パリ万博について調べていたら、ちょっと面白いことが。
まずはヒチコックの「バルカン超特急」。彼がイギリスで撮った最高傑作と評価の高い映画です。列車の中で突然、老婦人が消え、周りは皆、「そんな人は最初から乗っていなかった」と証言、ヒロインが謎を追う、というミステリ(最近のジョディ・フォスターの映画がこれを借用していました。オリジナルに比べて出来はよろしくなかった)
トリュフォーがヒッチにインタビューする本の中で、当然この「バルカン超特急」は取り上げられているのですが、それによると、老婦人が消える、というアイディアは実話を元にしている由。
以下は、ヒッチ本人の話からーー
時はパリ万博(1889年)、所はパリの某ホテル。インドからやってきた母娘がいて、母親のほうが急病になる。医者が呼ばれる。特殊な薬が必要だから買ってきてほしいと医者は娘に指示。娘は言われたとおり、辻馬車でその薬局へ行くが、遠かったので帰ったのは4時間後だった。
すると、部屋に母がいない。いや、それどころか、別人が泊まっていて、壁紙も家具も前とは全然違っている。。。
パニックになった娘に、ホテル中の人がこう言うのだ、そんな婦人は最初からチェックインしていませんでした。
さて、いったい何があったと思いますか?
実はインドから来たその女性はペストにかかっていたため、医者とホテルがグルになって(おそらく政府も関与したに違いありません)隔離してしまったというのが真相でした。
万博目当てに世界中から観光客が訪れ、フランスの威信をここぞとばかり高めねばならないこの時期にペスト患者が出た、などと世間に漏れたら大変です。そこで大掛かりな隠蔽となった次第。
ヒチコックはインタビューでその後の母娘について何も語っていないのですが、たぶん命は助かったのではないでしょうか。でなければ真相は公表されないわけだし。
それにしても万が一、ペストが万博の人ごみの中に混じり、罹患したと知らない観光客が、それぞれ本国にもちかえっていたら。。。
☆最新刊「マリー・アントワネット 運命の24時間
~知られざるフランス革命ーヴァレンヌ逃亡」(朝日新聞出版社)
新聞評⇒http://chroniclelibrary.blogspot.jp/2012/04/asahi-shohyo_5455.html
☆「危険な世界史 運命の女篇」(角川書店) 2刷中。
☆「危険な世界史 血族結婚篇」(角川文庫)3刷になりました♪
☆「怖い絵 泣く女篇」(角川文庫)~「怖い絵2」の文庫化~
4刷になりました♪
☆『中野京子と読み解く 名画の謎 ギリシャ神話篇』(文藝春秋) 3刷中。
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文春「本の話」から、「自著を語る」(「謎が解けたら、絵画は最高のエンターテインメントになる」)はこちら
↓
http://www.bunshun.co.jp/jicho/1104nakano/index.htm
☆「印象派で「近代」を読む ~光のモネからゴッホの闇へ~」(NHK新書)2刷中。
☆「『怖い絵』で人間を読む 」(NHK出版生活人新書) 8刷中。
☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)
15刷中。
☆「芸術家たちの秘めた恋 ―メンデルスゾーン、アンデルセンとその時代 (集英社文庫)
「週刊朝日」書評⇒ http://book.asahi.com/reviews/column/2011100300004.html
☆「残酷な王と悲しみの王妃」(集英社) 2刷中。
レンザブローで本書についてインタビューが載っています。お読みくださいね!⇒ http://renzaburo.jp/(「特設サイト」をクリックしてください)
☆光文社新書「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」4刷中。
☆「怖い絵」16刷中。
☆「怖い絵2」、9刷中。
☆「怖い絵3」 6刷中。
☆「危険な世界史」(角川書店) 5刷中。
「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)
☆「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。「恋に死す」の文庫化版です。
sai
まずはヒチコックの「バルカン超特急」。彼がイギリスで撮った最高傑作と評価の高い映画です。列車の中で突然、老婦人が消え、周りは皆、「そんな人は最初から乗っていなかった」と証言、ヒロインが謎を追う、というミステリ(最近のジョディ・フォスターの映画がこれを借用していました。オリジナルに比べて出来はよろしくなかった)
トリュフォーがヒッチにインタビューする本の中で、当然この「バルカン超特急」は取り上げられているのですが、それによると、老婦人が消える、というアイディアは実話を元にしている由。
以下は、ヒッチ本人の話からーー
時はパリ万博(1889年)、所はパリの某ホテル。インドからやってきた母娘がいて、母親のほうが急病になる。医者が呼ばれる。特殊な薬が必要だから買ってきてほしいと医者は娘に指示。娘は言われたとおり、辻馬車でその薬局へ行くが、遠かったので帰ったのは4時間後だった。
すると、部屋に母がいない。いや、それどころか、別人が泊まっていて、壁紙も家具も前とは全然違っている。。。
パニックになった娘に、ホテル中の人がこう言うのだ、そんな婦人は最初からチェックインしていませんでした。
さて、いったい何があったと思いますか?
実はインドから来たその女性はペストにかかっていたため、医者とホテルがグルになって(おそらく政府も関与したに違いありません)隔離してしまったというのが真相でした。
万博目当てに世界中から観光客が訪れ、フランスの威信をここぞとばかり高めねばならないこの時期にペスト患者が出た、などと世間に漏れたら大変です。そこで大掛かりな隠蔽となった次第。
ヒチコックはインタビューでその後の母娘について何も語っていないのですが、たぶん命は助かったのではないでしょうか。でなければ真相は公表されないわけだし。
それにしても万が一、ペストが万博の人ごみの中に混じり、罹患したと知らない観光客が、それぞれ本国にもちかえっていたら。。。
☆最新刊「マリー・アントワネット 運命の24時間
~知られざるフランス革命ーヴァレンヌ逃亡」(朝日新聞出版社)
新聞評⇒http://chroniclelibrary.blogspot.jp/2012/04/asahi-shohyo_5455.html
☆「危険な世界史 運命の女篇」(角川書店) 2刷中。
☆「危険な世界史 血族結婚篇」(角川文庫)3刷になりました♪
☆「怖い絵 泣く女篇」(角川文庫)~「怖い絵2」の文庫化~
4刷になりました♪
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☆「印象派で「近代」を読む ~光のモネからゴッホの闇へ~」(NHK新書)2刷中。
☆「『怖い絵』で人間を読む 」(NHK出版生活人新書) 8刷中。
☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)
15刷中。
☆「芸術家たちの秘めた恋 ―メンデルスゾーン、アンデルセンとその時代 (集英社文庫)
「週刊朝日」書評⇒ http://book.asahi.com/reviews/column/2011100300004.html
☆「残酷な王と悲しみの王妃」(集英社) 2刷中。
レンザブローで本書についてインタビューが載っています。お読みくださいね!⇒ http://renzaburo.jp/(「特設サイト」をクリックしてください)
☆光文社新書「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」4刷中。
☆「怖い絵」16刷中。
☆「怖い絵2」、9刷中。
☆「怖い絵3」 6刷中。
☆「危険な世界史」(角川書店) 5刷中。
「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)
☆「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。「恋に死す」の文庫化版です。
sai
エッフェル塔とパリ万博の話もするつもりでいたのですが、脱線しすぎて忘れてしまいました(あちゃ~)
関西はやはり暑いなあと思いました。トクちゃんさんも御自愛くださいね!
秋には京都でエルミタージュの講演会があると良いな~って思っています。
これからが夏本番、お忙しい京子さん、どうぞお体ご自愛くださいませ。