赤い彷徨 part II

★★★★☆★☆★★☆
こんにちは、アジア王者です。↑お星さまが増えました。

9月15日(土)のつぶやき

2018-09-16 02:58:13 | Weblog

9月14日(金)のつぶやき

2018-09-15 02:59:34 | Weblog

9月13日(木)のつぶやき

2018-09-14 02:56:19 | Weblog

9月12日(水)のつぶやき

2018-09-13 02:54:41 | Weblog

9月11日(火)のつぶやき

2018-09-12 02:58:00 | Weblog

9月10日(月)のつぶやき

2018-09-11 02:55:00 | Weblog

9月9日(日)のつぶやき

2018-09-10 03:00:02 | Weblog

【本】「JAL虚構の再生」(小野展克・著)/「銀翼のイカロス」(池井戸順・著)

2018-09-09 23:17:50 | エンタメ・書籍所感
平成最後の夏を目前に控えた頃の話になりますが、数ある池井戸作品の中でも前々から読んでみたいと思っていた「銀翼のイカロス」(以下「半沢」)の文庫版が遂に出た、ということで早速購入してみました。ただ、本作は早いものでもう10年近く前になろうとしている日本航空(JAL)の破綻劇を架空の「帝国航空」というナショナルフラッグキャリアである航空会社の破綻劇に置き換えた上で、破綻から再生のプロセスの一部を「東京中央銀行」という3メガバンクの一角となる銀行の担当者の観点から描いた作品と聞いていたので、まずは「半沢」を読む前に現実に起こったJALの破綻から再生、そして現在までのプロセスを思い起こした上で読んだほうがよりリアリティをもって楽しく読めるだろうと思うに至りました。そこで、数あるJALの破綻から再生までを描いた著作の中からこの「JAL虚構の再生」(以下「虚構」)をチョイスして半沢の前に読んでJAL再生事案を復習してから「半沢」に臨みました。まず「虚構」ですが、こちらは元ジャーナリストで嘉悦大学教授である小野展克さんの手によるものですが、表題からわかるとおりJAL再生に批判的な立場から書かれた本です。そして本作をピックアップしたのは他ならぬ自分自身も「JAL再生は産業政策上の顕著な失敗例」と認識しているからに他なりません。

我が国のフラッグシップキャリア「だった」JALが破綻前と同じ、否それ以上のぴかぴかの姿で不死鳥のように舞い戻ったことはJALファンの方ならずとも美しい事業再生ストーリーのように思えるかもしれません。しかし、決して忘れてはいけないのは、同社の再生にあたっては公的金融機関である政策投資銀行による3,500億円の出資と同規模の融資という手厚い「公的支援」が施された上、金融機関による5,215億円もの債権放棄(=借金棒引き)、さらに破綻時に莫大な損失を出したことで7年間にわたり通算数千億円規模で法人税を免税されたことにより、本来なら市場から退場していたはずのJALが少なくとも年間1,000億円規模で「下駄を履かされた」結果、再生後は毎年のように莫大な利益を上げ続けているというファクトです。何が問題かと言えば、財務的には自分の足で立ち続けて経営を続けてきたANAが、この公的支援による再生劇により競争上劣位に立たされているという現状です。勿論JAL自身の経営努力もあるとは思いますし、自民党政権になってからANAに対するわずかばかりの見返りとして、ドル箱とも言われる羽田空港の発着枠が傾斜配分されANAに多めに配分されたりはしました。しかし、傾斜配分は焼け石に水という程度であり、もし次に金融危機、テロ、感染症のアウトブレイク等の「イベントリスク」が起きた場合、税金で救われたJALが悠々と生き延びる一方で、曲がりなりにもこれまで自分の足で立ってきたANAが倒産するという最悪の事態も十分に考えられます。JAL再生を民主党政権の数少ない功績、と見る向きも一部にはあるようですが、個人的には産業政策、競争政策史上に残る大失敗であったと理解しています。

「虚構」は(1)「政権交代が開いた扉」、(2)「タスクフォース、再生へのシナリオ」、(3)「会社更生法申請へ」、(4)「破綻への軌跡」、(5)「羽田国際化」、(6)「錯綜する再生へのシナリオ」の6部構成となっています。(1)ではレガシー構造、具体的には自民党政権下で政(地元に空港を作りそこに路線を開きたい国会議員)、官(運輸省)、財(JAL)のもたれあい構造、その中でゆで蛙状態が続き経営が悪化し続けていたJALが、政権交代により、民主党政権の下でパンドラの扉が開かれ、政権の足元は覚束ないながらも我が国航空産業の再編を含めた抜本的な再生に向けおうとする様子が描かれています。(2)法的根拠のない前原国交大臣の「JAL再生タスクフォース」(以下「TF」)が再生の青写真を描く一方、前原大臣が当初こそ「国際線一本化」(ANAがJALの国際線部門を吸収)を口にするも、経営トップに就いた自らの有力な支持者・稲盛和夫氏や民主党政権内の権力ゲームに負け、最終的に千載一遇の航空業界の改革チャンスが中途半端なものに堕していく様子、そして前原TFと企業再生支援機構との間の主導権争いが描かれています。(3)では主導権争いに勝ち、TFの再生計画を「がらぽん」した企業再生支援機構が財務省、政策投資銀行、メガバンク、そしてTFなどのアクターとの鍔迫り合いの中で再生計画をあらためて練り上げていく様子が描かれます。(4)では戦後国有会社から始まったJALが政治や行政の関与を受けながら、途中悲願の民営化を果たしつつも、御巣鷹山の事故などもあり徐々に破綻に向かう様子を振り返っています。(5)では第1次安倍政権が画策するも安倍総理の退陣もあり尻すぼみに終わり、民主党政権下でようやく実現に漕ぎ着けた羽田空港の本格的な国際化、そのスロットをめぐる再生復活JALとANAが火花を散らす様子などが描かれています。最終章の(6)ではJALを解体して国際線をANAに一本化するという本来あるべき案が稲盛会長により一蹴され、日本の航空産業の競争環境が歪んでいく様子が描かれています。

「半沢」は主人公の半沢直樹が勤務するメガバンクである東京中央銀行が帝国航空(=日本航空)の破綻と再生をめぐる骨肉の争いに、同行の主担当として巻き込まれ戦っていく様子が描かれています。今シリーズは、個人的にはTVドラマと本作しかチェックしていないので自分の経験としては言えませんが、基本的に時代劇のようなわかりやすい「勧善懲悪」モノであると理解しています。そして今回主人公である半沢直樹の前に立ちはだかるのは(1)新政権の国土交通大臣とその後ろ盾になっている大物という2人の政治家とその大臣の私的諮問機関であるタスクフォースの「再生屋」の弁護士たち、そして例によって例のごとく後ろから刺してくる(2)東京中央銀行内のライバルたち、というのが大まかなプロットです。ここでは完全に悪役の国土交通大臣は華はあるものの高飛車で無知な若手女性議員というキャラ設定ですが、これは現実の前原さんもさることながら、恐らく蓮舫さんあたりとのハイブリッドモデルなのではないかと思います。そして、陰に陽に銀行に債権放棄を迫ってくるTFのリーダーについては、現実世界の前原TFの弁護士さんをベースに半沢シリーズらしい悪辣さのスパイスを施したものではないかと思います。法的根拠のないTFが大臣の威光などをバックに銀行団に融資残高の7割に上る債権放棄を迫り、それに立ち向かう半沢という構図になっています。そして政治家の大物スキャンダルなども絡みながら合併行である東京中央銀行内の派閥争いなども絡んで物語は展開していきます。

「半沢」では銀行としてTFが迫る債権放棄を認めるかどうかが物語の焦点になっていますが、現実のJAL再生劇では銀行の債権放棄受け入れは特段大きな論点にならずほぼほぼ規定路線という感じで、むしろ論点はJAL解体の上で国際線はANAに一本化する=(私に言わせれば)産業政策としてあるべき王道を行くのか、という点と、もう1つ挙げれば、「虚構」によれば前原大臣指示の下で再生案を練り上げたTFと、政官の諸々の駆け引きを経た上で最後に実際に救済を担った企業再生支援機構(現地域活性化支援機構)との間の主導権争いというあたりだったのではないかと思います。そして現実に政投銀+メガバンクは上記のとおり多額の債権放棄を受け入れています。また、「企業再生支援機構」については、「半沢」では「企業再生支援機構」の名前こそ最終盤にこそ出てきていますが、あくまでそれは作品以降のアクターとして名前が出てきているに過ぎません。JALがモデルになっている「帝国航空」も、当初こそどうしようもない企業として描かれていますが、むしろ最後は、どちらかというと変化の萌芽を見せつつあり、TFの横暴に逆らうことのできないけなげな被害者のようにさえ描かれています。

両作を比較してみると、相違点は以上の他には、時系列に多少の相違があったり、現実世界で起きたのは右派政権から左派政権への政権交代だったのに対し「半沢」ではその逆になっていたり、細かい点で「虚構」≒現実と「半沢」との間に相違点はありますが、総じて「事実をベースにしつつ、香味料や薬味をふんだんにまぶして美味しく味付けしたフィクション」ということになるのだと思います。勿論「半沢」だけでも十分面白く読めるのですが、「虚構」のような本でファクトを整理してから読むと更に面白く読めること請け合いです。個人的に池井戸作品では、この夏にたくさん鑑賞した映画のひとつである「空飛ぶタイヤ」も、チャンスがあれば今回と同じような読み方をしてみたいと思っています。

9月8日(土)のつぶやき

2018-09-09 03:00:21 | Weblog

9月7日(金)のつぶやき

2018-09-08 03:02:55 | Weblog

9月6日(木)のつぶやき

2018-09-07 03:03:15 | Weblog

9月5日(水)のつぶやき

2018-09-06 02:54:18 | Weblog

9月4日(火)のつぶやき

2018-09-05 03:00:11 | Weblog

9月2日(日)のつぶやき

2018-09-03 02:55:07 | Weblog

9月1日(土)のつぶやき

2018-09-02 02:57:34 | Weblog