朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」第55回目の今日は、「日本のパスポートを持つ白人の台湾人」。⇒http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2007/03/post_60ec.html#more
18世紀初頭のイギリスに登場した、なんとも珍妙な詐欺師について書きました(ちょっぴりとはいえ、日本がからむところも面白いと思って)。
メリメの場合は、いかにもインテリが好みそうな偽書。大ベストセラーになったイザヤ・ベンダサン『日本人とユダヤ人』を思い出す。とはいえ山本七平氏は黙したまま逝去されたが。
詐欺師映画だと『スティング』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』『復讐するは我にあり』などが思い出される。詐欺師は殺人はしないという定説を破った『復讐するは~』は、実話でもあり、見ていて気が滅入った。
女性の結婚詐欺師を扱ったものとしては、『ブラック・ウィドー』がなかなか良かった。ターゲットを徹底的に分析して、相手の「夢の女」になりすますのである。叩き上げの金持ちの場合は、モンロー風のあからさまにセクシャルなブロンド美女に、西洋史研究の大学教授の場合は、黒髪で知的な眼鏡美人に、フランス人の芸術家に対しては、すっぴんナチュラル美女に(あ、全部美人なのは共通してますけど)。
本人の素がどんなものかはけっきょくわからないのだが、他人の「夢」になり続けているのも辛いらしくて(偽台湾人がけっきょく告白したのと同じ心理だろう)、一定期間を過ぎると男を殺し、遺産を奪って、次のターゲットへ。これを楽しんでいるふうなのだ。
で、主人公は実はこの結婚詐欺美女ではなく、それを追う女性捜査官。彼女はどうも今ひとつ男性にもてないので、だんだんこの犯人にふつう以上の興味を抱き始める。つまりやり口を真似たいと思う。いや、この美女に自分が成り代わりたいとすら思う。その感じがなかなか良かったな。
「美女とは、あなたの目を惹く人。魅力的な女性とは、あなたに目を惹かれる人」--という言葉がある。美女で、なおかつあなたに目を惹かれている人となれば、これは最強ですわねえ。でも詐欺には気をつけましょう。
☆新著「怖い絵」(朝日出版社)
☆☆アマゾンの読者評で、この本のグリューネヴァルトの章を読んで「泣いてしまいました」というのがありました。著者としては嬉しいことです♪
①ドガ「エトワール、または舞台の踊り子」
②ティントレット「受胎告知」
③ムンク「思春期」
④クノップフ「見捨てられた街」
⑤ブロンツィーノ「愛の寓意」
⑥ブリューゲル「絞首台の上のかささぎ」
⑦ルドン「キュクロプス」
⑧ボッティチェリ「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」
⑨ゴヤ「我が子を喰らうサトゥルヌス」
⑩アルテミジア・ジェンティレスキ「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」
⑪ホルバイン「ヘンリー8世像」
⑫ベーコン「ベラスケス<教皇インノケンティウス10世像>による習作」
⑬ホガース「グラハム家の子どもたち」
⑭ダヴィッド「マリー・アントワネット最後の肖像」
⑮グリューネヴァルト「イーゼンハイムの祭壇画」
⑯ジョルジョーネ「老婆の肖像」
⑰レーピン「イワン雷帝とその息子」
⑱コレッジョ「ガニュメデスの誘拐」
⑲ジェリコー「メデュース号の筏」
⑳ラ・トゥール「いかさま師」
☆拙訳『マリー・アントワネット』(画像をクリックするとアマゾンへいけます)
☆☆マリー・アントワネットが被害者になった大がかりな詐欺事件といえば、「首飾り事件」。真相がわかってみれば、どうしてこんな人間に騙されたのだろうと不思議だが・・・
![マリー・アントワネット 下 (3)](http://images-jp.amazon.com/images/P/4042082084.09.MZZZZZZZ.jpg)
◆マリー・アントワネット(上)(下)
シュテファン・ツヴァイク
中野京子=訳
定価 上下各590円(税込620円)
角川文庫より1月17日発売
ISBN(上)978-4-04-208207-1 (下)978-4-04-208708-8
18世紀初頭のイギリスに登場した、なんとも珍妙な詐欺師について書きました(ちょっぴりとはいえ、日本がからむところも面白いと思って)。
メリメの場合は、いかにもインテリが好みそうな偽書。大ベストセラーになったイザヤ・ベンダサン『日本人とユダヤ人』を思い出す。とはいえ山本七平氏は黙したまま逝去されたが。
詐欺師映画だと『スティング』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』『復讐するは我にあり』などが思い出される。詐欺師は殺人はしないという定説を破った『復讐するは~』は、実話でもあり、見ていて気が滅入った。
女性の結婚詐欺師を扱ったものとしては、『ブラック・ウィドー』がなかなか良かった。ターゲットを徹底的に分析して、相手の「夢の女」になりすますのである。叩き上げの金持ちの場合は、モンロー風のあからさまにセクシャルなブロンド美女に、西洋史研究の大学教授の場合は、黒髪で知的な眼鏡美人に、フランス人の芸術家に対しては、すっぴんナチュラル美女に(あ、全部美人なのは共通してますけど)。
本人の素がどんなものかはけっきょくわからないのだが、他人の「夢」になり続けているのも辛いらしくて(偽台湾人がけっきょく告白したのと同じ心理だろう)、一定期間を過ぎると男を殺し、遺産を奪って、次のターゲットへ。これを楽しんでいるふうなのだ。
で、主人公は実はこの結婚詐欺美女ではなく、それを追う女性捜査官。彼女はどうも今ひとつ男性にもてないので、だんだんこの犯人にふつう以上の興味を抱き始める。つまりやり口を真似たいと思う。いや、この美女に自分が成り代わりたいとすら思う。その感じがなかなか良かったな。
「美女とは、あなたの目を惹く人。魅力的な女性とは、あなたに目を惹かれる人」--という言葉がある。美女で、なおかつあなたに目を惹かれている人となれば、これは最強ですわねえ。でも詐欺には気をつけましょう。
☆新著「怖い絵」(朝日出版社)
☆☆アマゾンの読者評で、この本のグリューネヴァルトの章を読んで「泣いてしまいました」というのがありました。著者としては嬉しいことです♪
①ドガ「エトワール、または舞台の踊り子」
②ティントレット「受胎告知」
③ムンク「思春期」
④クノップフ「見捨てられた街」
⑤ブロンツィーノ「愛の寓意」
⑥ブリューゲル「絞首台の上のかささぎ」
⑦ルドン「キュクロプス」
⑧ボッティチェリ「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」
⑨ゴヤ「我が子を喰らうサトゥルヌス」
⑩アルテミジア・ジェンティレスキ「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」
⑪ホルバイン「ヘンリー8世像」
⑫ベーコン「ベラスケス<教皇インノケンティウス10世像>による習作」
⑬ホガース「グラハム家の子どもたち」
⑭ダヴィッド「マリー・アントワネット最後の肖像」
⑮グリューネヴァルト「イーゼンハイムの祭壇画」
⑯ジョルジョーネ「老婆の肖像」
⑰レーピン「イワン雷帝とその息子」
⑱コレッジョ「ガニュメデスの誘拐」
⑲ジェリコー「メデュース号の筏」
⑳ラ・トゥール「いかさま師」
☆拙訳『マリー・アントワネット』(画像をクリックするとアマゾンへいけます)
☆☆マリー・アントワネットが被害者になった大がかりな詐欺事件といえば、「首飾り事件」。真相がわかってみれば、どうしてこんな人間に騙されたのだろうと不思議だが・・・
![マリー・アントワネット 上 (1)](http://images-jp.amazon.com/images/P/4042082076.09.MZZZZZZZ.jpg)
![マリー・アントワネット 下 (3)](http://images-jp.amazon.com/images/P/4042082084.09.MZZZZZZZ.jpg)
◆マリー・アントワネット(上)(下)
シュテファン・ツヴァイク
中野京子=訳
定価 上下各590円(税込620円)
角川文庫より1月17日発売
ISBN(上)978-4-04-208207-1 (下)978-4-04-208708-8
でも、誰もが、犯罪まで行かなくても、ウソをついて生きているはず。結婚式の、仲人の新郎新婦紹介なんかもウソでしょう。政治家も、ウソつきだし、ヒットラーなんか、ウソの天才です。
文学者などは、ウソを芸術化するプロかも。
科学でも、ビッグ・バン説などホラに近い。
ま、詐欺は他人に迷惑をかける犯罪で、芸術や科学の仮説とは、異なります。
もてない捜査官が、詐欺師に学ぶなんて面白いです。何事も研究と努力・・・お勉強ですね(笑)
「仲人口」と言いますものね。でもそれは許されるのでは。人間は誕生・結婚・葬儀の3回は必ず大盤振る舞いに誉められますもん。
minさん
そうなんです。この映画、ある意味で勉強になるかなあと思って学生にはたまに話すんですけど、古くてもうレンタル屋さんにもないみたい。要は、「このままのわたしを愛してほしい!」ったって、そうはいきませんよ、努力しなくちゃ、という感じかな。
「日本人とユダヤ人」の場合は、何といっても本を売りたいというのが先にあったのではないでしょうか?無名の日本人が書いたものより、「日本人に大いに関心を寄せるユダヤ人」が書いたという方が、絶対的に話題になりますもん。内容がどんなに良くてもそれだけでは売れないということを、氏は古書店をやっていてよくわかっていたのでは。