経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

事業が知財を規定するのであって、知財が事業を規定するわけではない。

2009-07-15 | 企業経営と知的財産
 最近よく感じることを、本日はとりあえず覚書的に。先日書いた「コツコツ系」にも通じますが、詳しくは後日ということで(これだけで「そうそう」って感じていただける方がいらっしゃるとちょっと嬉しいですが)。

<その1> 事業が知財を規定するのであって、知財が事業を規定するわけではない。

ex. オープンイノベーションというのは、知財の新しい考え方が事業のあり方を変えるというものではなく、事業の競争環境の変化によって技術の相互利用が必然となり、知財の形態も変わってくるというものである(と理解しています)。

<その2> 知財パーソンにも経営の知識が求められるのは、経営の意志に沿った知財活動を実践するため(アウトサイド→イン)であって、知財パーソンが経営に参加してどうこうして欲しい(インサイド→アウト)という話ではない。

経営に参加することを否定するものではないけれど、それは実務のプロフェッショナルのスキルアップやサービス向上とは次元が異なる話で、そこまでいくともはや‘知財パーソン’としてグルーピングされるものではない(と考えます)。


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3 コメント

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事業を規定するものは? (久野敦司)
2009-07-15 05:52:37
それでは、事業を規定するものは何でしょうか?
事業を規定するものは、創業の志であったり、創業後に設定した経営理念であったりします。

そして、メーカー企業の創業の志や、経営理念の中には、「独自技術で社会に貢献する」という趣旨のものが多くの企業で見受けられます。
これから考えると、その企業にとっては、知的財産の一種である技術によって社会に貢献することが目的であり、事業はその目的達成のための手段であるということになります。
すなわち、企業にとって事業が最上位の価値ではなく、社会への貢献が最上位の価値であり、メーカー企業にとっては技術を用いて社会に貢献するということを最上位の価値としている場合が多いということです。社会の公器としての企業という認識の企業にとっては、事業のためだけに知財業務があるというわけではないと思います。
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Unknown (弁理士Y)
2009-07-15 22:29:35
いつも興味深く読んでいます。久しぶりにコメントさせていただきます。

その1は、要するに、「知財は事業に従属的であれ」ということですよね。
『従属的』というところで、自分なりに、密接関連性と主従関係性とを表現したつもり・・・
事業と離れてはいけないけど、事業と対等に考えたり上位に考えたりするのはお門違い、ということですよね。

その2は、少々違和感があります。
知財パーソンのあるべき姿を規定しようとしたとき、「経営参加なんて望まれていません」なんて言わなくても、誰もそうは思わないですよね。
それに、「経営の知識が求められるのは」のところはどうでしょうか。『知識』が求められているのでしょうか?という疑問があります。
単純に、「知財パーソンには、経営・事業の意思に沿った知財活動が求められる」だけでいいような・・・

いずれにしても、その1、その2のどっちも、書きっぷりが「勘違いするなよ」的に見えますけど。思うところがあったのでしょうね!
(私のコメントも、実際、揚げ足取り的で、すみません)

最後に
以前から書かれている「意思」というコトバがとっても印象的です。とっても端的で分かりやすいですね。
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Unknown (土生)
2009-07-16 01:28:55
久野様

コメント有難うございます。
ここでは「事業」「知財」というキーワードの関係に絞って、「知財活動のあり方が事業を規定する」みたいな論調に対し、それってちょっと違うんじゃないの、というのが言わんとせんところなので、たぶん久野様の説とはかなり次元の違う命題になっているのだと思います。

弁理士Y様

コメント有難うございます。
本日のエントリは、思うところが・・・ってほど大袈裟な話ではなく、先週から今週にかけて何人かの方と話をする機会があって、いずれも「そう、そう」って同意した話を覚書的に記録したものです。どちらも進化を否定した後向きのことを言っているのではなく、むしろ現実的なプロフェッショナルのあり方を前向きにとらえているつもりではあります。
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