中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

「幸せはいつも3月花のころ・・・」(世界史レッスン第91回)

2007年12月04日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の世界史レッスン第91回目の今日は、「グレゴリオ暦とフランス革命暦」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2007/12/post_30fe.html#more
 イギリスでの改暦の暴動や、フランス革命政府が強制しようとしたへんてこな暦についてのエピソードを書きました。

 さて、江戸時代の歌舞伎役者、5代目市川団十郎が作ったとされる戯れ歌に、

 「楽しみは春の桜に秋の月、夫婦なかよく3度食う飯」

 というのがある(ロマンティストなのかリアリストなのか、わかりませんね)。
 それをもじった落書きとして、

 「幸せはいつも3月花のころ、お前18、わしゃ20(はたち)、使って減らぬ金10両、死んでも命がありますように」

 江戸庶民の願いはなかなか欲張りだ。いつも良い季節で、夫婦いつまでも若く、大金とはいえなくとも金には不自由せず、あげくの果ては「死んでも死なない」でいたいというのだから・・・

 ところでこの「3月花のころ」だが、これが現代のカレンダーと違う。旧暦の3月は今でいえば4月、まさに「花のころ」を指すのである。もちろん日本人が言う「花」は「桜」ですね!

 生を謳歌するのも桜のもと、死ぬ時もまた桜がいいのが日本人だ。西行の有名な一首、

 「願わくば花の下にて春死なん、その如月の望月の頃」


☆「怖い絵」、5刷になりました!!ご愛読、感謝しています。

怖い絵
怖い絵
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中野京子 朝日出版社 (2007/07/18)


☆マリーもお忘れなく!(ツヴァイク「マリー・アントワネット」(角川文庫、中野京子訳)

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