はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

はじめてつくった詰将棋

2008年08月17日 | つめしょうぎ
 あれは10年前、村山聖くんが「2七銀…」と広島の病室で呟いて逝った年のことです。その年の10月の終わりでした。
 僕の脳裏に、将棋の駒が、ちらちらと浮かんでくるのです。金、角、飛、玉…
 なんだろう、この感じ…?
 僕は部屋のベッドの上に、折りたたみの将棋盤を広げ、駒を何枚か並べてみました。そのうちに、「うん? 詰将棋がつくれるかも…」という気がしてきました。
「こうして、こうして、こう… これでどうだろう?」

 そして、出来たのです!!
 しんじられない! 詰将棋を(僕が?)つくった! …ほんとうに?


 その詰将棋が上の図。
 僕はうれしくてうれしくて何度も詰め手順を並べました。もっと、かっこよくならないかと、考えました。その時間はまさに「至福の時」でした。
 (余詰めがあるなんてずっと気づかずに喜びにひたっていた。)

 まず、作意手順から。

 ▲8二角△8四玉▲9四飛成△同玉▲9一飛成△8四玉▲9三龍△7四玉▲6四角右(左でも可)成 まで9手詰め

 この詰将棋、しかし、余詰めがあります。 しかも、たくさん(笑)。
 まず初手▲9五角から、3手で詰み! (←わお!)
 それから、初手▲5一角でも…。  あらあらあら。


 いま見るとこのように欠陥のある作品ですが、僕にとっては一番たいせつな作品は、でも、やっぱりこれなんです。

 さて、10年を経て、ここに修正してみました。↓



 これなら大丈夫と思います。
 この玉方の8五の「と金」ですが、これを「金」にすると、ナント、やっぱり余詰めが発生してしまうのです。初手▲6二角打(△7四玉▲9四飛成…)以下の19手詰なのですが、これはソフト(東大将棋7)が発見しました。さすがソフト、こんなところまで人間が読み切るのは大変です。(でも、昭和までの詰メキストのみなさんはそれをやっていたのですが。)

 この詰将棋のねらいは初手(▲8二角)ですね。9一角では詰まないけれど、8二角とほうり込む、この感触。



 僕は20歳くらいのときに、指し将棋はアマ初段~二段くらいの実力だったのですが、その頃に一度詰将棋をつくろうとしたことがあります。その時まで、僕は、「芸術的なレベルの高いものはできないだろうけど、かんたんなものならできるだろう」と思っていました。
 ところが、出来ないのです。こんなに詰将棋をつくるのが難しいとは…。
 そのときはなんとか完成させましたが、とても詰将棋とはいえないような、(自分を)がっかりさせるものになりました。そしてそれ以来、「詰将棋をつくる」という才能は特別なものなのだ、自分にはとても無理だ、と思ってきたのです。ですから僕は、詰将棋を作る人達に、憧れながら、そして同時に、別世界の人々のように感じてきました。ずっと、そうでした。
 それが10年前、あの瞬間に、突然つくれるようになったのです。なぜか、つくれるようになりました。(体力が、最低だったあのときに。)

 ですから、詰将棋をつくる、というのは、僕にとって、「不思議な出来事」そのものなのです。
 いまも、一つの詰将棋ができ上がったとき、いつも、「ふしぎだなあ」と感じています。
コメント
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