ケイの読書日記

個人が書く書評

群ようこ 「ついに、来た?」 幻冬舎

2019-01-21 15:20:50 | 群ようこ
 先回のブログも高齢者問題の本、今回のブログも高齢者の認知症の話と、続きますねぇ。今現在、私が直面している問題だから、どうしても書架で目につくんだろうか?

 認知症になった高齢者と、その家族の悲喜劇を書いた8編が収められている。考えるだけで気が滅入るが、そこは群ようこ。カラッと明るく書いていて、悲劇色より喜劇色の方が強い。
 群さんのお母様も、群さんの弟さんと同居なさっていて、体調を崩してからは施設にお世話になっているようなので、群さん自身が認知症で振り回されることはあまりないと思う。しかし、私や群さんの年代は、親がちょうど認知症適齢期で、親戚・友人・知人から、そういった話をたくさん聞くんだろうね。
 色んな認知症のパターンが書かれている。

 1日中、引き出しを引っ掻き回して探し物をしたり(何を探しているのか本人も分かっていない)、以前は料理上手な人だったのに、作った味噌汁が激マズだったり、同じ話を何十回何百回と繰り返したり(これはよくある話)、「ネックレスがない。あんた盗んだでしょ!」と娘に詰め寄ったり…ああ、もう本当に大変!!

 幸い、私はバアさんから泥棒扱いをされたことはないが、バアさんが自分で煮物を食べたのに、泥棒が寝ている間に侵入して煮物を食べたと言い張り、防犯カメラを取り付けた事がある。当然、そのカメラには、バアさんが煮物を食べている所がバッチリ写っていたけどね。

 でも、どうしてあんなに自分の無謬性を信じられるんだろうね。「お酒も飲むし睡眠薬も飲むので、自分が寝ぼけて煮物を食べたかもしれない」と疑う事が無いのはなぜ? 謙虚さが足りない。家の中はしっかり戸締りして、内側からカギがかかっているんだよ。そんな事でお巡りさんを呼ぶな!!
 ああ、書きながらも、思い出すと腹が立つ。

 少しは救いがある話もある。例えば第6話『伯母たち、仲よく?』心が軽くなるエピソードがある。
 認知症の人たち同士の会話って、かみ合っていないのに不思議につながるのよね。つまり、相手の言う事、聞いてない。耳が悪いせいかもしれない。お互い、相手が自分の言ってほしい事を喋ってるとカン違いしてるんだ。幸せなことに。
コメント
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