中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

ヴィーナスのあっけらかん

2009年07月21日 | 音楽&美術
 22日発売の月刊誌「オール読物8月号」(文藝春秋社)で連載中の「絵画で読む神話」第3回(p.95)は、「ヴィーナスのあっけらかん」

 ティントレットの「ウルカヌスに見つかったヴィーナスとマルス」について書きました。これは浮気現場における夫、妻、間男、三者三様のリアクションを描いて、かなり可笑しな絵画です(画家もクスクス笑いながら絵筆を動かしていたような気が。。。)

 人妻とのベッドインの最中に夫に踏み込まれた男は、小咄だとたいていベランダへ隠れ、その後、下着姿のままスタコラ逃げるのが定番?ということになっています。

 一方、女の方は夫に対して何食わぬ顔を装う(これも定番?)

 ティントレットもそのへんを承知していたのかどうか知りませんが、夫に疑われても全く動じず、あっけらかんとした人妻の図太さを描いています。

 弁解もせず平然たる女性。一方、男が浮気した場合は妻にあれこれ言い訳して、かえって相手を怒らせるというのもまた定番かな?

 こんな笑い話。

 妻に対しては絶対に浮気を認めてはいけない。ベッドに裸で女性といるところを見つかった場合は、「今ちょうどベッドをまたいで向こう側へ行こうとしていたところだ」と言えばよろしい。

 ちっともよろしくないわね~


☆9月から開催の「THEハプスブルク展」(国立新美術館)では、10月24日(土)にわたしの講演会があります。ハプスブルクに関心のある方、美術好きの方、どうぞいらしてくださいね!⇒ http://www.habsburgs.jp/2009/07/post-9d1b.html


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中野京子 朝日出版社 (2007/07/18)


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4 コメント

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Unknown (君嶋 秀夫)
2009-07-22 08:56:02
こんにちわ!7月20日紀伊国屋札幌店の2階の「夏の清涼コーナー!?」に妖怪辞典等の隣に貴方のこわい絵シリーズが並んで置かれておりました。目立つ場所です。益々のご活躍を祈念しておりあす。
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Unknown (君嶋君へ(kyoko))
2009-07-24 11:22:00
情報、どうもありがとう~♪
 「清涼コーナー」で妖怪辞典の隣」というのも、粋な並べ方ですね。うふふ。
返信する
絶妙でした (江花 和郎)
2009-07-30 15:56:41
「名画で読み解くハプスブルグ家12の物語」は構成も文章も絶妙でした。私は世界史は人の名前を覚えるのが大変で好きじゃなかったし、絵は色をつけたとたん教師の眼に失望が見えて小学生で自信を喪失したのですが、美術館は大好きでエルミタージュには行ったことがあるだけという人間です。
GWにスイス・北イタリアを夫婦で旅行する予定があり(例のswine fluで中止)4月に本屋で「うむっ?」と見つけてヨーロッパ史のさわりだけでもと衝動買い、家ではつれあいに奪われ、私は出張の合間に時々読んでいました。テレビのマリー・アントワネットやナポレオンをこれまでとは一味違う観方ができるのもこの本のお陰です。
今日初めてこのブログを覘き10月24日にはナマ中野京子を見に東京まで出掛けようと思ったらすでに手帳には予定が入っておりました。残念!次の機会を期待します。
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Unknown (江花和郎さま(kyoko))
2009-07-30 19:38:14
 ご訪問&拙著の感想をありがとうございます♪
 ブログをちろっと覗かせていただきましたが、新潟なのですね。講演会は予定があわないようですが、「THEハプスブルク展」へはぜひ会期中にいらしてください。見どころの多い美術展ですよ!
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