中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

マイケル・ジャクソンはノヴァのよう

2009年07月07日 | 雑記
 マイケル・ジャクソンの急死は人々を驚かせ、同時に「さもありなん」という気持にもさせたと思う。

 全身の皮膚の色を変え、度重なる整形で全くの別人になるほど、それほどにも、彼は自己否定したのであり、素人目にも精神分析事例の格好のケースだとわかる。

 タニス・リーの小説にこんな一文。

 ーー「みんな、ごらん」星が言った、「わたしはこんなにまばゆく燃えている」。そうしてそれはノヴァとなった。光が薄れたとき、星はもはやどこにもなかった。
 この物語の教訓は明らかである。ーー

 nova(新星)とは変光星の一種。
 それまで微光を放っていたにすぎないのに、数日間のうちに急激にそれまでの数千倍ないし数万倍に光度を上げ、その後減光してしてしまう。原因は恒星の爆発によると言われる。

 身を燃やして、夜空をあかあかと照らしたのである。凡人が何を憐れむことあろう。

 
*上記に関する「夏蜜柑」さんからのコメントを以下⇒

彼の色の変化は尋常性白斑という病気によるものです。
本人も公言し、裁判の際に医師側から証拠として診断書が出されて検察にも認められた、公の事実です。
現在の医学技術で全身の皮膚を白くするということは不可能だそうです。

「自己否定した」と仰る意味が、「黒人を否定し白人になりたかった」という意味を含むならば、決してそうではありません。

これは一ファンの主観になってしまいますが、
黒人であることを誇りに思っていた彼自身が一番この病気を悲しみ、苦しんだのだと思いますから。

そして、もしそう考えておられるなら、それはこの病気に罹患されている他の方に対しても失礼になるのではと思いました。

整形手術については詳しくはわかりませんが、鼻を施術したことは本人も認めていました。
が、発端は舞台上での骨折です。

記事に関係ないですが、彼は全身性エリテマトーデスという病も抱えていて、奇行のように言い立てられている多くのことが病気の症状に関係していたりします。
(↓このブログで納得の行く説明をしてくださってます。
http://yuuki-rinrin.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-f40e-1.html)


これらについてきちんとした報道がほとんどなされてないので、よほどファンでもない限りは知らなくて当然だと思いますが、
どうか、全くの別人になるほど自己否定したなんて言わないでください。

長々とすみませんでした。

 
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