コメント欄にご訪問いただいたRYOKOさんから、なぜ専門外の本を出したのかという質問がありました。これはむしろ「なぜ出せたのか」という意味かなと思い、何かの参考になるならと、ちょっと書くことにしました。でもむしろ何の参考にもならない、という結果になると思うのですが。。。
何ごとにも「最初」があり、大学院生のとき、指導教授から児童物の翻訳をしませんかとお話がありました。で、共著として初めて出しました。すると担当編集者さんから、今度はひとりで訳しませんかと言われ、何冊も出しました。
そのうち大人向けのも手がけるようになりました(中に美術書も2冊ほどあります)そんなこんなのうち、翻訳を出した出版社の編集者さんから自社のPR誌で何か連載しませんかと言われ、当時は最高にオペラ狂いでしたから、「映画の中のオペラ」を数年連載しました。これは後で書籍化されます。大して売れなかったのですけど、珍しかったせいか、新聞や雑誌の書評にはずいぶん取り上げられました。
今度は大学のテキストの仕事がきたので、また数冊出しました。中級用のテキストを作っていると、ドイツのマルク紙幣の顔になっている女性昆虫画家メーリアンに興味がわき、彼女の伝記を書いてみたいなあと思うようになりました。その話を編集者さんに話すとオーケーということで書いて出しました。
この本もさほど売れなかったのですが、ある通信社(各地方新聞に記事を配信している会社)から著者インタビューを受けました。で、美術好きのその担当記者さんが新聞の連載の話があり、「まなざしの瞬間(とき)」という絵の連載を10回やりました。
次いで某雑誌から別のインタビューがあり、新聞連載が面白かったからうちでもやりませんかということでやはり絵の連載を2年やりました。
とまあ、そういう感じです。いま思うに、巡り会わせでしょうね。幸いにしてとても良い編集者さんと次々出会えて、書くものを面白いと言ってもらえたのがありがたかったです。「怖い絵」にせよ「ハプスブルク家12の物語」にせよ、完成品を持ち込んだわけではなく、「こういうものを書きたい」「いいですね!」という流れでした。一つの仕事が次へどんどんつながっていったということです。でもそれにはたくさん翻訳を出し、連載を書いていたからかなと思っています。
ただこれはあくまでわたしのケース。
実はわたしのほんとうに書きたかったものに関しては、全くうまくゆきませんでした(聞くも涙の物語)。ですので頑張った路線は廃線となり、大して頑張っていない方向への線路が用意されていた、というのが正確な表現かもしれません。運命というのはけっこう皮肉なものですからね。
ですのでこれから本を出したい、と思っている方への、わたしにできるアドヴァイスとしては、「どんな小さな仕事でも丁寧にやること」、これに尽きますね。
☆最新刊「マリー・アントワネット 運命の24時間
~知られざるフランス革命ーヴァレンヌ逃亡」(朝日新聞出版社)
☆「危険な世界史 運命の女篇」(角川書店) 2刷になりました♪
☆「危険な世界史 血族結婚篇」(角川文庫)
☆「怖い絵 泣く女篇」(角川文庫)~「怖い絵2」の文庫化~
3刷中。
☆『中野京子と読み解く 名画の謎 ギリシャ神話篇』(文藝春秋) 3刷中。
(画像をクリックするとアマゾンへゆきます)
文春「本の話」から、「自著を語る」(「謎が解けたら、絵画は最高のエンターテインメントになる」)はこちら
↓
http://www.bunshun.co.jp/jicho/1104nakano/index.htm
☆「印象派で「近代」を読む ~光のモネからゴッホの闇へ~」(NHK新書)2刷中。
☆「『怖い絵』で人間を読む 」(NHK出版生活人新書) 8刷中。
☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)
15刷中。
☆「芸術家たちの秘めた恋 ―メンデルスゾーン、アンデルセンとその時代 (集英社文庫)
「週刊朝日」書評⇒ http://book.asahi.com/reviews/column/2011100300004.html
☆「残酷な王と悲しみの王妃」(集英社) 2刷中。
レンザブローで本書についてインタビューが載っています。お読みくださいね!⇒ http://renzaburo.jp/(「特設サイト」をクリックしてください)
☆光文社新書「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」4刷中。
☆「怖い絵」16刷中。
☆「怖い絵2」、9刷中。
☆「怖い絵3」 6刷中。
☆「危険な世界史」(角川書店) 5刷中。
「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)
☆「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。「恋に死す」の文庫化版です。
sai
何ごとにも「最初」があり、大学院生のとき、指導教授から児童物の翻訳をしませんかとお話がありました。で、共著として初めて出しました。すると担当編集者さんから、今度はひとりで訳しませんかと言われ、何冊も出しました。
そのうち大人向けのも手がけるようになりました(中に美術書も2冊ほどあります)そんなこんなのうち、翻訳を出した出版社の編集者さんから自社のPR誌で何か連載しませんかと言われ、当時は最高にオペラ狂いでしたから、「映画の中のオペラ」を数年連載しました。これは後で書籍化されます。大して売れなかったのですけど、珍しかったせいか、新聞や雑誌の書評にはずいぶん取り上げられました。
今度は大学のテキストの仕事がきたので、また数冊出しました。中級用のテキストを作っていると、ドイツのマルク紙幣の顔になっている女性昆虫画家メーリアンに興味がわき、彼女の伝記を書いてみたいなあと思うようになりました。その話を編集者さんに話すとオーケーということで書いて出しました。
この本もさほど売れなかったのですが、ある通信社(各地方新聞に記事を配信している会社)から著者インタビューを受けました。で、美術好きのその担当記者さんが新聞の連載の話があり、「まなざしの瞬間(とき)」という絵の連載を10回やりました。
次いで某雑誌から別のインタビューがあり、新聞連載が面白かったからうちでもやりませんかということでやはり絵の連載を2年やりました。
とまあ、そういう感じです。いま思うに、巡り会わせでしょうね。幸いにしてとても良い編集者さんと次々出会えて、書くものを面白いと言ってもらえたのがありがたかったです。「怖い絵」にせよ「ハプスブルク家12の物語」にせよ、完成品を持ち込んだわけではなく、「こういうものを書きたい」「いいですね!」という流れでした。一つの仕事が次へどんどんつながっていったということです。でもそれにはたくさん翻訳を出し、連載を書いていたからかなと思っています。
ただこれはあくまでわたしのケース。
実はわたしのほんとうに書きたかったものに関しては、全くうまくゆきませんでした(聞くも涙の物語)。ですので頑張った路線は廃線となり、大して頑張っていない方向への線路が用意されていた、というのが正確な表現かもしれません。運命というのはけっこう皮肉なものですからね。
ですのでこれから本を出したい、と思っている方への、わたしにできるアドヴァイスとしては、「どんな小さな仕事でも丁寧にやること」、これに尽きますね。
☆最新刊「マリー・アントワネット 運命の24時間
~知られざるフランス革命ーヴァレンヌ逃亡」(朝日新聞出版社)
☆「危険な世界史 運命の女篇」(角川書店) 2刷になりました♪
☆「危険な世界史 血族結婚篇」(角川文庫)
☆「怖い絵 泣く女篇」(角川文庫)~「怖い絵2」の文庫化~
3刷中。
☆『中野京子と読み解く 名画の謎 ギリシャ神話篇』(文藝春秋) 3刷中。
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☆「印象派で「近代」を読む ~光のモネからゴッホの闇へ~」(NHK新書)2刷中。
☆「『怖い絵』で人間を読む 」(NHK出版生活人新書) 8刷中。
☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)
15刷中。
☆「芸術家たちの秘めた恋 ―メンデルスゾーン、アンデルセンとその時代 (集英社文庫)
「週刊朝日」書評⇒ http://book.asahi.com/reviews/column/2011100300004.html
☆「残酷な王と悲しみの王妃」(集英社) 2刷中。
レンザブローで本書についてインタビューが載っています。お読みくださいね!⇒ http://renzaburo.jp/(「特設サイト」をクリックしてください)
☆光文社新書「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」4刷中。
☆「怖い絵」16刷中。
☆「怖い絵2」、9刷中。
☆「怖い絵3」 6刷中。
☆「危険な世界史」(角川書店) 5刷中。
「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)
☆「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。「恋に死す」の文庫化版です。
sai
より先生を身近に感じています。
数年前まで約10年間ただただ突っ走っていた私、ある出来事でスッパリそれまでの生活をリセットしました。相当に落ち込みましたが、(親友にも心情は話せず)ある日思い切って新しい世界に飛びこみました。どうなるか見当もつかず、でも自分が自分であるべき場所を探していました。
そこでは今では無くてはならない人たちに出会い、今までのモノの見方、価値観が一変しました。もしあの時あのままだったら今の自分はいなかったはず・・前に踏み出す少しの勇気さえあれば、素敵な出会いは私を選んで待っているような気がします。
いま素敵な先生にもめぐり合えました!
素敵なお話ありがとうございました。
まさに、専門外の著書を出すまでのところを伺いたかったのです。私は突然のモラトリアム期間に入って、最初はそれを楽しみながらも次への一歩が怖くなってました。不安な感情に覆われて動けなくなっていたんですね。
先生のお話を聞いて改めて、「何かすれば何かつながっていく。一歩でもしばらく足踏みしてても良いけど、歩くのを諦めない事」が鍵なのかなと思いました。
私からすれば本当に輝かしいばかりの先生の作品ですが、苦労された部分も書いていただいて感謝です。
今後もまたこの記事を読み返して、誠実さと粘り強さを忘れないようにします。
興味深いお話を、有難うございました。
メーリアンの伝記も読ませて戴きましたが、「事実は小説より奇なり」を地で行く生き方とそれを淡々と書いてくださった先生の筆の力に
尊敬。
次々にお仕事が舞い込み、素敵な編集者さん達とめぐり合われたそうですが、それは訪れるべくして、先生に備わっていたことではないでしょうか!
この頃年齢を重ねたせいか、マザーテレサの言葉が妙に納得できるのです。
「出来なかった事、望んでも叶えられなかった事は、神様が望まれなかった事」
きっと、神様(人間を超えた何か)は中野先生に書いて頂きたい物を的確にお示しになったのでは・・・?
何だか宗教じみてしまいましたね。
失礼しました。
これまでの生活をリセットして新しい世界に飛びこむ…すごく勇気がいりますよね。でもその勇気を奮い起こした段階で、すでに新しい自分に半ばなっているのかもしれませんね!
RYOKOさん
少しでもお役に立てたら嬉しいです。何もかも自信がなくなる時は誰しもありますが、そんな時は「自分がしたいこと」ではなく「求められていること」をとりあえず一生懸命やると、きっと少しずつ活路が見えてきます。頑張りすぎないで頑張って!
美波さん
「出来なかった事、望んでも叶えられなかった事は、神様が望まれなかった事」ーー何ていい言葉でしょう!ある年齢に達した人は、皆この言葉を理解できるに違いありません。
私の母も先生のファンで次回のエルミタージュ展関連の講演会には一緒に行きたいと思っています。
サイン会でご挨拶できてとても光栄でした。
一回切りではなくて定期的に先生に学ぶにはやはり早稲田に行くしか無いでしょうかね・・。
これからも先生のご活躍を楽しみにしております。
ありがとうございました。
お話もとても楽しくあっという間の1時間半でした。もっともっと聞いていたかったです。
名古屋での講演会は初めてと伺いましたが、第2回、第3回と是非企画をお願い致します。
新聞連載のコラムはどれも短すぎ、なかなか本一冊にしにくいのが難点なんですよね~。でも「男のファッション」に関しては、続きを書くことになっています♪今度詳しくブログにアップしますね!
RYOKOさん
講演会にいらしてくださってありがとうございます♪ サイン会は苦手でこれまで逃げ回っていたため、初めての経験でした。ちょっぴり恥ずかしかった。。。
herbさん
ご訪問&講演会、ありがとうございます♪
名古屋は、そういえば前に企業向けの講演をしたことがありました。あの時はひとりも女性がいなかったので、今回のホールの空気はやわらかな感じでしたね!