「残酷な王」の筆頭にあげられるヘンリー8世は、何度も映画に登場しています。必然的にアン・ブーリンも描かれるわけで、今日は3人の女優それぞれのアンについてーー
最新作『ブーリン家の姉妹』(ジャスティン・チャドウィック監督、2008年公開)のアンは、ナタリー・ポートマン。理知のかった正統派美女。しかし王は、優しくて何でも言いなりになる妹スカーレット・ヨハンソンに恋します。
この映画は(原作も)史実と少し違い、アンは妹が王の恋人になってから、自分をブラッシュアップするため数ヶ月フランス宮廷へ行儀見習いに行ったという設定になっています。大変身して帰国し、妹から王を奪ったという話の流れなのですが。。。
あいにくナタリー・ポートマンは、フランス渡航前も後も、全然変わって見えません。すでに十分魅力的でしたし、もどってからもその魅力に変化が生じたようには思えず、観客としては釈然とせず。
しかしギラギラした野心はとても良かった。
『1000日のアン』(チャールズ・ジャロット監督、1970年公開)のアンは、ジュヌヴィエーヌ・ビジョルド。美人ではないけれど、ツンと上向いた鼻と勝気な強い眼と、全体に何とも愛らしさの漂う、不思議な女優で、イメージ的には全くイギリス人的ではなく、だからかえってアンにぴったりでした。
『わが命尽きるとも』(フレッド・ジンネマン監督、1966年公開)のアンは、なんとバネッサ・レッドグレイプ。大柄でがっちりした彼女は、フェミニズムの闘士然としているので、ミスキャストだろうと思いきや!
彼女の出演シーンはわずか1回。
でもそこに至るまでさんざんヘンリー(こちらはロバート・ショーで、やはり素晴らしかった)の暴虐ぶりと周囲の恐怖が描かれているので、このシーンは強烈です。誰に対しても高圧的で手におえない王が、アンにだけは腑抜け状態であることが示されるのです。
アンは特に媚態を見せるでなく笑顔で王に近づき、計算ずくの仕草で、彼の耳にふうっと息を吹きかける。演技巧者のふたりの役者の、なりきりぶりが凄いので、たちまち彼らのベッドでの様子までもが想像できるような、エロスの立ち上りようでした。
わたしのアン・ブーリン解釈は、こちら♪
↓
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レンザブローで本書についてインタビューが載っています。お読みくださいね!⇒ http://renzaburo.jp/(「特設サイト」をクリックしてください)
![残酷な王と悲しみの王妃](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51TcuBqCJGL._SL160_.jpg)
☆「『怖い絵』で人間を読む 」(NHK出版生活人新書) 7刷中。
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☆光文社新書「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」3刷中。
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☆「怖い絵2」、9刷中。
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☆「怖い絵3」 6刷中。
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☆「危険な世界史」(角川書店) 5刷中。
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☆「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
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最新作『ブーリン家の姉妹』(ジャスティン・チャドウィック監督、2008年公開)のアンは、ナタリー・ポートマン。理知のかった正統派美女。しかし王は、優しくて何でも言いなりになる妹スカーレット・ヨハンソンに恋します。
この映画は(原作も)史実と少し違い、アンは妹が王の恋人になってから、自分をブラッシュアップするため数ヶ月フランス宮廷へ行儀見習いに行ったという設定になっています。大変身して帰国し、妹から王を奪ったという話の流れなのですが。。。
あいにくナタリー・ポートマンは、フランス渡航前も後も、全然変わって見えません。すでに十分魅力的でしたし、もどってからもその魅力に変化が生じたようには思えず、観客としては釈然とせず。
しかしギラギラした野心はとても良かった。
『1000日のアン』(チャールズ・ジャロット監督、1970年公開)のアンは、ジュヌヴィエーヌ・ビジョルド。美人ではないけれど、ツンと上向いた鼻と勝気な強い眼と、全体に何とも愛らしさの漂う、不思議な女優で、イメージ的には全くイギリス人的ではなく、だからかえってアンにぴったりでした。
『わが命尽きるとも』(フレッド・ジンネマン監督、1966年公開)のアンは、なんとバネッサ・レッドグレイプ。大柄でがっちりした彼女は、フェミニズムの闘士然としているので、ミスキャストだろうと思いきや!
彼女の出演シーンはわずか1回。
でもそこに至るまでさんざんヘンリー(こちらはロバート・ショーで、やはり素晴らしかった)の暴虐ぶりと周囲の恐怖が描かれているので、このシーンは強烈です。誰に対しても高圧的で手におえない王が、アンにだけは腑抜け状態であることが示されるのです。
アンは特に媚態を見せるでなく笑顔で王に近づき、計算ずくの仕草で、彼の耳にふうっと息を吹きかける。演技巧者のふたりの役者の、なりきりぶりが凄いので、たちまち彼らのベッドでの様子までもが想像できるような、エロスの立ち上りようでした。
わたしのアン・ブーリン解釈は、こちら♪
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☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)14刷中。
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☆「怖い絵」16刷中。
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☆「怖い絵3」 6刷中。
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☆「危険な世界史」(角川書店) 5刷中。
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「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)
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☆「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
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☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。「恋に死す」の文庫化版です。
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