ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

モーツァルト!

2005年08月10日 | ミュージカル・演劇
日曜の昼夜で二人のモーツァルトを見てきました(汗)
いや、今回は「コンスタンツェはどうでもいいから男爵夫人を香寿たつきさんで、モーツァルトは二人とも見る」という希望と旅行の日程を合わせた結果、1週間で2回行かないといけないことになり、それだったら1日で見ちゃえ! ということで・・・(汗)
CDも滅多に聴かないので、かなり久々の「モーツァルト!」でしたが、久しぶりが幸いしたのか、いやそれでも再演でグレードアッブしてたと思うのですが、なんだかとてもよかったです。こんなにいい作品だったかなと。特に音楽の素晴らしさに感動していました。
初演の最初の方を見ていた時は、1幕ではつまらなくてどうしようかと思ったものですが、終わりごろに行ったらすごく良くなっていたことを思い出します。同じ作品でも変わるものなんですねえ。

再演のアップグレードについて書く前に新キャストについて。
香寿たつきさんは期待通りで良かったです。歌も申し分なくうっとり聴けたし、役の解釈も好きかなあと。いい人なんだか悪い人なんだか中途半端なのではなく、結構はっきりと冷たい男爵夫人で、その方が私には理解しやすくて良かったです。
木村佳乃さんのコンスタンツェは、全く期待してなかったんですが(汗)今まで見た中で一番良かったように思いました。歌も思ったほどひどくなかったし(汗)
今までのコンスタンツェは、「怠け者でダメな人間」という歌詞がピンと来なかったのですが、今回はあばずれな感じがほどよく出ていて良かったように思います。
それでいて純粋でひたむきな心も持っていて、というのも違和感がなかったですし。ヴォルフガングと疎遠になりながらも愛している、というのもわかりやすくてよかったです。墓場の場面でも、冷たい部分を見せつつも、かつてヴォルフガングを愛していたコンスタンツェと同一人物だというつながりも感じられました。
彼女のコンスタンェについては評価分かれてるみたいですが、私は程度にもよるけれど、やっぱり歌よりも芝居がちゃんとしている方がいいなあと思います。
市村さんだってそうですよね。歌だけなら林アキラさんの方がずーっと上手かったですが、市村さんの方が泣けるんですもん。
まあ、私は安達祐美のコゼットもOKとかだった人なのであれですが・・・(汗)

さて主演の二人ですが、まず井上芳雄くんは声も太くなり、かなり大人になったなーという印象でした。初演の時はいっぱいいっぱいでやっていた感じでしたが、かなり余裕が出て来ているように感じました。まあ、初演の方がよりバカっぽいところはよかったような気もしますが(笑)
でも、ナンネルとはしゃぐ場面はいい大人がはしゃいでいるように見えてしまって(汗)まだ初演の方がかわいかったかもしれません。このあたりはアッキーの方が自然だなあ・・・
でも、プラタ公園のあたりは、余裕ができた分ワルって感じに見えて前よりも良かったです(笑)
時折台詞のところでシェイクスピアか?というような喋り方をしていたのが印象的でした。ああ蜷川効果がこんなところに、と(笑)
いやでも、全体的にかなりグレードアップしていたと思います、井上ヴォルフ。
もともと、井上ヴォルフは父親との関係がいいなあ、と思っていたのですが、今回はそのあたりもより深みが出ていて良かったです。父親に反発する気持ちがありつつも、かなり父親を愛していて実は依存している部分もある、そのあたりが、父親の死を契機に狂気が深まるところにストレートにつながっていいなあと思います。
最後の方、狂気にかられた演技は、前から良かったけれど、本当にすごみが出て良くなりました。狂っているだけでなく、哀れみを感じました。
特に、最後にアマデの差し出す羽根ペンを見て「僕こそミュージック」を歌う場面は、音楽の喜びを思い出して笑顔するヴォルフガングと、明るい「僕こそミュージック」のメロディに思わず泣かされてしまいました。
一方の中川ヴォルフですが、初演の時はぎこちなさもありましたが、その後色々舞台もこなして、すっかり役者としても板について来ましたね。とても安心して見られました。
歌はもう申し分ないですし。
はしゃぐ場面もヨッシーより自然かなと思うんですが。
これも初演から思っていたんですが、中川ヴォルフは、音楽への情熱や、自由になりたいという思いは強いけれど、父親との関係が井上ヴォルフよりも弱いと思うんですよね。アッキーの解釈でもOKとは思うんですが、個人的にはヨッシーの方が好きですね。
で、その父親のレオポルトですが、初演の時でもう完璧と思っていましたが、更に進化していたのにはびっくりでした。本当に、「心を鉄に閉ざして」は泣けます。
ナンネルも、夫との関係とか、さらに掘り下げている感じで、進化してるなあと思いました。ナンネルは、最後の「影を逃れて」を歌うとき、役に入ったままで、泣きそうな顔で歌っているのが来るんですよね。

というわけでグレードアップしていた「モーツァルト!」なのですが、やっぱり曲がいいんですよね。
いや、初演の最初の頃は同じ曲でも特に良くなかったので、曲が良いだけではないんだと思いますが・・・
なんだかドイツで見たくなってしまったのですが、今やってないみたいですね。あれ、どこかで見たような気がしたんだけど・・・終わっちゃったのかなあ。
妹は博多座まで行きたいとか言ってたりして。便乗して行っちゃおうかなあ・・・(笑)
また再演しそうな気はしますけどね。
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BBCラジオドラマ感想総括:サントラのこと

2005年08月10日 | 指輪物語&トールキン
ラジオドラマの感想で、一番書き易いのが音楽のことだと思います。何しろ語学力がほとんど必要ないですからな(笑)
本編を聞き始めたのは買ってからかなり経ってからですが、サントラだけは待ちきれなくて先に聴いていました。聞き込むほどではなかったのですが。
サントラだけ聴いてまず思ったのは、やっぱり映画とは予算が違うなあと(汗)大編成のオーケストラに民族楽器をふんだんに贅沢に使った映画のサントラに比べて、弦楽合奏中心で特殊な楽器は一切使っていないラジオドラマのサントラには、お金のかかり方が違うよなあ、やっぱりハリウッド資本の映画は違うなあ、と思ってしまいました。
と言っても、編成の小さいラジオドラマのサントラの音楽が劣っているということは全くありませんでした。フルオーケストラでなく弦楽合奏にしたのも、音楽の質を落とさない的確な判断だと思いますし、(角笛のところでホルンが出てきたりもしていますが)何よりも感心したのは、裂け谷やロリアンの、エルフの幽玄な世界の音楽を、ピアノやシロフォンなどの普通の楽器で実に巧みに表現していたところでした。
ですが、本編を聴いて、やっぱり予算の差を感じてしまいました。まあ、そもそも場面に合わせて音楽をつける映画と、あらかじめ音楽ができていて、それを場面に合うように使うドラマでは差があって当然なのですが。
でも何よりも予算の差を感じたのは、音楽が流れる時間がとても少ないんですよね。ラジオドラマだからなのかもしれませんが。いい曲がたくさんあるのに、時々思い出したようにしか使われていなかったのが残念でした。
まあ、テレビドラマみたいに、ここぞというところで同じ曲が何度も流れたりして「もういいって!」と思ってしまうようなのよりはいいのかもしれませんが。
でも、ドラマのサントラとしてはかなり贅沢に作られた音楽だとは思いました。原作の詩に曲をつけたものがたくさんあったのも特殊だと思いますし。
特に感動したのが、アラゴルンのテーマとセオデンのテーマ(ローハンのテーマやエドラスのテーマも兼ねていたと思います)でしたね。
どちらもとても優しいメロディなのですが、アラゴルンのテーマは、ブリー村でアラゴルンの正体?がわかった時から流れ始め、要所要所で流れていたのですが、最後の方、白の木を見つける場面、そしてフロドたちとの別れの場面で流れていたのが見事に場面にぴったりで、特に別れの場面は泣いてしまいました。
セオデンのテーマも、セオデンの葬儀の場面で、原作に出ていたセオデンのことを歌った詩についたメロディだったことがわかって感動でした。いやサントラでもうわかっていたのかもしれませんが、すっかり忘れてまして・・・
でもローハンの角笛までこのメロディだったのはちょっと笑ってしまったのですが(汗)
ペレンノール野でも、セオデンの戦いの合間合間に、詩人が物語を語るようにナレーション代わりにセオデンの出陣の歌?が使われていたのが良かったですね。同じ曲でデネソールのことも歌っていたのがまた良かったです。セオデンとデネソールの対比を感じさせてくれて。
この他、エント女の詩もいい曲なんですよね。本編中では木の鬚が呟くように歌うだけで、それもまたいい感じでしたが、サントラCDに収録されているフルバージョンがまた感動的で良かったです。
エントの行進の歌も良かったですね。
The Road Goes Ever onの歌が、どこか神秘的な曲になっていたのはびっくりでした。なんだか素朴な明るい歌のイメージがあったので・・・
でもフロドの旅立ちを象徴する素晴らしい曲だと思います。
惜しむらくは、灰色港に向かう途中でガラドリエルたちに会うところ、歌でやって欲しかったんだけどなあ・・・
灰色港の別れを象徴する「ピルボの別れの歌」も、詩の内容から見るともっと希望を孕んだ明るい曲でも良かったと思うのですが、灰色港の悲しい別れを表すのにはあれで良かったのかな・・・
テーマ曲は、単独で聴くととても良い曲なのですが、アラゴルン、レゴラス、ギムリが追いかける場面で走っているような変奏になっていたり、フロドとサムの重苦しい徒歩の旅を表すような変奏になっていたところは、あまりカッコイイとは言えませんでしたね(汗)テーマの最初の部分はわりと単純であまりカッコ良くないので、その部分が使われているから余計なのかな・・・
このあたりは、ついついハワード・ショアの「旅の仲間のテーマ」と比べてしまいました。あのテーマも万能ではありませんでしたが、アラゴルンたちが走っている場面の変奏はカッコよかったよなあと。(フロドたちが歩く場面には使われませんでしたけど(汗))
でも、どことなく重苦しさと悲しみを孕んでいる感じはやっぱり映画よりも原作のイメージに近いかもしれませんね。
実は最初の方に聴いたボロミアの死の場面の音楽とかあまり覚えてないんですよね(汗)サントラもこれからまた聴きこんでみたいと思います。
でもLotRシンフォニー聴いたらしばらくは映画のサントラマイブームになっちゃうかな・・・(汗)

というわけで、なんとかドイツ行く前にラジオドラマの感想まとめられて良かった良かった(笑)また帰国して落ち着いたら再挑戦する予定ですが。
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