中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

後宮からの「誘拐」or「逃走」?(世界史レッスン第110回)

2008年05月06日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」第110回目の今日は「「チンギス・ハーン=義経」説&「マフムート2世の母=ジョゼフィーヌの従姉」説」⇒  http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2008/05/post_4368.html#more
 トルコ第30代スルタンの母は、海賊に誘拐されてハーレムに連れ去られたジョゼフィーヌの従姉エイメではないか、という説について書きました。

 まずその前に「チンギス・ハーン=義経」説。これを知っているモンゴル人はどのくらいいるのでしょう?知れば怒るかな、それとも笑うかな?でも公開中の映画「モンゴル」でチンギス・ハーン役をやっているのは、日本人俳優だけど。

 この説をうまく使った高木彬光のミステリ「成吉思汗(ジンギスカン)の秘密」はけっこう面白かった(リチャード3世は実は悪人ではなかった、というイギリスの歴史ミステリ「時の娘」より出来がいいと思う)

 ついでながら今の学生は、チンギス・ハーンという表記でしか習わないので、成吉思汗やジンギスカンとイコールとは夢思っておらず、ジンギスカンとは羊肉料理でしかない。いかがなものか。

 さて、トルコのハーレムといえば、モーツァルトのオペラだが、これもタイトルが未だ統一されていなくて、あるときは「後宮からの誘拐」、あるときは「後宮からの逃走」。
 
 原題には「Entfuehrung」という単語が使われており、まあ、「駆け落ち」と訳すと近いかな。

 ストーリーは、海賊にさらわれハーレムに閉じ込められた恋人を救う、というもの。ということは、誘拐された女性を助けて「誘拐」とは変ですよね!だから「逃走」でなくっちゃ!

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5 コメント

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ツァイーデ (ドイツ娘)
2008-05-08 03:29:39
 同じテーマで、モーツァルトは若い頃に、《ツァイーデ》も書いていますよね。

 私は、きれいな絵入りの《ツァイーデ》の台本を持っていて、コンサート形式の上演は聴いたこともあるのですが、録音はなかなか見つからない。
 他のモーツァルトの初期のオペラなどだと、尚更です。

 それが一昨日偶然、行きつけのCD店で、モーツァルト全作品170CD、台本つきを99ユーロで見つけて、やっと無名の作品も聴けるようになりました。
 ちなみに、バッハ全作品155CDが99ユーロ、ベートーヴェン全作品85CDは、89ユーロで、グルダ、ブレンデル、シェリング、シュライヤー、マズーアなど、一流の演奏家の演奏。
 バッハとモーツァルトの全集は、編曲などにも留意した上、オリジナル楽器を使う配慮も。

 本題からは少しそれるのですが、このくらいの値段だと、音大生が作曲家の全録音を揃えるのも楽だし、クラシックファンも増えると思うのですが……。
 尤も、CDの原価を切るくらいの値段で、どういう仕組みになっているのか、よく分からないのですが。
 (ちなみにすべて新品で、まともな店での値段です。)
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Unknown (ドイツ娘さんへ(kyoko))
2008-05-08 08:31:10
演奏者の版権が切れたので廉価版が出るようになったのでしょうね。
 オペラのCDはまだ高くて、う~ん、どうしようかな、と迷うことがありますけど。
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Unknown (ドイツ娘)
2008-05-14 02:56:56
 それが、版権が切れているはずのない最近の録音が多いのです。だから、録音状態もクリアなものが多い。旧東独やオランダの古楽奏者のものが多いのですが……。

 1週間かけて、ベートーヴェンの声楽曲・舞台音楽全曲と、モーツァルトのオペラと演奏会アリア・リート全曲、計100枚くらいのCDを聴きました。今、モーツァルトの宗教曲を聴いています。
 バッハも買ったのですが、まだそこまで手が回りません。ブラームスもあったのに買わなかったのですが、次回は買ってこようかな、と思うくらい。

 商業主義に乗っていない、あまり有名でない演奏家のものが多かったので、期待しないで聴いたのですが、素晴らしかったです。目から鱗、で私の知らなかったベートーヴェンやモーツァルト像が立ち現れるようで……。

 蛇足ですが、発売元のURLを入れましたので、よかったら聴いてみて下さい。
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エイメについては (真奈美)
2008-05-15 18:44:23
 私が読んだ『ヴェルサイユ宮廷の女性たち』by加瀬俊一 では、単に史実として描いてあったように記憶してます。だから私もそう思ってました。まるで少女マンガ、いえむしろレディコミでしょうか。フィクションより劇的な事件はほんとにあるものなので、できすぎだからといって一概に否定できませんしね。
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Unknown (真奈美さんへ(kyoko))
2008-05-15 20:55:24
 エイメ説は塩野七生女史も正史として書いているようです。でもまだ十分には確認されているとは思えないですね~。証拠が足りなすぎて。チンギス・ハーン=義経説よりは、可能性は高いですけど。
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