子供たちと楽しく遊んでいたのに、おまえはそれをやめさせた。私は子供たちと遊べて、どれほど楽しいことか」
 老爺は、謝った。すると、病気はすぐに治った。

 
 爽やかな話だ。謝ったらすぐ病気が治る、という結末もいい。

 円空さんの彫った仏像には、話しかけたくなる、そんな雰囲気があります。「おい、なんでそんな顔しとるんか?」なんてね…。
 いや、僕はまだ会ったことはないんですが。
コメント
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