中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

レオナルド・ダ・ヴィンチとフランソワ1世(世界史レッスン第61回)

2007年05月01日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」に連載中の「世界史レッスン」第61回目の今日は、「クイズーーこの芸術家と関わった王は?」を書きました⇒http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2007/05/post_1c1a.html#more
 ちょうど今レオナルドの「受胎告知」が日本公開中なので、フランソワ1世を正解した人は多かったのでは。

 フィレンツェ生まれのレオナルドが故国を捨て、フランスへやって来たのは65歳のとき。実年齢より老けて見えたらしく、迎えた貴族のひとりが、「現代でもっとも優れた画家レオナルド・ダ・ヴィンチは灰色の髭をはやし、70歳を超えている」などと書き残している。

 この時すでに脳卒中の発作で右手が麻痺していたらしい。とはいえ彼は左利きだったので、仕事にはさしつかえなかったようだ。

 そして早くも2年後には世を去った。言い伝えでは、偉大なる画家の死の床にはフランソワ1世が立会ったとか、王の腕の中で息を引き取ったとまで言われるが、あまり信じられない。何しろ墓さえどこにあるかわからない状況なのだ。

 閑話休題。
 ドリュー・バリモアが最高にキュートな映画『エバーアフター』は、シンデレラのルネサンス版。この中で、シンデレラがたまたま風変わりな老人と出会うシーンがある。老人が大事に持っていた絵が、なんと、『モナリザ』!つまりフランソワ1世のもとへ行く途中のレオナルドだったという次第。

☆新著「怖い絵」(朝日出版社)
☆☆アマゾンの読者評で、この本のグリューネヴァルトの章を読んで「泣いてしまいました」というのがありました。著者としては嬉しいことです♪

怖い絵
怖い絵
posted with amazlet on 07.07.14
中野京子 朝日出版社 (2007/07/18)


①ドガ「エトワール、または舞台の踊り子」
②ティントレット「受胎告知」
③ムンク「思春期」
④クノップフ「見捨てられた街」
⑤ブロンツィーノ「愛の寓意」
⑥ブリューゲル「絞首台の上のかささぎ」
⑦ルドン「キュクロプス」
⑧ボッティチェリ「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」
⑨ゴヤ「我が子を喰らうサトゥルヌス」
⑩アルテミジア・ジェンティレスキ「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」
⑪ホルバイン「ヘンリー8世像」
⑫ベーコン「ベラスケス<教皇インノケンティウス10世像>による習作」
⑬ホガース「グラハム家の子どもたち」
⑭ダヴィッド「マリー・アントワネット最後の肖像」
⑮グリューネヴァルト「イーゼンハイムの祭壇画」
⑯ジョルジョーネ「老婆の肖像」
⑰レーピン「イワン雷帝とその息子」
⑱コレッジョ「ガニュメデスの誘拐」
⑲ジェリコー「メデュース号の筏」
⑳ラ・トゥール「いかさま師」

☆☆ツヴァイク『マリー・アントワネット』。そういえば、アントワネットは見ようと思えば『モナリザ』を見ることはできたはずなのだけれど・・・きっと興味がなかったのね。(画像をクリックするとアマゾンへいけます)
☆☆☆友人の音楽評論家、加藤浩子さんがご自身のブログで紹介してくださいました。是非お読みください!⇒ http://plaza.rakuten.co.jp/casahiroko/diary/200704300000

マリー・アントワネット 上 (1) マリー・アントワネット 下 (3)

◆マリー・アントワネット(上)(下)
 シュテファン・ツヴァイク
 中野京子=訳
 定価 上下各590円(税込620円)
 角川文庫より1月17日発売
 ISBN(上)978-4-04-208207-1 (下)978-4-04-208708-8

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4 コメント

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老けて見えるヨーロピアン (haruurara)
2007-05-01 19:15:04

 アメリカンを初め、西洋人は、年齢より随分老けて見えます。四十のブリテイッシュゲントルマンを私は、禿げているので、六十くらいと勘違いしたことがあります。肉食文明のせいかも知れません。ダビンチも肖像画で、八十くらいに見えます(苦労したからか?)。
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Unknown (haruuraraさんへ(kyoko))
2007-05-01 19:42:56
 あの肖像画は自分の父親を描いたという説もあるのですって。ルネサンス人の真実ってよくわかりませんね。
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せっかくだから (真奈美)
2007-05-02 17:26:30
 レオナルド、せっかく美男に生まれて絵の才能なんてあったのだから、各年代の自画像なんて残しておいてほしかったと思います。少女マンガ家が、美形を老けさせて描くときの参考になったろうに・・・なんて知ったことじゃないですけどね。

 『エバーアフター』、若桑みどり『お姫様とジェンダー』でディズニーアニメプリンセス批判と並行して絶賛されてました。
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Unknown (真奈美さんへ(kyoko))
2007-05-02 21:05:39
 「エバーアフター」のシンデレラは悪人に捕らえられた王子様を救うため剣をふるうという、最強の姫でしたから、フェミニズムサイドに絶賛されるのかも。わたしとしては王子はもっと美形であってほしかった・・・
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