2011年5月5日(木) 桜花に寄せて
東京の桜は、疾うに終わったが、目下、桜前線は、北東北辺りに、あるようだ。 思わぬ大震災に打ちひしがれている中にあって、TVで伝えられる、弘前公園の桜を観ていると、歴史的な城郭との対比もよく、穏やかに華やかに花を付ける、日本の自然の営みに、勇気を貰う思いである。
先日、これもTVで、福島県三春町にある、見事な「三春滝桜」が紹介され、近隣の皆さんなどが、思い思いに楽しんでいる風景が、印象的であった。
三春滝桜(町のHPより)
この桜は、樹齢1000年位と言われ、他の、根尾谷薄墨桜(岐阜県 樹齢1500年)、山高神代桜(山梨県 樹齢1800年)と共に、国の天然記念物(後日、ミスに気付き、特別 を削除)に、揃って指定されており、これらは、日本三大桜、と讃えられている。 いずれも、実際に、間近で見たことが無いのは残念だが、今後、機会があれば、訪れてみたいものだ。
日本古来の伝統的な桜の名木には、エドヒガン系が多い。これと、オオシマザクラとの交配により、江戸末期に生まれたという、ソメイヨシノの歴史は、まだ、100数十年程だ。今後、わが国の標準的な桜として、広く愛されていくことであろう。
ソメイヨシノに先だって咲く、カワズザクラ(河津桜)は、赤みが強く鮮やかだ。 以前、発祥の地である、東伊豆の河津町を訪れたが、何と、雪が舞っている中で、花見をするという、偶然に恵まれた。
現在の住まいの近くに、綾瀬川と、中川とを結ぶ、花畑運河がある。 1キロメートル程度の、短い人工河川だが、この川に架かっている、5つの橋、それぞれに、風流な名前が付いている。 順に
月見橋、雪見橋、富士見橋、桜木橋、花見橋
である。日本の伝統的な美意識を表すと言われる、「雪月花」に、「富士」に「桜」と、大変、欲張ったネーミングである。富士見橋だけは、歩行者・自転車用の橋だが、他は、自動車が通る、立派な橋である。
2年ほど前から、この中の雪見橋の、掛け替え工事が行われてきたが、この3月末に、竣工したばかりだ。工事中は、近くに、臨時の橋が掛けられ、結構、便利だったので、そのまま残ってくれたら、と思った位。
この仮橋、そのまま残っていたら、名前に困ったかもしれない。第二雪見橋、では、味気ないので、青空橋、遊水橋 等は、どうかな?
新しく出来た雪見橋の、橋の袂4か所に、ささやかな、植え込みが造られ、そこに、桜が、数本ずつ植えられている。 この桜の品種が、河津桜で、来春の、一足早い春の訪れが、待たれるところである。
新装の雪見橋 植え込みと桜
花の名所は全国各地にある。 東京周辺で挙げれば、
小金井公園
靖国神社と千鳥が淵
上野公園
新宿御苑
などだろうか。 これらの場所は、子供の成長に合わせ、何度か訪れたり、職場の花見の場所取りに苦労した事、等もあり、それぞれに、思い出深いものがある。
古来、花の名所と言えば、吉野山だが、筝曲に、「吉野山」という、宮城道雄の小曲がある。この2月の、邦楽のおさらい会で、この曲の演奏を聞いたが、以下の様な歌だ。
吉野山 霞の奥は知らねども 見ゆるかぎりは 桜なりけり
ここにある、“見ゆるかぎりは 桜なりけり” というのがいい。 調べて見ると、吉野山は、全山に桜が植えられていて、下千本、中千本、上千本、奥千本、といわれているようで、見渡す限りの春の風景が、彷彿として目に浮かんでくる。
吉野山の桜を、こよなく愛したと言われる、西行法師の、次の歌も忘れられない。
願わくは 花のもとにて 春死なむ その如月の 望月の頃
果たして、願いが叶ったのかどうかは、詮索するのは、止めよう。
先日、奈良の近くに住む知人に、吉野山の桜の事を聞いたら、ご本人もまだ行ったことが無いようで、是非、一緒に案内したい、と言われた。
この知人には、数年前、東大寺二月堂のお水取りと、月が瀬梅林を、案内して貰ったことがある。月が瀬は、全山が味わいのある、日本一の梅林公園と言えるだろう。 昨年は、この知人が上京の折、建設途上の東京スカイツリーと、浅草仲見世を、案内したりした。
もし、吉野山を訪ねるとしたら、足腰がなんとか利く、来春あたりだろうか。
世界各国には、国花がある。中国はボタン、韓国はムクゲ、イギリスはバラ、スイスはエーデルワイス、などだ。日本では、国花という規定はないようだが、慣習的に、桜と菊、となっている。 桜は春、菊は秋と、それぞれに、味わいがあるのだが、やはり、より、心に響くのは、桜だろうか。
バラなどと違って、桜は、個々の花というより、集合した、全体的な美しさが、素晴らしい、といえるだろう。 花より団子、という諺もあるのだが、花は花として愛しむ感性を、大事にしたいものである。
東京の桜は、疾うに終わったが、目下、桜前線は、北東北辺りに、あるようだ。 思わぬ大震災に打ちひしがれている中にあって、TVで伝えられる、弘前公園の桜を観ていると、歴史的な城郭との対比もよく、穏やかに華やかに花を付ける、日本の自然の営みに、勇気を貰う思いである。
先日、これもTVで、福島県三春町にある、見事な「三春滝桜」が紹介され、近隣の皆さんなどが、思い思いに楽しんでいる風景が、印象的であった。
三春滝桜(町のHPより)
この桜は、樹齢1000年位と言われ、他の、根尾谷薄墨桜(岐阜県 樹齢1500年)、山高神代桜(山梨県 樹齢1800年)と共に、国の天然記念物(後日、ミスに気付き、特別 を削除)に、揃って指定されており、これらは、日本三大桜、と讃えられている。 いずれも、実際に、間近で見たことが無いのは残念だが、今後、機会があれば、訪れてみたいものだ。
日本古来の伝統的な桜の名木には、エドヒガン系が多い。これと、オオシマザクラとの交配により、江戸末期に生まれたという、ソメイヨシノの歴史は、まだ、100数十年程だ。今後、わが国の標準的な桜として、広く愛されていくことであろう。
ソメイヨシノに先だって咲く、カワズザクラ(河津桜)は、赤みが強く鮮やかだ。 以前、発祥の地である、東伊豆の河津町を訪れたが、何と、雪が舞っている中で、花見をするという、偶然に恵まれた。
現在の住まいの近くに、綾瀬川と、中川とを結ぶ、花畑運河がある。 1キロメートル程度の、短い人工河川だが、この川に架かっている、5つの橋、それぞれに、風流な名前が付いている。 順に
月見橋、雪見橋、富士見橋、桜木橋、花見橋
である。日本の伝統的な美意識を表すと言われる、「雪月花」に、「富士」に「桜」と、大変、欲張ったネーミングである。富士見橋だけは、歩行者・自転車用の橋だが、他は、自動車が通る、立派な橋である。
2年ほど前から、この中の雪見橋の、掛け替え工事が行われてきたが、この3月末に、竣工したばかりだ。工事中は、近くに、臨時の橋が掛けられ、結構、便利だったので、そのまま残ってくれたら、と思った位。
この仮橋、そのまま残っていたら、名前に困ったかもしれない。第二雪見橋、では、味気ないので、青空橋、遊水橋 等は、どうかな?
新しく出来た雪見橋の、橋の袂4か所に、ささやかな、植え込みが造られ、そこに、桜が、数本ずつ植えられている。 この桜の品種が、河津桜で、来春の、一足早い春の訪れが、待たれるところである。
新装の雪見橋 植え込みと桜
花の名所は全国各地にある。 東京周辺で挙げれば、
小金井公園
靖国神社と千鳥が淵
上野公園
新宿御苑
などだろうか。 これらの場所は、子供の成長に合わせ、何度か訪れたり、職場の花見の場所取りに苦労した事、等もあり、それぞれに、思い出深いものがある。
古来、花の名所と言えば、吉野山だが、筝曲に、「吉野山」という、宮城道雄の小曲がある。この2月の、邦楽のおさらい会で、この曲の演奏を聞いたが、以下の様な歌だ。
吉野山 霞の奥は知らねども 見ゆるかぎりは 桜なりけり
ここにある、“見ゆるかぎりは 桜なりけり” というのがいい。 調べて見ると、吉野山は、全山に桜が植えられていて、下千本、中千本、上千本、奥千本、といわれているようで、見渡す限りの春の風景が、彷彿として目に浮かんでくる。
吉野山の桜を、こよなく愛したと言われる、西行法師の、次の歌も忘れられない。
願わくは 花のもとにて 春死なむ その如月の 望月の頃
果たして、願いが叶ったのかどうかは、詮索するのは、止めよう。
先日、奈良の近くに住む知人に、吉野山の桜の事を聞いたら、ご本人もまだ行ったことが無いようで、是非、一緒に案内したい、と言われた。
この知人には、数年前、東大寺二月堂のお水取りと、月が瀬梅林を、案内して貰ったことがある。月が瀬は、全山が味わいのある、日本一の梅林公園と言えるだろう。 昨年は、この知人が上京の折、建設途上の東京スカイツリーと、浅草仲見世を、案内したりした。
もし、吉野山を訪ねるとしたら、足腰がなんとか利く、来春あたりだろうか。
世界各国には、国花がある。中国はボタン、韓国はムクゲ、イギリスはバラ、スイスはエーデルワイス、などだ。日本では、国花という規定はないようだが、慣習的に、桜と菊、となっている。 桜は春、菊は秋と、それぞれに、味わいがあるのだが、やはり、より、心に響くのは、桜だろうか。
バラなどと違って、桜は、個々の花というより、集合した、全体的な美しさが、素晴らしい、といえるだろう。 花より団子、という諺もあるのだが、花は花として愛しむ感性を、大事にしたいものである。