朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」第85回目の今日は、「醜貌を親に疎まれて」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2007/10/post_d23c.html#more
家康の子に生まれながら追放された忠輝と、フランス人でありながらオーストリアの猛将となったオイゲン公、ともに醜貌だったふたりの運命の明暗について書きました。
家康は観相学を信じていたとの説があり、忠輝を極端に嫌ったのも、単に醜かったからというより、自分に害をなす悪相と思い込み、嫌悪感を募らせたのかもしれない。
それに周りでいろいろ言う者もあったのだろう。(江戸時代の国学者、平田篤胤も、占い師から「兄弟を殺し、家を奪う相」などと言われ、親から疎まれている)
忠輝については松本清張の好短編『湖畔の人』がある。
初老の主人公である新聞記者が諏訪へ左遷され、そこに骨を埋めている忠輝について調べてゆくという物語だ。知れば知るほど、互いによく似ていると思い知らされる辛さ・・・(「生まれながらにして、人の愛を得ることが出来ないという自覚ほど寂びゅうはない」)
読者はつい、この主人公と書き手の清張氏とを重ねて読まずにいられない。
とはいえラストには、一種の悟りのようなものが感じられて救われる。
☆「怖い絵」、4刷が決まりました!
☆日経新聞夕刊(10月17日)の井上章一氏による書評です♪
「人間の暗部や歴史の裏を描く」
グリム童話は、いま子ども向きの読みものとなっている。しかし、もとはけっこう恐ろしい話を集めていた。とても子どもには読ませられないような、人間の暗部がえぐられた話を。
実は、いわゆる泰西名画にも、暗い背景をもつものがけっこうある。むごい逸話をひめた作品が、いくつも描かれてきた。この本は、そんな絵を集めて、それぞれに解剖学的な絵解きをほどこした本である。
まあ、ゴヤの「我が子を喰らうサトゥルヌス」なんかは、見るからにおそろしい。だが、その背後には、もっとむごい歴史がある。ドガの「踊り子」あたりは、きれいな絵だなと思われようか。しかしそこには、いやらしい社会史も、描きだされている。いや、いやらしさという点なら、ジェンティレスキの「ユーディト」も負けてはいない。
色や形、あるいは絵柄だけを見ていても、なかなかこうは読み解けないだろう。歴史の裏に通じているからこそ、こういう秘話をほりおこせるのだと思う。
文章もよくねれており、たいへん読みやすく書かれている。美術愛好家のみならず、歴史好きにはひろく一読をすすめたい。星5つ)
☆マリーもお忘れなく!(ツヴァイク「マリー・アントワネット」(角川文庫、中野京子訳)
家康の子に生まれながら追放された忠輝と、フランス人でありながらオーストリアの猛将となったオイゲン公、ともに醜貌だったふたりの運命の明暗について書きました。
家康は観相学を信じていたとの説があり、忠輝を極端に嫌ったのも、単に醜かったからというより、自分に害をなす悪相と思い込み、嫌悪感を募らせたのかもしれない。
それに周りでいろいろ言う者もあったのだろう。(江戸時代の国学者、平田篤胤も、占い師から「兄弟を殺し、家を奪う相」などと言われ、親から疎まれている)
忠輝については松本清張の好短編『湖畔の人』がある。
初老の主人公である新聞記者が諏訪へ左遷され、そこに骨を埋めている忠輝について調べてゆくという物語だ。知れば知るほど、互いによく似ていると思い知らされる辛さ・・・(「生まれながらにして、人の愛を得ることが出来ないという自覚ほど寂びゅうはない」)
読者はつい、この主人公と書き手の清張氏とを重ねて読まずにいられない。
とはいえラストには、一種の悟りのようなものが感じられて救われる。
☆「怖い絵」、4刷が決まりました!
☆日経新聞夕刊(10月17日)の井上章一氏による書評です♪
「人間の暗部や歴史の裏を描く」
グリム童話は、いま子ども向きの読みものとなっている。しかし、もとはけっこう恐ろしい話を集めていた。とても子どもには読ませられないような、人間の暗部がえぐられた話を。
実は、いわゆる泰西名画にも、暗い背景をもつものがけっこうある。むごい逸話をひめた作品が、いくつも描かれてきた。この本は、そんな絵を集めて、それぞれに解剖学的な絵解きをほどこした本である。
まあ、ゴヤの「我が子を喰らうサトゥルヌス」なんかは、見るからにおそろしい。だが、その背後には、もっとむごい歴史がある。ドガの「踊り子」あたりは、きれいな絵だなと思われようか。しかしそこには、いやらしい社会史も、描きだされている。いや、いやらしさという点なら、ジェンティレスキの「ユーディト」も負けてはいない。
色や形、あるいは絵柄だけを見ていても、なかなかこうは読み解けないだろう。歴史の裏に通じているからこそ、こういう秘話をほりおこせるのだと思う。
文章もよくねれており、たいへん読みやすく書かれている。美術愛好家のみならず、歴史好きにはひろく一読をすすめたい。星5つ)
☆マリーもお忘れなく!(ツヴァイク「マリー・アントワネット」(角川文庫、中野京子訳)
現代では、そんなに醜くなくても、自分の容貌に恐れを抱く人も多いですね。
テレビ番組であちらの「スワン」だの、こちらでも形成して美しくなったりするのがありますが、半分は、もとの顔のほうがいいじゃん、なんて思ったりするわたしはおかしい?
スーパースターのマイケルなんとかさんも、「人形の家」の日本人歌手も、このたぐいでしょうね。
ところで、久しぶりに松本清張を読みたくなりました。「湖畔の人」で検索しても、短編集のなかの題名では、なかなか出てきません。
本の題名を教えていただけたら幸いです。
「湖畔の人」ですが、これは今の文庫に載っているかどうかは不明。わたしが持っているのは、だいぶ昔、文春から出た「松本清張全作品」の第35巻目です。いい短編がたくさん入っていますよ!
社会派ミステリーとして有名ですが、短編のほうがコクがあって……
話がブログからそれてしまってごめんなさい。
母の教育の成果があってか(?)、美容はそこそこに、ひたすら内面を磨くことに精進した私は、二十歳過ぎのある日、「お姉さん、きれいやもの、ええひと、きっといてはるわぁ」と見知らぬ女性に憧れを込めて言われて、初めて、自分が「美人」に見られ得るということに気がついたのでありました。
当時はまだそれでも、「貴女なんて、どう見ても美人じゃないのに、どうしてモテるのか、不思議ね」という複雑な評価をする人も。愛読書「アン・ブックス」のアン・シャーリーも、なんだか、そう言われていたような……。
オイゲン公だって、きっと、武将らしい意思の強さと才覚・豪腕を兼ね備えて、鋼のような人物だったのでしょう。
今でもいますよね、よく見ると、ちっとも眉目秀麗ではないのに、暗い情熱と鋼のような意思を兼ね備えていて、射すくめられて、つい、熱いものが込み上げそうになる男性、というのが……。
それでも、眉目秀麗な男性に思わずぽうっとなるのとは、ちょっと違うような気はするけれど……。
でも男性なら、にやけた美男より、芯の強い豪腕の方が魅力的、ということはあるのだろうけれど、私のような明らかな「不美人」を「魅力的」と見る男性は、いったいどういうところを見ているのでしょう?
一度、客観的で忌憚ない意見を聞いてみたいものです。