経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

外掛け

2006-10-27 | 新聞・雑誌記事を読む
 インクカートリッジ訴訟の件で、最近知財界で注目のセイコーエプソンですが、一昨日に中間決算が発表されました。訴訟の争点はともかくとして、この訴訟はエプソンの経営上極めて重要な意味を持っているということが、昨日の日経金融の中間決算の解説記事から読み取れます。
 決算の数値自体は経常利益が前期比2.4倍と相当よくなっているのですが、株は大きく売り込まれ、市場からの厳しい評価を受けています。記事によると、決算が良くなった理由は、利益率の低いコピー機・プリンタ本体の販売を抑えたため、利益率の高いインクなどの消耗品の比重が高まり、結果的に利益が押し上げられたとのこと。あるアナリストは「将来の利益を先食いしている」とコメントしているそうです。
 そこに、この訴訟で負けるような結果になってしまうと、重心を移した足に外掛けを食らうようなことになってしまうわけですから、これは屋台骨を揺るがしかねない重要事案です。無効が争われている特許は、もはや技術を守るというレベルではなく、会社を支えるビジネスモデルを守る生命線にまでなってしまっているということでしょう。特許の価値というものは、技術そのものの価値よりも、そこから繋がっているビジネスの拡がりや重みに左右されるものなのだ、ということを感じます。