2015年4月28日(火) 原発関連ニュース--------ロボット
この所、原発関連で、
●ロボットによる事故原発内部の調査、
●再稼働についての裁判所の判断、
●原発反対を唱えるドローン騒動、
●千葉県での中間貯蔵施設の建設、
●日本の2030年のエネルギーミックス、
●事故から29年経過したチェルノブイリ事故原発、
等のニュースが続いている。 以降、これらについて、適宜、取りあげていきたい。
●ロボットによる事故原発内部の調査
福島第一原発の事故現場では、廃炉作業が遅々として進まず、その入り口の作業である、汚染水の処理や海中への流出防止策もあまり進んでいないように見える。
こんな中で、廃炉作業を具体化するに当たって最も重要となるのが、原子炉内部の状況を詳しく調査・把握することだ。
先月、1号機、2号機について、原子炉の外から、宇宙線(μ粒子)を使った調査が行われ、核燃料が、圧力容器内の本来あるべき場所に無い状況を確認している。下記記事の最後の項でも、触れたところだ。
最近の原発関連のニュースから (2015/3/21)
今度は、実際にロボットを使って、格納容器内に入って行う調査が試みられたようだ。
先日の4月10日に、1号機の格納容器に通じる配管から、細長い形状(ヘビ型)のロボットを入れて、内部の1階の足場(床)を移動して調査したようだ。(以下は、福島原発 最新情報 P.32 より)
ロボットによる調査 概要図 使われたヘビ型ロボット
内部の床の状況
当初は、ロボットはうまく動き、カメラ撮影や温度・放射線量計測なども正常に行われたようだ。ロボットが内部を写した画像(上図)を見ると、落下物が散乱しているようだ。周囲温度は20.2℃と高く無いが、放射線量は、10.3Sv/hとあり、極めて強烈で、人体に被爆すれば、1時間で死亡するレベルという。
ロボットは、予定の2/3程進んだところで動かなくなり、走行不能となって、回収も断念したという。
そして、引き続いて、15日に、同様の仕様の2台目のロボットを投入し、16日までに1台目とは逆回りで調査を行い、ほぼ予定通りに終わったようだ。そして、18日から、1台目が調査出来ていない範囲を調べようとしていたようだ。
2台目は、1台目が走行不能となった場所まで到達し、残されたケーブルなどの位置を確認。1台目がベルトがひっ掛って横転していることを確認(下図)。
1台目が横転
でも、そこから戻る段階で、ロボットとともに投入された監視カメラが、放射線の影響で劣化して使用できなくなったようだ。
そして、東京電力は20日、2台目の調査ロボットについても、「無理にロボットの回収を試みると、逆にリスクが大きいと判断した」として、回収を断念したと発表した。
1号機では、原子炉の圧力容器が破損し、核燃料が格納容器の底に落ちていると想定されているが、そこの地下に下りる階段への入り口周辺には障害物は見あたらなかったようで、また、地下水が溜まっている様子も確認できたようだ。今後、東京電力は、これらに対応できる、更なるロボットの開発を進め、年度末までに、格納容器下部の調査を行いたいとしているという。
一方、事故原発2号機の内部調査向けに、今回のロボットとは仕様の異なる、サソリ型ロボットの開発が進められていて、先日、工場内の擬似施設で、走行試験が行われたようだ。(福島第一原発2号機 サソリ型ロボット投入へ NHKニュース より)
サソリ型ロボット
このロボット、格納容器へは、細く狭い配管から入るのは同じだが、中では、本体中心部に通じるレールの上を走るようだ。サソリの尻尾の先に着いているカメラを持ち上げて、全体を写せる機能があるという。うまくいけば、格納容器下部に落下していると想定されている核燃料等の溶融物(燃料デブリ)を、確認出来る可能性があるようだ。
2号機内の線量は、1号機(10Sv/h程度)と比べて、70Sv/hとべら棒で、ロボットの許容被爆線量は1000Svということから、累積調査時間が厳しくなるようだ。この夏にも、調査を行う予定という。
ロボット大国と言われる日本だが、今回の原発事故で、放射線に強い分野での駒不足を露呈した形だ。遅ればせながら、現在、急ピッチで進められているロボットの開発と使用実績を通じて、この分野での技術・ノウハウが蓄積されることを期待したいところだ。