経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

コンテンツ系のリスク

2006-10-21 | 新聞・雑誌記事を読む
 昨日の株式市場で、連結決算の大幅下方修正・赤字転落が嫌気され、USENの株価が急落していました。下方修正の主たる理由に、映画使用権の評価損があるそうです。
 USENは、映画配給のギャガの親会社ですが、元々は独立系だったギャガは経営不振からUSENに救済され、子会社化されたという経緯があります。ギャガが上場した当時は業績は結構好調で、豊富なコンテンツ資産がブロードバンド時代に大きな収益を生むだろう、株主優待のDVDも魅力、というわけで、個人的にちょっとばかり株を買ってみていたのですが、ひどい目にあってしまった悪夢を思い出しました。海外から買付けた映画の版権の償却方法の変更とかで、10億円前後の経常黒字が突然100億円程度の赤字に変更され(金額の記憶はやや不正確ですが)、その後も償却方法の変更を主たる理由とする下方修正が何度も繰返され、株価は急落、USENの支援を仰ぐ結果となったのです。
 そのときに思ったことは、企業の実態に変化がおきたわけでもないのに、会計面の解釈の変更によってこれだけ企業に対する評価が変わってしまうという恐ろしさです。コンテンツ系企業のように、会計基準やその適用、解釈などが固まっていない企業は、こういったリスクがあることを考えると、非常にリスキーな投資になってしまうと思います。投資する立場から考えると、実態にあった適正会計処理云々をあれこれ検討されても、結果的に解釈等の変更で損益が大きく動くのは最悪ですから、いっそのことややこしい議論をするのはやめて、当期中に全額費用計上というルールにでもしてもらったほうが(確か研究開発費はそういう扱いになっていたと思います)、企業をみる前提自体が変化することはなくなるので、よっぽどましなのではないかという気がします。