ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

キャンディード(東宝版)

2010年08月08日 | ミュージカル・演劇
大分前になってしまいましたがぼちぼち観劇レポを・・・でも舞台はとりあえずこれで溜まった分終わりかな。
キャンディードは以前亜門版を初演、再演とも観てました。結構好きな舞台でしたが、話はなんだかなーという感じ。まあもともとそういう話なんだろうなあと思っていた程度でした。
曲はもう素晴らしい! のですが、初演は指揮も佐渡裕さんで、演奏もかなり良かったのですが(オケの人数明らかに多かったもんな・・・)、再演ではオケのレベルがちょっと落ちてしまってがっかり・・・
それが今度は東宝というのですから・・・一番心配してた・・・というか期待してなかったのがオケの演奏でしたが・・・
まあ普段の東宝の作品よりは頑張ってたかな。○季のウェストサイド-や韓国版モーツァルト!よりはマシでしたから。金管が音外したりしてうーむ、というところはちょこちょこありましたが、話に集中できないほどではありませんでした。ちょっとホッ。
さて、今回のジョン・ケアード版のキャンディード、あちこち場面をカットしてすっきりさせた上に、話の筋がわかりやすくなってました。
訳詞もわかりやすかったですね。正直亜門版の訳詞は、おもしろおかいしいところばかりをクローズアップしてた感じでしたね。東宝版の訳詞だと、マキシミリアンの「僕はハンサム」の歌も(これ亜門版の訳詞ですが・・・)、「仕方ないじゃない身分制度」とか言っていて、話のありようがわかりやすかったですね。キャンディードとクネゴンデのデュエットも、二人の話の噛み合わなさがよくわかる訳詞でした。
ラストのあたりも、亜門版だとなんだかグダグダなうちにエンド、という感じがしてしまいましたが、ケアード版の方がすっきりと入っていけるラストでした。
クネゴンデのアリアも、ただ面白おかしいのではなく、後半は「もう絶望してヤケになってる」という哀しみが出ていて、ちょっとびっくりしました。あれってバカバカしいアリアだと思っていたので・・・このあたりは演劇的、だったかなあ。本来あのシーンてどうなんでしょうか。
老女の身の上話のところでも、最後涙で抱き合うような展開で、ちょっと違和感・・・確かにクネゴンデを説得するシーンではあるんだけど、そこまでの展開、悲惨ではあるけど結構バカバカしくもあったりして・・・
バーンスタインは、オペラの話の筋がつまらなくて、バカバカしいシーンに大仰な歌がついていることを皮肉る意味でもこの作品を作ったのだと思うので、あんまりヴォルテールの精神を尊重しすぎるのもどうかと・・・
例えぱ、1幕最後のナンバーがすごく感動的なのですが、それが2幕始まってまもなく、スペイン総督のバカバカしい内容の歌でリプライズされるんですよね・・・「なんでこの曲!?」って感じで。自らの名曲をカリカチュアライズしてしまうバーンスタインの諧謔を感じるところです。(亜門版はさらにそれを女装したマキシミリアンがリプライズするという念の入りようで(笑))
ケアード版は、話としてまとまっていた分、そういうところが物足りなかったなあと・・・
亜門版は逆に、バーンスタインのそういう意図を汲み取りすぎ?て、面白おかしく派手に、というのを前面に出しすぎだったのかもしれませんが。
舞台としては・・・ケアード版の方が観やすいかなあ・・・
序曲のところ、ケアード版はヴォルテール一人で持たせていて、さすがに市村さんでもちょっと間が持たなかったかなあ。

キャストですが、井上芳雄くんのキャンディードはハマリ役すぎて逆にさらっと観られてしまったかな。年齢的にも、亜門版に出て欲しかったんだけどな・・・
まあ、安心して観てられましたけど。
新妻聖子さんのクネゴンデは、いくら歌うまくてもクネゴンデが歌えるのか・・・と思ってましたが、制作発表であれだけ歌えるなら・・・とちょっと安心してました。ただ、一番難しいコロラトゥーラのところをupしてなかったので、あそこは無理なんだろうな・・・と思ってましたが、やっぱり・・・でしたね。
でも、音大出てるわけでもないのにあれだけ歌えたら良いのでは。普通の高音とかは何の問題もなく出してたし。なによりも見た目に美しく、演技もちゃんとしてるので良かったなあ。
坂元健児さんのマキシミリアン・・・出番少なかったけど美味しいとこさらってましたねー。笑わせてもらいました。
「僕はハンサム」の曲、難しいんですねえ。坂元健児さんでも苦戦してましたから。
市村さんがヴォルテールとパングロス先生の2役というのは、ちょっとパングロス先生の印象が薄くなっちゃったかなあ。でもどちらの役ももっと適役の人は? と言われると思いつかないですけど・・・
ヴォルテールは良かったですねー。ちょっとカッコよくすらあった(笑)
パングロス先生はスケベおやじなところがちょっと足りなかったかな(笑)歌を心配してましたが、パングロス先生のナンバーって簡単なんですねー(爆)全く問題なく聴けました。同じメロディーを後で村井国夫さんが歌ったのも上手く聴こえたし。
でも確かパングロス先生、マキシミリアンの「僕はハンサム」と同じメロディーの曲を歌ってた気がするんだけど、カットしたのかな。あれ難しそうだもんな・・・
阿知波さんの老女、キャラクター的にはぴったりでしたが、やっぱり阿知波さんでも歌は難しいんだなあ・・・という感じ。オクターヴ下げて歌ってたところもあったし。でも亜門版の人よりずっと良かったですが。やっぱり演技は大事・・・
新妻聖子さんと一緒に「おんな~」と歌うところ、二人ともとてもチャーミングでかわいくてよかったです。
カカンボの駒田一さん、チョイ役すぎないか・・・と思いましたが、これが良かったですね~。今までで一番いいカカンボでした。ああ、こういうキャラクターだったのか、と思わせるような・・・
笑わせどころも上手いですね~。歌も良かったし。
あと、終盤の6人の王の場面、そんなに歌上手い人揃えられるのかな・・・と思ってましたが、皆さん上手くてびっくり。特に2名ほどオペラ出身?と思わせるような方がいて、いい場面になってました。ここ歌の聞かせどころですからねえ。
あ、五大さんのエルドラド羊がかわいかったです(笑)最初女性かと思ってしまった・・・(汗)

しかし、やっぱりいい曲揃いだなーと、あの演奏でも思いました・・・(汗)
オーチャードホールの佐渡裕指揮のも行きたいかなーと思ったけど、旅行直後なのとチケット高いのしか残ってなかったので断念。いつかまたいい演奏で見てみたいですね。
コメント
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