2012年9月27日(木) 戸籍の話 その1
◎本籍が気になる
この所、自分の本籍が気になっている。 生まれ育った山形県から出て来て、首都圏周辺などに住んで久しく、あちこちを転居したが、現在の持ち家に住んで以降でも、かれこれ30年以上になる。勿論、現住所への住民登録も行っているが、結婚後は戸籍は別になっているものの、長らく両親が住んでいた、山形県の実家の場所と同じ所が、今も、本籍地になっている。
両親が健在の間は、里帰りも兼ねて、実家には、家族とよく訪れたが、その両親が、亡くなって以降は、次第に足も遠くなってしまっている。
その実家だが、両親が亡くなった後、地域の農道の整備事業で、家のあった場所に、新しい道路が通ることとなった。 その道路も、暫く前に完成し、現在は、自分の本籍地の場所は、道路の下になっているのである。 このことが、本籍が気になっている理由の一つである。
本籍地が山形のため、これまでは、自分の就職、結婚や運転免許の取得、子供の誕生・結婚、自分のパスポートの申請、不動産関連の取引等に伴う、東京に住みながらの諸手続きには、結構面倒な思いもしてきたが、両親も健在で、実家の建物があった間は、自分の故郷に対する思い入れもあった。
これまで、仕事上の外国出張や、個人的な旅行等で、長い間パスポートを所持して来たが、パスポートには、本籍が、YAMAGATA と書いてあるのが嬉しく、本籍地はそのままにしてきた側面もある。
その旅券は、これまで6回ほど取得したが、最新のものは、有効期限が10年だったのだが、2010年6月に期限が切れてしまい、その後は、必要性もないので、新たに取得はしていない。
自分の今後の人生では、大きな変化は想定されず、本籍地が、現在のままでも、特別な不便や支障は無い、と思われる中で、天寿を全うするという、最後の大仕事が残されているわけだ。
夫婦のどちらかが亡くなった時、残された家族が、死亡後の手続きで、本籍地が遠隔地では、手続きに時間もかかり、面倒になるのではないか。これが、気がかりの二つ目の理由なのである。
知人や友人に、本籍の扱いについて聞いて見ると、各人各様で、拘泥しない人もいるが、でも、本籍が遠隔地にあった人は、両親が亡くなった機会等に、 現住所に本籍を移しているケースが多いようだ。
一方、本籍地を移す手続きは、区役所に転籍届を提出すればよく、それ程面倒ではないようだ。又、転籍に伴って変更処理が必要なものは、運転免許証の手続き位である。
こんなことから、急ぐものではないが、今年の重要な行事の一つとして、目先の明るいうちに、夫婦の本籍を、現住所に移転することを検討し、転籍を実行して、気がかりを一つ減らすつもりだが、最近、漸くその気になっている。
そして、転籍が完了したら、来年は、結婚50周年でもあるし、東京都民としての新たなパスポートを取得して、割安になったLCC等を利用して、夫婦で、近隣の外国に、久しぶりに旅行したい、などと考えている。この旅行、子供達等からのプレゼントになれば最高なのだがーーーー。
◎戸籍って何?
先ず、戸籍と住民登録全般について、調べて見た。
戸籍があるとは、日本人として認められ、登録されていると言うことで、国籍の源であり、個人個人のIdenntityの、基本となるものだ。
国として国民一人一人の登録を義務づけることで、国民としての身分と権利が保障されるとともに、納税等の義務も負う訳だ。
普段は、殆ど意識しない国籍だが、国籍を強く実感することの一つが外国旅行で、パスポートによって、外務大臣が、自分の身の安全を守ってくれている、と実感する。
戦争のどさくさ等で、出生時の状況がはっきりしなかったり、身分も不安定だったりで、生まれた子供の国籍が無い、という悲哀も良く耳にすることだ。
歴史的に見て、住民と土地とを登録させ管理するのは、統一国家として体をなす、スタートでもあろう。
住民登録を、どう言う単位で管理するかについては、国によって、異なるようだ。
日本では、戸籍という言葉にもあるように、戸籍は、戸=家が単位になっており、歴史的には、家父長制的な背景がある。 現在では、同居して世帯を構成する、親と子(未婚)の二世代の家族単位で一つの戸籍として登録されていて、家族的関係などが記載されている。
結婚すれば、親から分れて、新たな戸籍が作られ、生まれた子供はその戸籍の中に入る。
世帯単位に戸籍を管理するのは、世界的には、日本、韓国、台湾など、東アジア特有の制度と言う。
欧米では、世帯単位ではなく、あくまでも、個人単位に、国民の登録が行われていることが多く、音は同じだが、個籍となっているようだが、次稿以降で触れる予定だ。
◎本籍と現住所
ここで、自分には必ずしも明確ではないのだが、本籍、現住所、戸籍、戸籍謄本(抄本)、住民基本台帳、住民票などについて、これらの違いを整理すると、以下の様になろうか。
基本になるのは、住民登録制度で、住民の申告により、戸籍簿や住民基本台帳が作成・管理される訳で、これらの情報が、その住民の「戸籍」であり、「住民票」である。
人間が誕生した時、出生届によって、最初に登録された時に作られる基本情報が、その人の戸籍で、これが、「本籍」となり、登録地が、「本籍地」となる。
戸籍という言葉は、
本籍、住民票を含んだ広い概念
本籍とほぼ同義語
の二通りの意味があるようだが、通常は、後者の意味で使われるであろうか。戸籍情報を示す書類は、戸籍謄本(抄本)である。
この重要な登録情報を記載した「戸籍簿」は、本籍地で保管され、人生の大きなイベントの時だけ、必要な変更が行われ、ほぼ、恒久的な情報として管理される。後述するように、本籍の記載事項や、本籍地の変更には、手続きが必要だ。
この登録情報は、permanent informationと言えるだろうか。
社会生活上での変化に伴い、人間はあちこち移動し、転居するが、転居の度に、転出、転入の処理を行い、転居先を「現住所」として登録すると、本籍地はそのままで、その役所に、「住民票」が移され、「住民基本台帳」として管理される。 以降は、その地の住民としての、権利と義務が生まれる。
住民票は、現住所と、ほぼ対応していて、言って見れば住民票は、temporary informationである。 住民票という言葉には、登録されている情報セットとしての意味と、印刷された書類という、意味がある。
手続きが面倒くさい、転居期間が短い、などから、転居しても、住民票を移動しない時もある。又、特定な意図から、転居しないのに、住民票は移す、等もある。
このように、一人一人に関する情報は、日本では、本籍情報と、住民票情報によって、二本立てで管理されている、と言えよう。
◎人生の三大イベント
人間の一生を見て見るに、ほぼ、世界共通と思われるが、戸籍と大きくかかわる三つのイベントとがあり、それぞれに手続きが必要だ。以下の図は、茨城県牛久市のHPにある、親切な記入例を引用したものだ(ようこそ総合窓口課へ)
○子供が生まれ、名前を付けると、出生届が行われ、両親と同じ所に、初めて、戸籍が作成され、日本国民という、国籍が与えられることになる。本人には出来ない出生届は、言うまでも無く、親としての義務である。この国籍は、原則的には、一生涯変わらず、付いて回る。
出生届例
○成長してから、本籍の記載内容を変える機会の一つは、結婚である。
結婚して婚姻届を行うと、親と同じ場所でも、戸籍は新たに作られる。この際、一方の、姓の変更も行われる(日本では、夫婦同姓)
結婚する前の旧戸籍の情報は、結婚後の新戸籍に引き継がれるとともに、結婚の事実も記載される。
国際結婚の場合は、一方の国籍が変わる事となる。
婚姻届例
○本籍の記載事項を変更する最後の大きな機会は、死亡である。死亡届により、出生届で作られた戸籍が失くなり、登録が終了することとなる。
遺族によって提出される死亡届で、戸籍を削除する手続きが行われる。 死亡届は、余り触れる機会も少ないのだが、亡くなった本人の本籍地や、届け出る遺族の住民登録地で行われるが、医師の死亡診断書とセットになっている。
死亡届例
○本籍の記載事項の変更としては、上記のように、出生、結婚、死亡が最も大きいのだが、他に、身分にかかわる、離婚、姓名変更、養子縁組などでも、記載事項の変更が必要となる。
次回以降で、戸籍に関連する用語・手続きや、本籍地そのものを移す転籍の実際、人間の移動と、住居と、住民登録情報との対応関係など、についてで触れる予定である。