赤い彷徨 part II

★★★★☆★☆★★☆
こんにちは、アジア王者です。↑お星さまが増えました。

四国ならぬ三国の旅(11)  宇和島城Ⅱ

2016-12-18 18:57:44 | アウェイじゃないけどぶらり旅
前回からのつづき)

更に半年ほど間があいて旅行から1年以上経過して完全にタイミングを間違えた感じになってしまいますが、思ったより早くシーズンオフに突入し(涙)、かつサッカーのことを書く気にもならない(笑)ので機械的に四国旅行についての記事を更新させていただきます。いよいよ全国に12ある現存天守の中でもかなりアクセスの悪い部類に入る宇和島城の本丸に辿り着こうというところであります。

階段を上るとそこは二ノ丸跡地。こちらを築城されたのが築城の名手である藤堂高虎公であることは前述のとおりだったと思いますが、なんとその高虎公は関ヶ原の戦いでNHK大河「真田丸」の「刑部殿」こと大谷吉継公を撃破した戦功によって今治20万石を与えられそちらに移ったという経緯があったようですね。関ヶ原の戦功で今治に、までは記事にしていましたが、まさが相手が刑部殿だったとは。



どちらも気候のせいなのですが、我々意外に見学者がおらず、また、周りを囲む山々から白雲が滑り降りてくる光景も見られたため、総じて非常に幻想的な雰囲気の中での散策になりました。さて、先ほどの刑部殿の件に少々戻りますが、この一連の記事を書き始めた頃には「真田丸」というドラマはまだ放送開始からまもなくでしたのでそんな話は知る由もありませんでした。今思えば実に感慨深いものがあります。



眼下に宇和島の街並みと宇和島港を臨みます。江戸時代初期のお城に近代の港という組み合わせは些かミスマッチかもしれませんが、お城とインフラが好きな私としてはこの上ない組み合わせでした。



搦形門こと一ノ門の跡を上りいよいよ本丸に足を踏み入れます。



しかしそれにしても人影がありません。



あらためて港を見下ろしてしまうインフラヲタ。



天守の手前に見えるのは台所の跡地なのだとか。植えられているのは桜でしょうかね。



しつこいようですが、この日は本当に神秘的な光景に恵まれました。



熊本城の「一口城主」のような取り組みをこちらでもやっているようです。



いよいよ入城してまた港。受付にお年寄りが座っておられ、敷地内でほぼはじめて人間の姿を見て少しホッとしました。



(つづく)



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【本】「トヨトミの野望」(経済記者 梶山三郎・著)

2016-12-12 23:30:29 | エンタメ・書籍所感
尾張の鍛冶屋からのし上がった世界的自動車メーカー「トヨトミ自動車」を舞台に、米国政府や国内外のライバルメーカーという外部との攻防は勿論のこと、内部における創業家と使用人との間の緊張関係まで描かれた経済小説。95年に創業家である豊臣家の後押しで創業家以外から抜擢された「使用人」武田剛平の社長就任からはじまり、以降サラリーマン社長が続いた後、リーマンショックにもがき苦しむ中で社長に就任するも米国におけるリコール騒動や世界的なハイブリッド包囲網など更なる困難に直面していく創業家のプリンス・豊臣統一の苦闘と、そこからの巻き返し策を打ち出すところまでを描いています。

お察しのとおりこれはかのトヨタ自動車を舞台に、創業家の後押しで社長に就任、同社の躍進とグローバル化を推し進めた奥田碩さんから、現在の創業本家直系社長である豊田章男さんまでの同社の経緯をトレースした「物語」と思われるものなのです。自動車業界担当記者の方にお聞きしても「事実と思われるエピソードばかり」とのことですので、過去にご紹介した「原発ホワイトアウト」同様、「事実をパッチワークして作られた物語」ということのようです(というわけでこちらも著者は不明)。ただ、こちらは「ほぼ史実をなぞったストーリーに大なり小なりの脚色が加わっている」というべきもので、ほとんどの登場人物はネットを駆使すれば大体実在の誰なのかわかると思います。

のっけからアラフォー時代の「トヨトミのプリンス」がホステスに入れあげてヤクザに軟禁され、そこに武田社長が颯爽と登場してプリンスを救い出す、という、事実とすれば衝撃的なシーンから始まるなど、巨大自動車メーカーの「創業家」と「使用人」たちの時に美しく、時にドロドロとした関係を中心に、局面局面のエピソード(と思われるもの)が非常に生々しく描かれているため、自動車産業関係者は勿論のこと、行政やメディアの関係者まで含めた「その筋」ではちょっとした話題になり、挙って読んでいるのだそうです。

些か陰謀論的に思われがちですが、グローバルな自動車メーカーが米国の政府と産業が仕掛けてくるえげつない「謀略」に対して如何に神経質になっているか、あるいは実際アンテナを高くしておかなければならないか、という過酷な現状。そして、企業にとって陰に陽に影響を及ぼす「創業家」という存在の「功罪」についてあらためて考えさせられる内容でした。グローバル経済下、サラリーマン社長やプロ経営者が株主と自分の報酬にばかり気を使って設備投資や技術開発を怠り短期的な利益の実現に走りがちな欧米から1周遅れの日本のコーポレートガバナンスの現状にあって、比較的長期的な視点で経営をすることのできる同族企業的な存在というのは割りと重要ではないか、と個人的には思っているのですが。

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