経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

やごからトンボへ

2006-10-17 | 知財業界
 「知財革命」に、弁理士かくあるべし、との提言があります。

「弁理士は、代書人ではない。単なる出願代理人でもない。弁理士は、特許や実用新案に関する、企業のよきコンサルタントでなければいけない。

 そういえば、7~8年位前のベンチャーキャピタル業界でも、同じようなことが言われていました。
「ベンチャーキャピタリストは、単にお金を出すだけではない。企業に積極的に関与して貢献するコンサルタントでなければいけない。」
 というようなことが言われて、外から企業を分析した経験しかない金融系のベンチャーキャピタルの担当者が、経営会議などであれこれ発言したり、社長にあれこれ指図をしたりすることが増えたわけですが、当然ながらまともな成果は生まれませんでした(自省も含めて・・・)。一方で、その頃に、米国型のベンチャーキャピタリストを目指す人達の中から、ベンチャーキャピタルからベンチャー企業に転職したり、自ら起業したりして、本当の経営体験を積む人が増えるようになりました。そうした経験の裏付けがあってこそ、次にベンチャーキャピタルで仕事をすると、本当に意味のあるアドバイスができるというものでしょう。

 先の弁理士に関する提言もおそらく同じで、言葉だけが一人歩きするのは危ないように思います。「コンサルタント」は、何の裏付けもなく突然なれるものではありません。弁理士業務とは異なる資質や経験を要するものなので、やご→トンボの如く、出願代理人→コンサルタント、と自然に脱皮できるものではないように思います。「代書人」ではちょっと困るでしょうが、弁理士業務から進化した姿はプロフェッショナルな「出願代理人」であって、「コンサルタント」というカテゴリはちょっと別ものではないかという気がしますが。