経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

配転教育

2008-05-17 | 新聞・雑誌記事を読む
 日経ヴェリタスの「会社がわかる」のコーナーが面白いと紹介しましたが、今週(5月11-17日号)では家具・生活用品チェーンのニトリが採り上げられています。売上高は4年で2倍、21期連続増収増益の高成長企業です。で、その強みですが、東南アジアの山奥まで分け入って家具製造業者を探しているとか、商品解析室を設置して改善に取り組みクレームを減らしているとか、製造業のような「この技術」といった明確な決め手があるわけではありません。勿論、製造業がそうでないというわけではありませんが、明確な差別化が難しいサービス業では、個々の課題をどこまで執念深く追求できるかということがより重要な要素になってくると思います。
 これはたぶん知財業務についても同様で、サービス業の知財戦略を考える場合、何らかの差別化要因を特許などでカバーしていったとしても、決定的な参入障壁にはなりにくい。前述のニトリの差別化要因のように、こうした執念深い取り組みの一つの要素として、知的財産権も一つの差別化要因になり得る場面ではコツコツと取り組んでいくしかないのでしょう。

 もう一つ、この記事で面白かったのがニトリの「配転教育」という制度です。役員も例外ではなく、本社の常務が常務の地位のままでいきなり店舗の店長に配転になり、日々店舗に張り付いて現場を指揮しながら、本社では役員会のみ出席して現場の視点から経営の意思決定に参加しているそうです。「象牙の塔の方針は現場に悪い影響を与える」とコリン・パウエルが言ったそうですが、こういう制度こそが現場に活きる経営の意思決定に結び付いていくのだと思います。知財ムラに求められるのも、象牙の塔でのお勉強ではなく、「配転教育」なんじゃないでしょうか。