2022年4月10日(日) ウクライナのこと その7
G7や、NATOの外相会議、などなど、連日、ウクライナのニュースが続いている。
〇つい先日は、ウクライナからの難民20人が、ポーランド経由で、はるばる、日本に到着。
林外相が、ポーランド政府と調整し、政府の予備機で、大臣と同時に到着。
日本には、別途来た人も含めて、400人程の避難民がすでに在留しているようだ。
UNHCRによれば、ウクライナから国外に脱出した人たちは、400万人をこえているといい、その内の、ほんの一部が日本にきている。
日本では、公的機関が受け入れているが、ドイツでは、一般家庭で受け入れていると言う。
距離の違いもあるが、ウクライナと陸続きの諸国の対応の違いだろうか。
人道的な理由で何実を受け入れる、試金石になると思われる。
〇この関連で気がかりなのは、「避難民」と「難民」の違いだ。
英語では、 難民refugees 避難民evacuees のようだ。
displaced people from Uklane といった言い方もあるようだ。
難民は、国際的に、以下のように定義されている。
仕事を求めて、経済的な理由でやってくる人たちは、難民とは呼ばれない。
今回、ウクライナからやってきた人たちは、どうなのか。
難民後から見て進国である日本では、関係者が、明言を避けているようだ。
(ウクライナ難民を「避難民」と呼んでいいのか – オルタナ.html)
日本の場合、難民と避難民とでは、法的立場には、可なり大きな違いがあるようだ。
難民と言えば、以前、国連難民高等弁務官(UNHCR)として活躍された、故緒方貞子氏
が思い浮かぶ。UNHCRは、以下の頭文字だ。
Uited Nations High Comissioner for Refugees
現在のUNHCR事務所代表は、イタリア出身の、フィリッポ・グランティ氏で、言うまでもなく、進行中の、ウクライナ紛争での難民問題で、奔走中と思われる。
〇また、ウクライナで起こっている、大量虐殺(ジェノサイド)事件が、重大な話題になっている。国連の安保理の席に、ウクライナのゼレンスキー大統領が、オンラインで参加し、ウクライナのブチャなどの惨状を、破壊された街の、残骸の中から訴えた。
これを聞いていたロシアの代表は、映像はすべて合成された偽物だと決めつけている。
〇国連人権委員会
また、国連総会の緊急特別会合で、国連人権理事会での、ロシアの理事国資格を停止する決議案が、上程され、採決が行われたようだ。結果は、下図である。(図は、ネットより)
内訳は以下のようだ。
反対したのは、当事国のロシアやベラルーシの他、国内に人権侵害が指摘されている中国などがある。
ロシア代表は、「棄権も含めて非友好的な意思表示とみなす」と、採決に先立ち圧力をかけていたと言う。インドやブラジルなど、棄権が多かったようだが、ロシアの行為の余りの酷さに対する良識の現れと言えるだろうか。
〇先日、EU本部のある、ベルギーのブルッセルで、ゼレンスキー大統領が演説し、EUからの支援と、ウクライナのEU加入を訴えている。
EUには、長い歴史があり、下図のように、加盟国が、少しづつ増加してきている。
図中の茶色の加盟候補国だが、クロアチアは、2013年に加盟。マケドニアは、目下、審理中のようだ。スロベニア、クロアチア以外の、旧ユーゴ諸国5か国は、その内、加盟することになるのだろうか。
また、NATOへの加盟だが、先日の、以下の記事
ウクライナのこと その5 (2022/4/2)
で触れているので、詳細は略すが、NATO加盟国の状況は下図だ。
ここで、NATO加盟でもEU加盟でも、よく出てくる、旧ユーゴスラビア諸国を見てみる。
先図の凡例を拡大したのが、上図である。
一方、トルコだが、長年、加盟候補国のままで、国土の大きさなどで、仏、独などが警戒していて、加盟は難航しているようだ。
トルコが、長年、EUに加盟できない理由を、解説した、以下のサイトもある。
(トルコがEUに加盟できない理由を簡単に説明_3つの問題について解説します.html)
また、周知のように、2020年、イギリスがEUを離脱している。
〇ここで、NATO加盟/非加盟と、EU加盟/非加盟について、全体的に見てみたい。
軍事同盟であるNATOと、主に経済同盟であるEUとでは、指向が異なる。
NATOの場合は、積極的中立を指向し、非加盟で進むスタンスがある。
EUの場合は、経済的理由で、非加盟とする場合もあるようだ。
NATO EU
× × スイス オーストリア アイルランド 旧ユーゴ諸国(セルビア)
積極的中立指向
× × 旧ユーゴ諸国(セルビア ボスニア・ヘルツエゴビナ コソボ)
NATO非加盟は様子見?
× 〇 フィンランド スエーデン オーストリア
中立指向
× 〇 マルタ
イギリス連邦内
× 〇 キプロス
国内の紛争でNATO加盟できず
〇 × アイスランド 北マケドニア モンテネグロ
〇 × トルコ
西欧諸国の懸念は前述
〇 × ノルウエー
北海油田と漁業保護のため
〇 〇 バルト三国 チェコ スロバキア スロベニア クロアチア ブルガリア ルーマアニア
〇 〇 大半の西欧諸国
〇 × イギリス(EU離脱)